少女(31・32・33・34) 六条院の完成

p150 – 160
31.夕霧、進士に及第し、侍従に任ぜられる
 〈p167 さて大学に学ばれる夕霧の若君は、〉

 ①夕霧、放島の試みで合格(10人中3人)、秋にやっと五位に叙せられる。

 ②その後も雲居雁への想いは変わらず。文だけ密かに交し合っている。

32.六条院造営 式部卿宮の五十の賀の準備
 〈p168 源氏の君は、閑静なお住まいを、〉

 ①六条院の造営にかかる
  六条御息所邸(中宮のお里)に隣接する町を加えて計四町の大邸宅を造営する
  源氏のとてつもない財力

 ②式部卿宮(先帝の皇子・紫の上の父・藤壷の兄・王女御も冷泉帝に入内している)
  五十の賀を新邸宅で行おうと紫の上が考え源氏も賛成する
  
  →式部卿宮と源氏はどうも相性がよくない。なんとなくぎこちない。源氏物語の中では珍しい間柄ではなかろうか。
  →血筋の点からするともう少し緊密でもいいのにと思うのだが。式部卿宮の方が源氏を見下しているように感じるのだがいかがでしょう。

33.六条院完成する 四季の町の風情
 〈p170 八月には、六条の院の御造営がすっかり完成して、〉

 ①G35年8月 六条院完成(約1年かかった)

 ②六条院の様子 →名場面です。

  東南 春の町 紫の上+明石の姫君 & 源氏
  西南 秋の町 秋好中宮
  東北 夏の町 花散里 & 夕霧
  西北 冬の町 明石の君

  南の東は山高く、春の花の木、数を尽して植ゑ、、、、以降段末までの六条院の各庭の叙述は素晴らしい。音読すべきところだと思います。式部さんの朗読も素晴らしいですよ、是非お聞きください。

 ③今後この六条院が主要なる舞台になります。
  平面図や模型やらネットにも色々載ってると思います。
  
  本ブログでも12.9.10に 「六条院 - 源氏物語のランドマーク」 を載せてます、ご参考に。

34.御方々六条院に移る 紫の上、梅壺と応酬
 〈p172 秋の彼岸の頃に六条の院にお移りになります。〉

 ①8月完成
  9月彼岸 源氏・紫の上・花散里 入邸
  5、6日過ぎて中宮
  10月になって明石の君
   →女君四人の移り方にもそれぞれ意味合いがある。

 ②紫の上と中宮の春秋論争
  中宮 心から春まつ苑はわがやどの紅葉を風のつてにだに見よ
  紫の上 風に散る紅葉はかろし春のいろを岩ねの松にかけてこそ見め

  この二人は1才違いだが中宮が入内する前は紫の上が後見役であった。ライバル関係ではないと思います。この春秋論争は四季の町が季節に重きをおいていることを強調するため作者が考え出した仕掛けなんでしょう。でも面白いです。

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少女(29・30) 朱雀院への行幸

p141 – 149
29.朱雀院に行幸 放島の試み、歌・音楽の宴
 〈p161 元日も、源氏の太政大臣は参賀に〉

①明けてG34年 2月20日 朱雀院へ行幸
  冷泉帝・源氏・蛍兵部卿宮が勢ぞろいする。
  それぞれの衣装が興味深い。帝と源氏は同じ赤色

 ②「放島の試み」 それも桜の満開時朱雀院で
  →風情ある中での試験。見る方は面白かろうが当人(夕霧)たちはたまったものでなかったろう。
  →寝殿造りの池での船の面白い使われ方
   三船の才 藤原公任    

 ③楽の船(竜頭鷁首の二艘の船)登場
  華やかな王朝絵巻の定番

 ④昔の花の宴(G20年2月@南殿、今から14年前)を偲ぶ
  琵琶 蛍兵部卿宮
  和琴 内大臣(頭中)
  筝の琴 朱雀院
  琴の琴 太政大臣(源氏)

  春鶯囀の舞 催馬楽 安名尊・桜人(目出度い歌・桜に因んだ歌)  

