p101 – 110
15.雲居雁を本邸に移さんとす大宮の胸中
〈p128 姫君は何も気がついていらっしゃらないのを、〉
①雲居雁の様子 ただただ無邪気である。
②乳母の抗弁(心中)が面白い。
→高貴な姫君やら妃やらが過ちを犯す例あるがそれは女房の手引きによることが多いのでしょう。でも今回は大宮が二人が逢うことに寛容だったためで私たちとしては止めようがなかったじゃありませんか。
③大宮は二人とも可愛い、とりわけ葵の上の忘れ形見夕霧は特別。それなのに源氏は六位から始めさせるし、内大臣は二人のことで自分を責める。大宮が可哀そうではありませんか。
16.大宮、雲居雁との件につき夕霧をさとす
〈p131 こんなに騒がれているとも知らないで、〉
①大宮の所を訪れた夕霧(二条東院で勉強中、月三回来る)に二人の事につき諭す。
→怒るというより同情しつつ諭す。優しい大宮。
②夕霧の答弁もごく自然(結構肝が据わっている)
→勉強ばかりしててそんな時間も機会もありませんし、、、
17.夕霧と雲居雁、仲をさかれ嘆き合う
〈p132 それではこれからは、〉
①その夜夕霧は雲居雁と逢うことを試みる(やるもんです)。
雲居雁の乳母子の小侍従が手引きしていた。
②風の音の竹に待ちとられてうちそよめくに、雁の鳴きわたる声のほのかに聞こゆるに、幼き心地にも、とかく思し乱るるにや、「雲居の雁もわがごとや」と独りごちたまふけはひ若うらうたげなり。
→名場面、美文だと思います。
③夕霧独詠 さ夜中に友呼びわたる雁がねにうたて吹き添ふ荻のうは風
→日頃は勉学に集中している夕霧。大宮邸で幼い恋人に逢うのだけが楽しみだったのではないか。
④この辺は筒井筒の恋 伊勢物語第二十三段を思い出しておきましょう。
男 筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
女 くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずして誰かあぐべき
→高校の教科書に載ってる有名場面、幼い男女の恋の言い交しがとてもいい。
→後段の高安の女の話は蛇足でしょう。
大宮にとって母のいない二人の養育は生きがいだったのではないでしょうか。
それを取り上げることは老母にとっては残酷な仕打ちのように思いますが・・・
幼い二人も大人の間でそれほど大層なことになってるとは思いもよらなかったことでしょう。
ここは私的には二人の仲は姉弟愛の延長の幼い恋心のようなもので深い契りがあったとは思えないのですが。
とは言え次の段(17)を読むともしやとも思えるし噂好きの女房どもの単なる好奇心とも色々解釈できそうです。
私には幼い恋が微笑ましくさえ思われるのですが・・・
筒井筒の恋の行方を見守りたいですね。
ありがとうございます。
夕霧と雲居雁の仲はどこまで進んでいたのか。議論があっていい所だと思います。そもそも契りがあったとは何をもってそういうのかでしょう。最後の一線を越えたのか(何をもって最後の一線かもありますが)どうかもさることながら、「そういう状況になっていた」ことで契りはあった、もう東宮に入内させられない、、と内大臣は思ったし回りもそう考えたということでしょうか。
でも夕霧の切なさ余る情熱的な行動をみれば決定的だなあとも思います、、、。