香は既に平安時代貴族の嗜みであったようで、源氏物語にも第32巻「梅枝」の巻で薫物合せ(たきものあわせ)として取り上げられている。それに因んで源氏香というのがあり、5種の香を5つづつ合計25用意し、そこからランダムに5つを順番に嗅いで(聞いてが正しいか)、どれとどれが同じだったかを当てるゲームのことです。
この組み合わせが52通りあるということで源氏物語54帖から最初の桐壷と最後の夢浮橋を除く帚木~手習までの巻名がつけられている。縦線5本を同異に随い結ぶ独特の図柄で面白いのだが何故52通りになるのか、数学的な回答は難しい。
結局力技で並べてみると(簡単ではなかったが)確かに52通りになるのです。 以下Aを1つ目とし、違うのが出てきたらB、C、D、Eとすると52通りは:
1.AAAAA 2.AAAAB 3.AAABA 4.AAABB 5.AAABC 6.AABAA 7.AABAB 8.AABAC 9.AABBA10.AABBB 11.AABBC 12.AABCA 13.AABCB 14.AABCC 15.AABCD 16.ABAAA 17.ABAAB 18.ABAAC 19.ABABA 20.ABABB 21.ABABC 22.ABACA 23.ABACB 24.ABACC 25.ABACD 26.ABBAA 27.ABBAB 28.ABBAC 29.ABBBA 30.ABBBB 31.ABBBC 32.ABBCA 33.ABBCB 34.ABBCC 35.ABBCD 36.ABCAA 37.ABCAB 38.ABCAC 39.ABCAD 40.ABCBA 41.ABCBB 42.ABCBC 43.ABCBD 44.ABCCA 45.ABCCB 46.ABCCC 47.ABCCD 48.ABCDA 49.ABCDB 59.ABCDC 51.ABCDD 52.ABCDE
1.が全部同じで帚木、52.が全部異なるで手習とのことです。
さて、6種あったら何通りになるのでしょうか(考えようかと思ったけど止めました。誰か理科系の人いませんか)。。。
「香道」なるものを初めて知ったのは宮尾登美子の小説「伽羅の香」を読んだ時です。
確か婦人公論に昭和50年代連載されその後単行本、文庫にもなりました。
この小説の舞台は三重の津、美杉、一志波瀬、私にとって相当の思い入れがあります。
「組香」と言いさまざま香をたきそれを聞き当てる遊びだと知りました。
昔から最も一般的なものが源氏香とされているそうです。
おっしゃる通り縦5本に聞き分けた香の線を結び記号を作るらしいのですが源氏物語をよく読んでいなければなかなか聞き当てられない難しいものだそうです。
伝統的な日本独自の贅沢で優雅な芸道ですね。
その中でも伽羅木は最高の香木と聞いております。
名古屋は芸どころ、志野流と言う香道があります。
ちなみに私も香の香りが大好き。これは全く香りを楽しむだけのもの。
京都、松栄堂の「堀川」の香りが一番の好みです。
sassaさん、すごい!!暑さの中、よくこの記号を並べられましたね。
小学生並みの理数レベルの私など気が狂いそう。
excelに条件を入れて瞬時に解明できないでしょうか?