30.帝と源氏、弘徽殿大后のもとにまいる
 〈p166 夜はすっかり更けてしまいましたけれど、〉

 ①冷泉帝&源氏、宴の後夜更けに弘徽殿大后(朱雀院にいっしょに住んでいる)を見舞う
  大后 「今はかくふりぬる齢に、よろづのことを忘られはべりにけるを、いとかたじけなく渡りおはしまいたるになん。さらに昔の御代のこと思ひ出でられはべる」

  →源氏が明石から帰って(弘徽殿側が破れて)6年、この述懐は真実であろう。
   大后このころ57-8才くらいか(脚注15) 藤壷は37才で他界した

 ②内侍の君(朧月夜)がチラッと触れられる。朱雀院にいっしょに住んでいる。
  →源氏も折に触れ文は遣わしている(マメなことです)。

 ③弘徽殿大后に対する源氏の思いが語られていない。勝者の冷淡さであろうか。
  →この人も義理の母には違いないのに(だからこそ憎み合った)

 

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少女(26・27・28) 五節の舞以後の夕霧(惟光のこと・花散里のこと) 

p132 – 141
26.夕霧、惟光の娘に消息 惟光よろこぶ
 〈p153 そのまま舞姫たちを宮中に留められて、〉

 ①左衛門督その人ならぬを奉りて咎めありけれど
  →よく分からぬが細かい決まりがあったのであろう。ピンと来た読者もいたのでは。

 ②惟光の娘 典侍に(源氏の力で結局典侍になる)

 ③夕霧と惟光の娘の兄弟との会話が面白い(リアルです)。
  
 ③そして夕霧の贈歌を挟んでの兄妹と惟光の会話
  →惟光はしてやったりと思ったであろう。源氏に典侍への口ききを頼むぐらいだから美貌の娘を何とか上に押し出そうとの野望はあったのでしょう。でもまさか自分の口から源氏に「夕霧さまにウチの娘なんぞいかがでしょう」なんて言いだせない。

  明石の入道の例にやならまし
  →この忙しい時に何を夢みたいなこと言ってるの、、、周りの人は相手にしない。でも惟光には本心からのつぶやきだったのだろう。

27.夕霧、わが後見の花散里を批評する
 〈p156 若君はその後、〉

 ①源氏は二条東院西の対に居る花散里に夕霧の後見を託す 
  →同じ二条院に居る紫の上の所には決して近づけないのと全く対照的
  →花散里とは何も起こらないと源氏は確信している(でも万一ってこともあるのでは)

 ②夕霧の花散里評 容貌のまほならずもおはしけるかな、かかる人をも人は思ひ棄てたまはざりけり
  語り手の花散里評 もとよりすぐれざりける御容貌の、ややさだ過ぎたる心地して、痩せ痩せに御髪少ななるなどが、かくそしらはしきなりけり

  →小説的誇張にしてもちょっとひどいと思うのですが、、、。ここまで書かねばならぬ理由でもあったのでしょうか。

28.年の暮、夕霧と大宮、互いに嘆き合う
 〈p159 年の暮には、正月の晴れの〉

 ①G33年 暮 夕霧が三条邸の大宮を訪れる

 ②六位で始めさせられたこと雲居雁を引き裂かれたこと。夕霧にはつらい一年であった。 
  夕霧 老いねどくづほれたる心地ぞするや
  →相当に堪えて落ち込んでいる。それを大宮が必死に慰める

 ③祖母と最愛の孫との対話 自ずと愚痴が後をたたない。
 ・そもそも母(葵の上)はすぐ亡くなった
 ・実父源氏は他人行儀で冷たい(六位にしかしてくれない)
 ・頼みだった故大臣(左大臣)も昨年亡くなってしまった
 
  →まあ人生いろいろあるよ、元気を出しなよ、夕霧くん!  
 

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少女(22・23・24・25) 五節の舞

p122 – 132
22.雲居雁、内大臣邸に去る 夕霧の嘆き
 〈p145 若君は、あとに取り残されてことが、〉

①雲居雁が去ってしまった後の夕霧、切なかったであろう。
 →それにしても12才、ませてたものです。
 →恋を忘れるには勉強しかない、、、、と言う訳でもなさそうですが。

 ②夕霧 霜氷うたてむすべる明けぐれの空かきくらし降る涙かな

23.源氏、惟光の娘を五節の舞姫に奉る
 〈p146 源氏の君は、今年の新嘗祭の節会に、〉

 ①五節の舞姫 11月新嘗祭に行われる公的宴会 4人の舞姫が舞を舞う
  百人一首 No.12 僧正遍照
   天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

