竹河(18・19・20・21・22) 玉鬘の嘆き

p146-159
18.大君、男御子を産む 人々に憎まれる
 〈p70 数年たって、御息所はまた、〉

 ①5年経過とあるのでK23年だろうか。
  御息所(大君)は男子を出産!
  →源氏 - 冷泉院 - 若宮
   源氏直系の男子である。

 ②後から来て女君・男君を産み冷泉院の寵愛を受ける御息所に妬みが集中する。
  息子たちからも糾弾され 大上(玉鬘)は嘆きたまふ
  →玉鬘、後ろ楯がいないのが可哀そうである。

19.薫の成人ぶり 蔵人少将なお大君を慕う
 〈p71 昔、大君に言い寄った人たちが、〉

①更に年が経って、薫は宰相中将になっている。
  「匂ふや薫や」と聞きにくくめで騒がるなる
  →匂宮と薫 二人が抜きんでて世人の憧れのスターとなっている。

 ②蔵人少将(夕霧の息子)も三位中将に昇進、世人の評判が高い
  左大臣(系図不詳)の娘と結婚したが未だ大君を想っている。
  →女二の宮と結婚したが未だ女三の宮を想っている柏木に類似か。

 ③大君は冷泉院では居心地悪く里がちに、今上帝に尚侍として嫁いだ中の君は気楽にやれている。
  →予想のついたこともあれば予想のつかないこともある。それぞれ人生ままならない。

20.夕霧ら昇進 薫、玉鬘邸へ挨拶に訪れ、対面
 〈p73 左大臣がお亡くなりになって、〉

 ①K23年秋の除目でそれぞれ昇進
  夕霧: 右大臣 → 左大臣
  紅梅大臣(頭中の息子): 按察大納言 → 右大臣兼左大将
  薫: 中将 → 中納言
  蔵人少将: 三位中将 → 宰相

 ②薫が昇進の挨拶に玉鬘邸を訪れる。
  薫が見た玉鬘の様子  「古りがたくもおはするかな、かかれば、院の上は、恨みたまふ御心絶えぬぞかし、いまつひに、事ひき出でたまひてん」
  →玉鬘53才だが未だに色香匂っている。冷泉院がご執心なのも無理はない。

 ③御息所(大君)は冷泉院後宮の張り合いに疲れ切っている。玉鬘は薫に冷泉院へのとりなしを依頼する。
  薫 、、、ただなだらかにもてなして、御覧じ過ぐすべきことにはべるなり。男の方にて奏すべきことにもはべらぬことになん。
  →薫はきっぱり断る。この辺は薫も優柔不断じゃない。しっかりしている。

 ④薫 「宇治の姫君の心とまりておぼゆるも、かうざまなるけはひのをかしきぞかし」
  →年代的にも(K23年)、宇治十帖(椎本)とダブっている。
 
21.紅梅邸大饗 大臣、匂宮・薫を婿にと志す
 〈p76 新大臣のお邸は、この玉鬘邸の東隣なのでした。〉

 ①玉鬘邸と紅梅大臣邸は隣合わせ。
  紅梅大臣邸で昇進大宴会を開くが匂宮は顔を出さない。
  →匂宮は紅梅大臣の姫君には興味がない。あるのは真木柱の連れ子宮の御方

 ②紅梅大臣邸の繁栄ぶりをみて玉鬘の嘆きは続く。
  紅梅大臣・真木柱夫婦はうまくいってるがそれに引き換えウチは大君が院参して子どももできているが後宮で妬まれて里に戻って来ている、、男女の仲は難しい、、、。
  →他人から見たら玉鬘こそ幸せ人に映るだろうに。

22.玉鬘宰相中将を見、わが子の不如意を嘆く
 〈p77 夕霧の左大臣のご子息の、〉

 ①蔵人少将がまた玉鬘邸に現れ御息所(大君)への想いを語る。
  →何故それほどまでに、、、よく分からないが未練に過ぎるのではないか。

 ②玉鬘はわが子たちの昇進の遅さを嘆く。
  →父親(髭黒)が亡くなったのが大きい。世襲身分社会ではどうすることもできないのであろう。

これが「竹河」です。これまでの本編と比べ何とも薄っぺらい感じじゃないでしょうか。新たな登場人物は多いのですが正直頭に入りません。心に迫ってくるものがないせいでしょう。

これで匂宮三帖が終りいよいよ来月から宇治十帖に入ります。これは匂宮三帖とはまるで違い物語がしっかりしてて面白いですよ。ご期待ください。

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2 Responses to 竹河(18・19・20・21・22) 玉鬘の嘆き

  1. 青玉 のコメント:

    良かれと思った大君の結婚も女御の妬みをかい里がちになる。
    姫君、男君を出産し冷泉院の寵愛を欲しいままであればそりゃあこの世界、妬まれるのも無理ありません。
    桐壺更衣がいじわるされたのを思い出しますね。

    年を経てそれぞれに昇進があるのに玉蔓の子息たちは遅れがち・・・

    紅梅大臣邸、玉蔓邸が対照的に描かれ玉蔓の嘆きが象徴的でため息が聞こえてくるようです。

    ここで思うのは人間の運命と幸、不幸についてです。
    自らの意思で選んだことも結果的には不幸だったり、運命に流されても幸せな結末だったり、その違い一体なんでしょうね。
    この時代に限ったことでなく今の時代も変わりないですね。
    運命論(宿命)になってしました。

       のどやかに花のあらそひいづ方の
           姫に寄するや桜舞ひ散る

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.冷泉院49才にして皇子を授かる。何とも不自然な話ですよね。本来なら秋好中宮入内後すぐ男の子が生まれ今上帝の次の皇位につかせるべきか源氏も冷泉院も思い悩む、、、、というストーリーが考えられますが脚注にもある通りそれはできなかったのでしょう。

      冷泉院はそのような宿命の人で子どもができなかった、、、とするのが自然だと思うのですが匂宮三帖に来て3人も子どもができる、然も男皇子も誕生したなんてちょっと待ってくれと言いたくなります。

      2.人間の運・不運、幸・不幸、おっしゃる通り紙一重、微妙ですよね。正しく神の手の匙加減かもしれません。でも運命・宿命はあろうともひたすら真面目に生きるしかないのが人間ではないでしょうか。
        →玉鬘は十分幸せでしょう。嘆くことはないのに、、と思います。

      3.和歌ありがとうございます。国宝源氏物語絵巻 竹河(二)姫たちの囲碁の場面ですね。この巻、この場面を憶えておけば十分だと思います。

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