p216-228
15.薫帰京の後 宇治と文通 匂宮に告げ語る
〈p121 京に帰ってからも、〉
①舞台は京に移る。帰京した薫。宇治では思わぬことに遭遇した。
思いかけず姫たち(大君・中の君)を垣間見、大君と歌を贈答した。
日ごろ悩んでいた出生の疑念につき弁から衝撃的な話が語りだされた。
②早速薫、大君に文を書き、八の宮邸・阿闍梨の寺に品々を贈呈する。
→薫の実直なところ。夕霧にそっくりだと思うがいかが。
③宿直人を戯画化しているところ
宿直人、かの御脱ぎ棄ての艶にいみじき狩の御衣ども、えならぬ白き綾の御衣のなよなよといひ知らず匂へるをうつし着て、身を、はたえかへぬものなれば、、、、、、、、いとむくつけきまで人のおどろく匀ひを失ひてばやと思へど、ところせき人の御移り香にて、えも濯ぎ棄てぬぞ、あまりなるや。
→源氏物語中でも屈指の滑稽場面だと思います。薫の衣服をもらって着たはいいが衣服は洗っても洗っても薫の匂が消えない。普段上質なスーツなど着たことのない男が香水プンプンのすごいスーツを着てて人々からからかわれるみたいなもんでしょうか。
④薫、匂宮に宇治での出来事(姫たちのこと)をご注進する。
例の、さまざまなる御物語聞こえかはしたまふついでに、宇治の宮のこと語り出でて、見し暁のありさまなどくはしく聞こえたまふに、宮いと切にをかしと思いたり。
→薫と匂宮、話したい薫、興味を示す匂宮。
⑤匂宮「さて、そのありけん返り事は、などか見せたまはざりし。まろならましかば」
薫「さかし。いとさまざま御覧ずべかめる端をだに見せさせたまはぬ」
→「見せてよ。私なら見せるぜ」「何をおっしゃる。あなたこそ見せてくれないじゃないですか」
→雨夜の品定めで源氏と頭中が同じような会話を交わしていた(帚木p71)
⑥薫→匂宮
さる方に見どころありぬべき女の、もの思はしき、うち忍びたる住み処ども、山里めいたる隈などに、おのづからはべるべかめり。
→若者の女性談義 雨夜の品定めとそっくりではなかろうか。
→「宮、あなたのご身分では無理でしょうが、宇治の山中にかような姫たちがおりまして」
煽る薫、焦る匂宮
でも薫の心は姫たちより弁の話の方が気になっている。
16.薫、八の宮に対面 姫君の後見を託される
〈p126 十月になって、五、六日の頃、〉
①K22年10月5、6日 薫宇治へ(前回は9月末、さほど経っていない)
今度は網代車でひっそりと。
②八の宮が待ち受けてて阿闍梨も呼んで仏書読書会をやり次いで遊び(楽宴)に。
姫たちに琴を所望する薫、姫たちは恥ずかしくて奥に逃げ込んでしまい応じない。
→奥床しいところがまた薫の恋情を煽ったのかも。
③八の宮 「さすがに、行く末遠き人は、落ちあぶれてさすらへんこと、これのみこそ、げに世を離れん際の絆なりけれ」
薫「、、、しばしもながらはべらん命のほどは、一言も、かくうち出できこえさせてむさまを違へはべるまじくなん」
→姫君の後見を頼む八の宮、それを応諾した薫
→でもこれでは抽象的で結婚のことまで入っているのか不明
→過去にも後見を頼む場面があった。
朱雀院が女三の宮の後見を源氏に頼む場面
一条御息所が女二の宮の後見を夕霧に頼む(打診する)場面
→ぼやかした言い方の話なので後でモメそうな予感がします。