興味深いコメントありがとうございます。さすが読書家ですね、宮尾登美子、読んだことないのですが、三重県が舞台とあらばと思いチェックしてみました。美杉村など林業地域を背景とした小説の由、、、しをんちゃんの「神去なあなあ日常」の世界じゃないですか。それに主人公の名前が「葵」ですって、、長いと困るなと思ったけど文庫本で980円ならまあ読めそう、、読んでみます。
芸事・嗜みとしては茶道も華道もまだ平安王朝時代にはなかったのでしょう。香の道はどれほどのものだったか分かりませんが、「梅枝」の巻にはかなり詳しく出て来ますよ。この巻通過予定は来年9月です。お楽しみに、、その時はまた微細にコメントしてください
是非是非「伽羅の香」読んでみてください。
今、私もこの本を書棚から取りだしてさらっと見ております。
名だたる古典のほとんどには必ず「そらだきもの」の話として触れられているそうです。
宇津保物語、源氏物語にはこまごまと、その他日本書紀、更級日記明月記、大鏡等々。
宮尾さんは香が昔から最高の饗応、身嗜みに使われていたと記しています。
宮尾さんの資料調査と取材の確かさにも驚かされます。
改めて私はあの独特の宮尾流語り口の源氏物語現代語訳を書いてほしいと今、思いました。「宮尾本源氏物語」なんてね。
こんなことを書いているとだんだん切りが無くなって来そうなのでこの辺で。 「梅枝」楽しみに待ちます。
この暑さのなか52通り考えるとは、さすがsassaさんです。私なんか見ただけで頭痛くなりそうです。青玉さんお勧めの「伽羅の香」私も読んでみたくなりました。題材を深く知ることがよりいっそう源氏物語への理解を深めることになりますよね。香のことをもっと知りたくなりました。
源氏物語は当時のあらゆる芸事・遊び・ゲームの類をカバーしてますよね。香の他に楽器・管弦の遊び、絵合せ、囲碁、韻ふたぎ・偏つぎなどの文字ゲーム。アウトドアは競馬、相撲そしてあの蹴鞠、、、この辺追って書いてみます。。
以下青玉さんから「若菜下(12・13・14・15)朱雀院の五十の賀に向けて」のコメントとして寄せられた「門香」体験記を重複掲載させていただきます。
〈青玉さんより(2013年11月9日)〉
「聞香」体験記
生まれて初めての世界「組香」を体験してきました。
もっともこの講座は正式の作法に則ったものではなく香道とはなんぞやという初歩の段階で気軽に楽しめるものでした。
ですから和服でもなく足を崩す人もいれば椅子席の人も有りでした。
香手前も解説をなさる方もボランティア。
香道の世界では香りをかぐことを聞くと言います。
香りを聞く体験はそう味わえるものではなく興味津々・・・
香もやはり季節感を大事にするそうで今回は「水鳥香」というものがが実施されました。
水鳥は秋から冬の渡り鳥、水に浮かぶ鳥を総称して今回は鴨、鴛 鳰の三種の組香が薫きしめられました。
香炉(猪口よりも大きめで三つの足付き)に灰と炭と銀葉(薄い雲母の板)に載せた香木(4ミリ角の板状のもの)をあたためたものを鼻元まで近づけて香りを心ゆくまでじっくり鑑賞します。
香炉の扱いは茶道のお手前に似ておりますした。
香炉が五回、廻ってきて、三種類の香が用意されています。
最初と二回目は試し聞きで、主が鴨とか鳰とか香銘を伝え、その香りを記憶しておきます。
次に鴨 鳰 鴛の三包みをシャッフルし順次焚き出します。(主にもわかりません)
五個の香炉に三種類の香を焚き二種迄は主が伝え三香炉以降は二回の記憶を元に聞き分けるのです。
つまり最初の二種以外の香りが鴛ということになります。
①と④が鴨 ②と⑤が鳰 ③が鴛という具合です。
五回聞き終わったら記録紙に答えをかくと言う一種の高尚なゲームです。
52種の源氏香を想像していただければいいかと思います。
高度になれば鴨と聞けば鴨の歌を記録紙に書くそうですが初心者は「鴨」と鳥の名前をかけば良いそうです。
とにかく文字で説明するのがとても難しいのですが奥の深い雅な遊びだと思いました。
源氏香を聞き分けるなんていうのは至難の業ですね。
ちなみに私は4と5は解りましたが3が紛らわしくて解りませんでした。
長々と解りずらい説明でごめんなさい。
ここで思い出すのは宮尾登美子の「伽羅の香」
この小説の主人公「本庄葵」は香道の発展に尽くされた山本霞月という人がモデルだそうです。
小説の取材を通じて知ったその方の高弟から蘭奢待の香席に招待されたそうです。
宮尾さんはその時のお席に美智子皇后さまの亡き母上様がいらしたことを「忘れ得ぬ人」と題したエッセーに残しておられます。
ことほどさように「香」というものが上流階級のものだったことが理解できます。
徳川美術館では毎年志野流家元が「名香観賞会」を開いているとの事でした。
もちろんこれは正式な香手前です。
美術館では香道具が展示されて徳川三代将軍の姫君、千代姫の香道具が一際輝いておりました。これが初音の調度なのですね。
