源氏物語はフィクション、小説です。即ち作者紫式部による全くの作り事、お話です。従って身の廻りの事を述べた枕草子、方丈記、徒然草などとは根本的に違うし、平家物語ともジャンルは異なると思います(日本の古典文学としていっしょにくくるべきものではなかろう)。
平家物語はものがたりではあるが(フィクションを交えながらではあるが)ベースとしては歴史に基いて平氏の興亡を描いているわけで、謂わば司馬遼太郎の歴史小説と思えばいいのでしょうか。
源氏物語は全く違います。登場人物は全て紫式部が作り出した架空の人物です。人物像を作り上げるにモデルは色々といたのでしょうが、それらをミックスし光源氏なり紫の上なりを作り出していった訳です。従ってものがたりの筋書きも作者の思うまま、時には読者の意表をつき、時には読者の期待に応え喜ばせ、そして時には登場人物のセリフを借りて作者の主張を展開する、、やりたい放題なのです。だからこそ複雑ながらもとてつもなく面白い話として仕上がっているのではないでしょうか。
従って読み方、味わい方も「作り話を楽しみながら読む」ということに尽きると思います。登場人物に寄せる思いも読者によって異なるでしょうし、感動を受ける場面も異なってきます。だからこそ、読書会で意見を述べ合う事が望ましいのです。
紫の上に子供がいたらどうなってただろうかとか、浮舟の選んだ道は間違っていなかったのだろうかとかを仲間と語り合うのが楽しいのです(講読会ではお勉強の後、ワインとつまみで延々とフリートークをしていました)。