p233-236
21.薫、女二の宮に浮舟引取りの了解を求める
〈p84 女二の宮にお話しをなさるついでに、〉
①薫、正妻の女二の宮に浮舟のことを語る。
→殊更話をしなければならないことだろうか。
→源氏は紫の上に全て語っていたがそれは紫の上を心底愛し信頼してたから。
→薫は女二の宮と左程心を通わせているとは思えないのだが。
②女二の宮 「いかなることに心おくものとも知らぬを」
→貴人の答えの常套句。「私には分かりません、、、」
③薫 「されど、それは、さばかりの数にだにはべるまじ」
→貴女が気にするような女ではない。それなら尚更言わなくてもいいのに。
→薫の自己満足であろうか。
22.薫の準備の様子、ことごとく匂宮に漏れる
〈p85 新築の家に宇治の女を移そうと計画されていましたが、〉
①造りたる所に渡してむと思したつに、
→浮舟の匿うために新造中の屋敷。三条宮に極近い。
②この内記が知る人の親、大蔵大輔なる者に、睦ましく心やすきままにのたまひつけたりければ、聞きつぎて、宮には隠れなく聞こえけり。
→匂宮の漢籍アドバイザー大内記の妻は薫の家司大蔵大輔の娘、情報は匂宮に筒抜け。
→薫は秘密裡に造営してた筈だが上記人脈は知らなかったのだろうか。実務能力に長けている薫にしてはチト不思議。
③匂宮、薫の新造営計画に先んじて浮舟を匿うべく引き取り先を段取りする。
わが御乳母の遠き受領の妻にて下る家、下つ方にあるを、、
→うまい具合に乳母の家が空き家になるのでそこを引き取り先とする。
→下つ方=下京 七~九条あたりか。こんな下町に匂宮が通おうとする。
④薫は匂宮が先手を打って浮舟を連れ去ろうと計画しているとは知る由もない。
→薫の新邸は4月初め完成との情報も入ったのであろう。匂宮は乳母の家が空く3月末に浮舟引き取りを計画する。
→段末脚注 事態は一気に緊迫する。