このような貴重な体験が手軽にできるのも現代ならではの事ですね。
昔なら下々の者には生涯縁することも無かったかと思われます。
珍しい体験をした秋の一日でした。
〈清々爺 返信 2013年11月9日〉
「門香」体験記、ありがとうございます。
極めて貴重な体験をされましたね。詳しく説明いただき入口の入口くらいは分かった気がします。茶道・華道に比べるとマイナーなんでしょうがそれだけに諸事万端難しそうですね。おっしゃる通り庶民には手の届くものではなく限られた人たちが粋を極め流儀を競いあったものなんでしょうか。
「梅枝」の薫物合せの段、「初音」の冒頭の段を思い浮かべました。
(以下全くの余談です)
ゲームとなると悪い癖ですぐ何通りあるのだろうかなど考えるものでして。
1回目と2回目は異なる2種即ち ①と②
3~5回目は異なる3種、即ち ①②③が順不同で出てくるということでしょうか。
そうすると、
①② ①②③
①② ①③②
①② ②①③
①② ②③①
①② ③①②
①② ③②①
の6通りですかね。これでも十分難しいと思いますが、3~5回は源氏香のように3種類が重複して出てきてもいいとなると①②①①①以下①②③③③まで19通りになります。こうなると難しいでしょうね。
この「門香」体験記の部分、ウオームアップ「閑話 源氏香‐52通り」の所へも重複掲載させていただきます。
〈青玉さんより(2013年11月10日)〉
さっそく返信くださり有難うございます。
私のつたない説明を上手くまとめていただいています。
数字となると訳がわからなくなる私ですがとにかく聞くのは5回、扱う香は3種で2種は最初の試し聞きですでに解っている。
3回目以降は1、2回目と重複した香に異なる1種が追加されシヤッフルされるのでおっしゃる通り6通りになりますね。
昨日は①② ③①②の組み合わせでしたから少し鼻の敏感な人は結構正解しておられました。
では今から三重へ行ってきます。
〈清々爺 返信 2013年11月10日〉
問香も季節に合わせジャンル(花とか鳥とか風月とかでしょうか)を決めて競い合うというのもいいですね。答えを和歌で書くというのも面白いと思います。相当勉強しないとついていけない世界なんでしょうね。
源氏香を6種類の香でやるとしたら何通りになるのか?
高校仲間の岩ちゃんが本稿を読んでくれ回答をメールでもらいました。
転載させていただきます。やっとスッキリした思いです。岩ちゃん、ありがとうございました。
→6種類だと203通りのようです。これだと源氏香には多すぎる。やはり5種類の52通りがぴったりのようです。
【岩ちゃんよりのメール2015.11.15】
最近は天候が雨まじりの日が多く、奥の細道への導入に最適ですが、その前に気にかかった表記の件を考えてみました。5*5では力づくでできる範囲ですが6*6ではよっぽど根気がないとできません。
この問題の難しさは、同じ香が何個あるかと、区別できない香の種類はいくつあるかを混同してしまうことです。
例として、3種類(ABC)の香から5個の香を選んだときを考えます.
選び方
違いだけの嗅ぎ分けとなるので、選び方は AABBCだけです。 CCAABはAABBCと違う選び方ですが区別がつきません。この選び方を2,2,1と表します。
この選び方は力づくでも簡単ですので計算はしません。
次に選んだ香の並べ方です
これは力づくではとても面倒なので数式にします。
2,2,1の香では Aが2個 Bが2個 Cが1個です。 また、A、Bは香の数が同じであるので区別ができません。Cとは区別ができます。
つまり2種類の香が区別不可能ということになります。
一般的にr個で同じ香の数をa,b,c…..としたときの並べ方はN= r!/(a!*b!*c!…..)となります。全部違うときはr!です。
また、区別できない香の種類の数をx,y,z….として、その重複の数W=x!*y!*z!…です。この場合W=2です。
重複を加味した並び方Nx=N/Wです。すなわちNx=r!/(a!*b!*c!…..)/(x!*y!*z!…)これが一般式です。
2,2,1の場合は
Nx=5!/(2*2)/2=5*4*3*2/(2*2*2)=15となります。
それぞれの選び方に対してその並べ方を計算してその合計が答えです。5*5の源氏の香の場合52となります。
添付ファイルは8*8までの計算結果です。
次は、奥の細道に入りたいと思っていますがなかなか腰が重いです。
【添付いただいたエクセルの表がこのコメント欄に載せられず。あきらめかけたのですがさすが理科系の岩ちゃん、あきらめずご自身のブログ上に見事に表を載せてくれました。ご覧ください】
「岩崎ファームのブログ」
http://blogs.yahoo.co.jp/mtthm609/18072840.html