p60 – 63
16.左右大臣家並び立つ 蔵人少将と四の君
〈p51 この左大臣は帝の御信任がたいそう厚い上に、〉
源氏の結婚に続いて左大臣家と右大臣家の政略結婚のことが語られます。
系図でしっかりおさえておきましょう。
左大臣(妻大宮) - 頭中将 = 右大臣家の四の宮を妻に
- 葵の上 = 源氏の妻に
右大臣(妻記述なし)- 弘徽殿女御 = 桐壷帝女御 - 春宮
- 四の宮 = 頭中将の妻に
- 六の宮 = 朧月夜(後で出てくる有名女性)
左右大臣家の権力争いの構図です。
つひに世の中を知りたまふべき右大臣の御勢ひは、ものにもあらずおされたまへり
脚注5のところですが、「右大臣家の勢いがけおとされた」という本文はいかがなものでしょう。別に臣籍降下した源氏と左大臣家が姻戚関係を結んでも春宮の外戚である右大臣家が消沈することはないと思うのですが、、、。
17.源氏、一途に藤壺の宮を恋慕する
〈p51 源氏の君は、帝が始終お側にお召し寄せになりお離しにならないので、〉
①結婚後の源氏 藤壺への恋情は募るばかり
「さやうならむ人をこそ見め、似る人なくもおはしけるかな」
ないものねだりです。でもまさかを実現していくのだから恐ろしいものです。
②一方葵の上の方とはしっくりいかない。
どちらが悪いのか、葵の上のことがあまり描かれてないのでよく分からない。
→葵の上はどんな女性だったのか、何故うまくいかなかったのか、解説書に色々と書かれています。この議論は「葵の巻」でするのがいいのでしょうか。
③結婚後の源氏、宮中(藤壺が居る)に56日、左大臣邸(葵の上の居るところ)に23日。やはり不自然ですね。今で言う「家に帰りたくない症候群」みたいなもんでしょうか。
④「かかる所に、思ふやうならむ人を据ゑて住まばや」
この表現、紫式部の好きな表現でしょうか。色んなところで出てきます。
ということで最初の巻が終わります。長い長い物語のプロローグです。ここでは背景と登場人物をおさえておけば十分だと思います。
丸谷才一氏が亡くなりました。氏は源氏物語の研究者・愛好者であり国文学者大野晋との対談形式による「光る源氏の物語」は私が何度も繰り返し読んでる名著です。源氏物語を楽しんで読む方法を教わりました。
また源氏物語関連では欠落の一巻を題材にした「輝く日の宮」があり、読みたいと思ってたところだったのでいい機会だと思い注文しました。藤壷との馴れ初めは小説家は誰しも再現したい想いに駆られるのでしょうね。
それと「新々百人一首」。室町時代までの膨大な和歌が網羅されており、何度も挑戦したものの途中で挫折していたので、時間もできたし多少周辺知識も増えたので少しづつ読んでいこうと一念発起したところです。
左大臣家、右大臣家「御仲はいとよからねど」とありますが式部さんも前回のコメントでおっしゃったようにバランス的には蹴落とされたとは言えないのじゃないでしょうか?
注釈でも摂関家的な繁栄と左大臣家の繁栄とは異質なものとありますものね。
さて、どうにかこうにか「桐壺」の巻、なんとか曲がりなりにもついていくことができホッとしています。
しかしまだまだ始まりの始まりでこれからです。
丸谷才一 残念ながらお名前だけで一冊も読んでいません・・・
お約束の結びの一首(亡き桐壺の更衣を偲んで)
吾子遺しさだめはかなき桐の花
永遠(とわ)の旅路の哀れかなしも
ありがとうございます。和歌、すばらしいですよ。
「桐の花」がいいですね。
源氏物語を原文で読んで各帖ごとに感想の和歌を作る、、、知的満足感を得られるのじゃないでしょうか。別に出来栄えを世に問うものではありません。あくまで遊びです。思い切り飛び跳ねて個性的な歌を詠んでください。
(各帖代表歌・名場面ともどもリストを作るべく思案中です)
青玉さん、各巻ごとの一首、楽しみにしています。
読み終えたら54首の和歌集ができあがりますね。「青玉源氏和歌集」なんていいですね。 書道がお得意なら、短冊に書いても素晴らしいと思います。
書道も短詩形も全く趣味の域を出ず自己流のお遊びなのですよ。
ですから楽しみながら続けられればいいなと思っています。
先ほど帚木1、2、3を拝聴しました。相変わらず素晴らしい!!
味わいのある読みっぷりに魅了されております。
二年間の長きにわたって今後ともよろしくお願いします。