 ②詳しくは知りませんが舞姫を出すことは大変であり名誉であったのでしょう。
  この年は ・按察大納言(雲居雁の母が北の方になっている)
       ・左衛門督(内大臣の異母弟)→何故内大臣は出さなかったのであろう?
       ・良清(今や源氏の家臣から独立し近江守になっている)
       ・惟光(これも今や摂津守になっている。源氏が後ろ盾)
  から4人が舞姫を出す。

24.夕霧、惟光の娘を見て懸想する
 〈p148 大学にいる夕霧の若君は、〉

 ①夕霧、あれ以来恋わずらい、食欲もないし勉学にも身が入らない。ふらふらと二条院へ。普段は紫の上の近くには近づけないよう女房たちが気をつけているが舞姫を迎えごった返している。そう隙に舞姫の居るところへ入り込む。

  →源氏は夕霧を紫の上に近づけないよう徹底配慮している。
   「わが御心ならひ、いかに思すにかありけむ」(語り手の言葉=草子地)
    作者が源氏のことをからかっている。読者もクスっと笑ったところであろう。

 ②夕霧 衣の裾を引きならひたまふ
  →源氏 裳の裾を引きおどろかしたまへれば(紅葉賀p220)

  夕霧は惟光の娘(舞姫)を、源氏は大年増源典侍を。父子よく似てますね。但し夕霧は自分の裾を引いたのに源氏は相手の裾を引いている。やはり父の方が上手でしょうか。

25.五節の日 源氏、五節の君を思い歌を贈る
 〈p150 六位の浅葱の袍に引け目を覚えてこれまで参内もせず、〉

 ①五節の儀には六位の制服でなくても行ける。そこで違う服装で勇んででかける。
  →夕霧には六位がよほど堪えていたのであろう。ちょっと可哀そう。

 ②舞姫争いは一に源氏(惟光)、二に按察大納言

 ③ここで突然源氏の回想場面が入る
  源氏 をとめごも神さびぬらし天つ袖ふるき世の友よはひ経ぬれば 代表歌
  →この五節の舞姫、須磨の時(もう7年前になる)大宰府から都に戻っている。その後は何も書かれていない。時候の挨拶ぐらいはしてたのだろうか。

  五節 かけていへば今日のこととぞ思ほゆる日かげの霜の袖にとけしも
  →この人のことよく分からないので感情移入のしようがありません。

 ④段落の最後 つらき人の慰めにも、見るわざしてんやと思ふ  
  現代語訳 あの恨めしいお方と逢えぬ慰めとしてでも、これをわがものにできぬかと思っている。  →ただ見てお話するだけならまだしもものにしようとはチトやり過ぎではないでしょうか。   

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少女(18・19・20・21) 夕霧・雲居雁の逢瀬

p110 -122
18.内大臣、雲居雁を引き取る旨、大宮に通告
 〈p135 内大臣はあれ以来、〉

 ①内大臣(頭中)は右大臣二条邸に北の方(右大臣の四の君)と住んでいる。ここに入内している弘徽殿女御を里帰りさせる。
  →休暇を取って里帰りさせるのも大変、冷泉帝は不満だが内大臣は押し切る

 ②ここに雲居雁も引き取って弘徽殿女御の遊び相手にする。
  →雲居雁を大宮の所にはおいておけない、内大臣の大宮に対する怒りがおさまらない。
  →この辺が何事にも一直線な内大臣の性格か

19.夕霧、大宮邸にまいる 内大臣の真意
 〈p138 折も折、ちょうどそこへ

 ①内大臣の息子たち多数いる(大宮の孫)が大宮には夕霧が第一。
  夕霧が去って、雲居雁が大宮の慰めになっていた。その雲居雁を連れていこうとする。

 ②内大臣の心内
  もうできてしまったことなら結婚を許してもいいがズルズルとでは困る。けじめをつけて親同士も許す正式な結婚としなくては。それには今の六位のままではどうしようもない。
  →誠に真っ当な考えではなかろうか。
  →源氏が六位から始めさせたことがここでも尾を引いている。

