完読記念に和歌を一首づつ

源氏物語と和歌は切っても切り離せません。何せ975首もの歌が登場人物により詠まれているし、引用されている歌の数は計り知れません。青玉さんには帖毎に一首づつ読後感想和歌を詠んでいただきました。そこで我ら「道しるべ仲間」も完読を記念してせめて一首づつ読み終えての感慨を三十一文字にしておこうではないかと思い立ったものです。

爺の想いを受けてハッチーさんには京都の宿でいち早く創作歌を披露していただきました。すばらしい歌でした(ハッチーさん、本欄コメントとして載せてくださいね)。みなさまにおかれても一首づつ投稿をお願いします(時間制限はありません)。これも余興、いい記念になるのではないでしょうか。
(複数首詠んでいただいても構いませんし、推敲・修正・追加・取り消し、、何でもいつでも可です)

恥ずかしながら、爺が口火を切りまして、、、。  

 (清々爺詠)
   二年の道しるべ踏み辿り来は小雨に煙る二本の杉

それと、青玉和歌集からの一首は浮舟の歌にしました。

 (浮舟)むせび泣く宇治の流れに身をゆだねあはれ浮舟病葉のごと

  →宇治川の急流とミュージアムでの人形劇を見て改めて浮舟があわれになりました。

カテゴリー: クールダウン パーマリンク

17 Responses to 完読記念に和歌を一首づつ

  1. 青玉 のコメント:

    清々爺さんのお歌素晴らしいです。

    想像の二本の杉にふたとせかけてあえた感慨が迫ります。
    しかも一緒に見上げたその杉は雨にけぶっていた・・・
    「小雨に煙る」が効いています。

    清々爺さん、浮舟の歌を採ってくださいましてありがとうございます。

    では二番手としてやはり浮舟です。
    (青玉詠)
       秋果つる宇治の水際に佇めばいにしへ遥か浮舟思ほゆ

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      宿では俳句と和歌についての議論なんかもありましたね。どちらも真剣にやればとても難しいものだと思いますが、そこはシロウトの特権。気軽にお遊び感覚でやるのでいいと思っています。

      青玉さんの歌は浮舟でしたか。なるほど。浮舟ほどその生き方につき議論が広がる女君はいませんものね。

  2. 式部 のコメント:

    (式部詠)

    人の世の愛着生死を呑み込みて変はらず流る大き宇治川

    遊びして青海波舞ふ夢見つつ平成御所に集ふともがら

    • 清々爺 のコメント:

      ① 加茂川や桂川に比べ宇治川は水量も多いし流れも速い。宇治十帖は宇治川あってのものだと思います。

      ②紅葉賀には少し遅い初冬ではありましたが晴れて澄み渡った御所の庭に立つと1000年の昔が思い浮かびましたね。

  3. ハッチー のコメント:

    完読旅行、大変楽しく、皆さんとも親交を持て、思い出に残る旅になりました。ありがとうございます。

    このブログで何回か書いたことですが、清々爺に薦められ、古典など現代語訳を含め全く手にしたこともない私が、源氏物語に出会い、その魅力に取り付かれ、ブログ仲間の皆さんとともに楽しく完読出来たことは、2年前には想像出来なかった、小生にとっては快挙です。
    そこで、生まれて初めて読む和歌ですが、今年春に働くことを卒業したことも踏まえ、

    勤め終え 四十四年のご褒美に 光を得たり五十四帖

    青玉さんの名歌集の中では、

    常処女 あはれ無常の華と散る 儚き露の消ゆるがごとく(御法)

    を選びました。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      よくぞ宿で披露していただきました。素晴らしい歌ですよ。「光を得たり」ですか、実感がこもっています。いいご褒美をもらえてよかった、、、、私もそっくり同感です。源氏を知る前と知ってからと何か自分が変わった(豊かになった)ような気がしています。

  4. 万葉 のコメント:

    まず先に青玉詠「蜻蛉」より。物語をおいたとしても、歌として「儚さ」がよく詠まれていると思います。

    それと見し夢のゆくへぞおぼろなるあるかなきかにかげろふの立つ

    では、萬葉詠。

    たぎつ瀬にあかず潜ける水鳥の宇治の瀬音の聞こへやはする

    あの激しい流れ、瀬音は恐ろしいほどでした。浮舟はよく助かったものですね。
    やはり宇治十帖を詠み込んだ方がいいですね。推敲です。

    たぎつ瀬にあかず潜ける水鳥のゆくへさだめぬ宇治の浮舟

    歌もいいですが、俳句で完読旅行のワンシーンを切り取ってみるのはどうですか?みなさん。

    炭斗をさげて女房渡殿に

    寒い朝女官が炭入れを提げて渡殿を急ぎ足に渡ってくるイメージを思い浮かべました。御所はほんとうに寒そうでした。
    もう一つ。

    きぬぎぬの文に埋火消えやらず

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      さすが俳句で鍛えた韻文作成力はものが違いますね。