20.大宮、雲居雁と惜別 夕霧の乳母の立腹
 〈p139 大宮から姫君へのお手紙に、〉

 ①大宮は雲居雁を呼んで別れを告げる。雲居雁も哀しい。

 ②夕霧の乳母(宰相の君)の恨み節。
  内大臣はどうおっしゃられようと夕霧さま以外の人に靡いてはいけませんよ。わが夕霧さまより立派な男なんているわけないんですからね。
  →乳母の怒りは尤もであるが雲居雁もこう言われても困ったであろうに。

21.夕霧、大宮のはからいで雲居雁と逢う
 〈p141 夕霧の若君は、物陰に隠れて居て、〉

 ①雲居雁が内大臣に引き取られる前に夕霧に逢わそうと宰相の君は大宮に相談する。
  →さすがしっかりした主人思いの乳母である。

 ②そして対面 二人の切羽詰まった対話が心を打つ
  夕霧「恋しとは思しなんや?」 
  → Do You! Love! Me!? と一語づつ切れ切れに言った。のであろうか。 

 ③内大臣が内裏から帰ってくる。夕霧はバレても構わないとヒシと雲居雁を抱いて離さない。

 ④雲居雁の乳母 「もののはじめの六位宿世よ」
  →これは強烈。夕霧にはぐっさり来たことであろう。もしこれを源氏が聞いたらどうしてただろう。

 ⑤夕霧と雲居雁の切ない歌の贈答
  夕霧  くれなゐの涙にふかき袖の色をあさみどりとや言ひしをるべき 代表歌
  雲居雁 いろいろに身のうきほどの知らるるはいかに染めける中の衣ぞ

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少女(15・16・17) 夕霧・雲居雁 筒井筒の恋

p101 – 110
15.雲居雁を本邸に移さんとす大宮の胸中
 〈p128 姫君は何も気がついていらっしゃらないのを、〉

 ①雲居雁の様子 ただただ無邪気である。

 ②乳母の抗弁(心中)が面白い。
  →高貴な姫君やら妃やらが過ちを犯す例あるがそれは女房の手引きによることが多いのでしょう。でも今回は大宮が二人が逢うことに寛容だったためで私たちとしては止めようがなかったじゃありませんか。

 ③大宮は二人とも可愛い、とりわけ葵の上の忘れ形見夕霧は特別。それなのに源氏は六位から始めさせるし、内大臣は二人のことで自分を責める。大宮が可哀そうではありませんか。

16.大宮、雲居雁との件につき夕霧をさとす
 〈p131 こんなに騒がれているとも知らないで、〉

 ①大宮の所を訪れた夕霧(二条東院で勉強中、月三回来る)に二人の事につき諭す。
  →怒るというより同情しつつ諭す。優しい大宮。

 ②夕霧の答弁もごく自然(結構肝が据わっている)
  →勉強ばかりしててそんな時間も機会もありませんし、、、

17.夕霧と雲居雁、仲をさかれ嘆き合う
 〈p132 それではこれからは、〉

 ①その夜夕霧は雲居雁と逢うことを試みる(やるもんです)。
  雲居雁の乳母子の小侍従が手引きしていた。

 ②風の音の竹に待ちとられてうちそよめくに、雁の鳴きわたる声のほのかに聞こゆるに、幼き心地にも、とかく思し乱るるにや、「雲居の雁もわがごとや」と独りごちたまふけはひ若うらうたげなり。
  →名場面、美文だと思います。

 ③夕霧独詠 さ夜中に友呼びわたる雁がねにうたて吹き添ふ荻のうは風
  →日頃は勉学に集中している夕霧。大宮邸で幼い恋人に逢うのだけが楽しみだったのではないか。

 ④この辺は筒井筒の恋 伊勢物語第二十三段を思い出しておきましょう。
  男 筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
  女 くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずして誰かあぐべき

  →高校の教科書に載ってる有名場面、幼い男女の恋の言い交しがとてもいい。
  →後段の高安の女の話は蛇足でしょう。

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少女(12・13・14) 内大臣、夕霧と雲居雁の仲を知る

p90 – 100
12.夕霧来訪、内大臣の夕霧への態度
 〈p121 「こちらへどうぞ」と、若君は〉

 ①雲居雁が琴、大宮が琵琶、内大臣が和琴で楽宴しているところに夕霧が登場する。
 夕霧には横笛を吹かせる。

 ②内大臣(頭中)は夕霧を可愛く思っており、そう勉強ばかりしてないで偶には気分転換でもしなさいよ、と声をかける(まさか夕霧が雲居雁と気分転換以上のことをしているとは思ってもいない)。

 ③夕霧からは雲居雁を遠ざけるように配慮している。

13.内大臣、夕霧と雲居雁との仲を知る
 〈p123 内大臣はお帰りになるふりをして、〉

 ①内大臣、帰るふりしてなじみの女房の所へしけこみその帰りに噂を耳にする。
  →女房のひそひそ話、それを聞いた内大臣の驚き、面白いところです。

 ②内緒話を聞かれた女房の気持ち
  →拙いことになった。後でお咎めがあるかも、、。それにしてもあの年でお盛んだわねぇ。。

 ③内大臣は帰り道&帰ってから色々考えるに段々と激高してきて夜も眠れない。
  →弘徽殿女御を貶め今度は雲居雁を傷物に、、、源氏・夕霧、もう許せない!
  →大宮に任せておいたのに見過ごしてるとは、、これも許せない(八つ当たり的)

14.内大臣、大宮の放任主義を恨み非難する
 〈p125 それから二日ほどたって、〉

 ①悔しさを抑えられぬ内大臣、母大宮のところへ文句を言いに行く。
  →老母に長々と悔し涙も流して詰問する(やり過ぎではなかろうか)。

 ②大宮も二人がそこまで行っているとは知らなかった。
  →それは拙いなと大宮も思ったであろう、でも息子から自分の放任のせいだと詰られては大宮も立場がなかったであろう。
  →商社マン的にはここは、「いやぁ参りました。母上、大変なことになってますなあ、こともあろうに母上の目を盗んで、、これは拙いですね、どうしたもんか、母上のお力もお借りして元に戻さないと、、ご協力お願いします」というしかないのではと思いますが。。。

 ③事情を知っている女房たち&先日内緒話を内大臣に聞かれた女房たちの戸惑い。
  →内大臣の格式ばった性格を物語っている。

 ④内大臣の大宮への言葉の中
  「さるにても、かかることなんと知らせたまひて、ことさらにもてなし、すこしゆかしげありことをまぜてこそはべらめ。幼き人々の心にまかせて御覧じ放ちけるを、心憂く思うたまふる」
   の部分は尤もだと思います。源氏も全く知らなかったでしょうがもし聞かされたらどういう反応だったのでしょうか。

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少女(8・9・10・11) 雲居雁の登場

p80 – 90
8.梅壺女御、御方々を超えて中宮となる
 〈p113 さて、宮中ではそろそろお后を〉

 ①后(中宮)争い
  1)斎宮の女御=源氏・故藤壷 絵合で勝利、故藤壷の意向大きい 
  2)弘徽殿女御=右大将(頭中) 一番先に入内、藤原氏からの立后が望ましい  
  3)式部卿の娘=式部卿(紫の上の父、藤壷の兄)

  →何のかの言っても斎宮の女御(梅壺)が中宮になる。
  →頭中はがっくりしたことだろう。
  →中空を彷徨う六条御息所はどんな気持ちだったのであろう。

 ②かくてまた源氏(王族)からの立后となる
  桐壷帝=藤壷中宮、朱雀帝=中宮なし、冷泉帝=梅壺(後の秋好中宮)

9.源氏など昇進 内大臣家と雲居雁のこと
 〈p114 源氏の君は太政大臣に御昇進なさり、〉

 ①源氏=太政大臣に、頭中=内大臣に (政治のことは頭中に任せる)

 ②頭中 女君沢山いて子どもも十余人(お盛んであった、帚木の巻の通り)
  雲居雁(初登場)の紹介
   母は雲居雁を産んだ後頭中と離婚、今は按察大納言の北の方
   年令は夕霧より2才上の14才(後で出てくる)
   大宮の所で育てられている
  