       たぎつ瀬にあかず潜ける水鳥に引かせやはする宇治の浮舟

      これはいいですよ。急流をものともせず潜り続けていた水鳥(川鵜)、身投げした浮舟を救ってくれたのも水鳥かもしれませんね。

       きぬぎぬの文に埋火消えやらず

      これもいいですね。夜を徹して燃え盛った二人も朝がくれば別れなければならない。でも胸の炎はそう簡単には消えはしない。。。切なかったことでしょうね。

  5. 青玉 のコメント:

    今、お習字の稽古から帰って皆さんのお歌を拝見。
    みなさん、源氏読みに恥じない見事な詠いっぷり。
    どこに爪を隠していらしたのでしょう?

    私、さっそくですが修正です。
    5句目、「浮舟想ほゆ」としてください。

  6. 式部 のコメント:

     青玉さん詠、「澪標」「蓬生」「蜻蛉」のなかでどれにしようかと迷いましたが、「蜻蛉」を選びました。

     

    それと見し夢のゆくへぞおぼろなるあるかなきかにかげろふの立つ

     

    • 青玉 のコメント:

      万葉さん、式部さん。
      蜻蛉を選んでくださりありがとうございます。
      宇治十帖は思い入れがありますのでうれしいです。

      ハッチーさん
      私も「御法」の常処女が好きです。
      決して名歌などではありません。

      がんばって書道に精進します。光が得られることを信じて・・・

  7. 青玉 のコメント:

    清々爺さんとハッチーさん共通の友人であるまっちゃん(和歌絵本 源氏物語54帖の作者)からメールをいただきました。
    絵本完成記念歌を詠んでいただきましたのでご紹介させていただきます。

         徒然にえがく都小路千年の想い光りて夢浮橋

    • 清々爺 のコメント:

      ご紹介ありがとうございます。

      まっちゃん(マッサンならぬまっちゃんと呼んでいます)も中々のものですね。何より和歌もやってみようというところがエライじゃないですか。拍手、拍手。
       →我らが完読記念和歌の一つに載せることにしましょう。

      第54帖夢浮橋に描かれた鳳凰と扇は何を意味するのか今度聞いてみます。

  8. 進乃君 のコメント:

    「完読記念に和歌を一首」
    皆様の歌の格調の高さに怖気づくばかりですが、心境をそのまま
    歌にしました。もっと凝りまくったものとか 遊びまくったものを
    創って出そうかなと思いましたが、完読記念の歌には
    似合わないのでやめました。

      二冬二夏 やうやう閉じし 五十四帖
         過ぐる月日に 我を重ねる

      歌意
       清々爺の『道しるべ』を、ふ~ふ~言いながらcatch-upするのが
       しんどいのに、妙に楽しかった二年間。
       その”縛り”から解き放された今、何となく物足りないと言うか
       寂しいと言うか・・・。
       「あの帖の時は、あんな事をしていたなぁ」と
       自分の日々が重なって浮かんできます。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      素直な気持ちを詠めてていい歌だと思いますよ。
      二冬二夏、けっこう長かったというのが実感でしょうか。それだけに私も何か漠然とした喪失感を感じています。気分転換に机の側の本箱を源氏物語から百人一首へ入れ替えてみました。ちょっと新鮮な感じ、どんな世界が待っててくれるのか楽しみになってきました。

      追伸: 中国通の進乃君さんのこと、大和歌もいいですが一つ五言絶句か七言律詩でも作って披露してくださいよ。きっと一生の記念になりますよ。。

  9. 清々爺 のコメント:

    固定ページ(右欄)には追って載せるとして取り急ぎ詠んでいただいたものをリストアップしておきます。

    (清々爺) 二年の道しるべ踏み辿り来は小雨に煙る二本の杉

    (青玉)  秋果つる宇治の水際に佇めばいにしへ遥か浮舟思ほゆ

    (式部)  人の世の愛着生死を呑み込みて変はらず流る大き宇治川
          遊びして青海波舞ふ夢見つつ平成御所に集ふともがら

    (ハッチー)勤め終え四十四年のご褒美に光を得たり五十四帖

    (万葉)  たぎつ瀬にあかず潜ける水鳥のゆくへさだめぬ宇治の浮舟

    (進乃君) 二冬二夏やうやう閉じし五十四帖過ぐる月日に我を重ねる

    (まっちゃん) 徒然にえがく都小路千年の想い光りて夢浮橋

    こうして並べると中々のものじゃないですか。
    青黄の宮さんは年末また海外へ行くとか言ってるのでまあ年明けには載せてくれるでしょう。髭白はいつになるやら。まあ例の調子ですから。。。

コメントを残す