  →何で離婚したのだろう。母の出自はどうだったのだろう。
 
10.夕霧と雲居雁、互いに幼い恋情を抱く
 〈p116 そんなわけで、夕霧の君は、〉

 ①10才になって(夕霧がか)いっしょに遊べなくなる。

 ②おほけなくいかなる御仲らひにかありけん、
  →既に幼い契りを交していた!
  →真面目人間夕霧、されど父のDNAはウソをつかないということか。

 ③幼い恋、幼い恋文、、、、筒井筒の恋

11.内大臣、大宮と琴を弾きながら語る
 〈p117 太政大臣や内大臣のそれぞれの新任披露の宴会も終って、〉

 ①時雨うちして荻の上風もただならぬ夕暮れに
  →季節は晩秋~初冬 しんみりした話に相応しい設定

 ②雲居雁に琴を、大宮に琵琶を。内大臣は和琴
  話題は明石の君、姫君のこと。

 ③弘徽殿女御は中宮争いで敗れた。次は雲居雁を東宮に入内させて中宮を狙いたい。
  東宮=朱雀院の皇子(母承香殿女御)今年9才
  雲居雁 14才
  明石の姫君 5才

 ④源氏 vs 頭中 権力争いの構図
  →大宮にとって源氏は娘婿、頭中は実子(一族の長)

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源氏物語 TV番組のお知らせ

今日の夕刊に興味深い番組の紹介がありました。

BS-TBS 6日 午後7時-9時
「ドナルド・キーン 瀬戸内寂聴 『私の源氏物語』~魅力・引力 古典の力~」

紹介記事によると「番組では昨年12月に東京・国立能楽堂で開かれた『古典の日推進フォーラムin東京』の中から、キーン、寂聴によるリレー講演の様子などを伝える。」とあります。

寂聴さんの源氏論は読みつくしましたがキーンさんがどのように語るのか大いに興味があります。どうぞお見逃しなく。。

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少女(3・4・5・6・7) 夕霧、大学へ

p70 – 80
3.二条東院で夕霧の字をつける儀式を行う
 〈p106 大学寮の規則で、〉

 ①大学入学に際しての字をつける儀式、二条東院で行う(花散里もここにいる)

 ②学者(博士・大学の先生)の様子が滑稽に描かれている。
  →これが当時の学者の位置づけであろう。一種の職人ということだろうか。
  →猿楽がましくわびしげに=芸人みたいでもあった。決して尊敬される存在ではない。

4.字つける儀式の後の作文会、源氏の秀作
 〈p108 儀式が終わって、〉

 ①儀式の後、夜を徹して漢詩作成コンテストを行う(何と高尚なことであろう)。

 ②五言律詩(四韻を踏むので難しい、博士たち)
  五言絶句 (短く易しい、一般の人たち)

 ③窓の蛍を睦び、枝の雪を馴らしたまふ志
  →蛍雪の功 (蛍の光~窓の雪~)

 ④源氏の絶句は素晴らしい
  →どうせなら披露してもらいたいが、、(紫式部もそれは拒まざるをえないだろう) 

5.夕霧、二条東院でひたすら勉学に励む
 〈p110 それから引きつづいて入学の儀式をおさせになって、〉

 ①大学寮 内裏の南 朱雀門の東南四町を占める。

 ②夕霧は大宮三条邸から二条東院に移らせられ勉強部屋で猛特訓を受ける。
  大宮の所へは月3回しか帰れない。
  →大宮の恨めしさ如何ばかり 

 ③夕霧は真面目な秀才タイプ、瞬く間に学問を修めてしまう
  →源氏との性格比較が色々と述べられる
  →源氏は同じく12才で元服、葵の上が添臥、、、エライ違いです。

6.夕霧、寮試の予行に卓抜な資質をしめす
 〈p111 いよいよ今度は、〉

 ①試験勉強を伯父右大将(頭中)始め一族で手伝う。
  →頭中もここでは夕霧に随分尽くして合格を喜んでいるのだが、、、、。

 ②家庭教師たる大内記のことが面白い。学問でしか世渡りできない人。
  →紫式部は父為時をイメージして書いたのではなかろうか(考え過ぎか)。
  
7.夕霧、寮試に及第して擬文章生となる
 〈p112 若君が大学寮受験のため、〉

 ①大学寮試験の様子
  →お受験の今日でもまさか東大入試に母親は付いて行かないでしょうね。

 ②源氏が夕霧を大学に入れたとあってそれにあやかろうと大学入学者が増えた。
  →紫式部の学問礼讃、でも願望に過ぎなかったのかも。

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