p36 – 42
9.命婦帰参、さらに帝の哀傷深まる
〈p30 宮中に帰った命婦は帝がまだお寝みになって〉
①宮中で帝が女房達と読んでいる書物のことが書かれている。
長恨歌と伊勢(伊勢集)と紀貫之(古今和歌集)、これが3本柱であったのであろう。
②命婦の報告(特に大納言の遺言)を聞き、帝は悲しみを新たにする。
「たづねゆくまぼろしもがなつてにても魂のありかをそこと知るべく」(独詠)
先の桐壷更衣の「かぎりとて、、、」と対をなす。
(幻の巻で源氏が紫の上の行方をさがしてくれと詠む「大空をかよふまぼろし夢にだに見えこぬ魂の行方たづねよ」とも呼応)
③長恨歌を下敷きに桐壷更衣との思い出にふける帝
比翼の鳥・連理の枝
→付録に長恨歌全文が載せられている(余裕あればでよかろう)。
④弘徽殿女御の悪態(悪行)が述べられる。
悲しむ帝、意に介さず(意に逆らって)傍若無人に振舞う弘徽殿女御
⑤「なほ朝政は怠らせたまひぬべかり」これも長恨歌そのまま
悲しみで立ち直れない帝、よほど堪えてるんだろうなと読者に思わせる叙述です。
この場面では全編、和歌、漢詩を通して亡き更衣を偲ぶ帝、母上の心情がこと細かく表現されていますね。
帝、母上、命婦のさらなる嘆き悲しみが読者にもひしひしと伝わってきます。
比翼の鳥、連理の枝に全てが象徴されているように感じられます。
弘徽殿女御の態度が憎々しく、対比的です。
おっしゃる通りですね。更衣の死を悼む桐壷帝の消沈ぶりが一番表れている段だと思います。
式部さんの哀調を帯びた朗読がすばらしいです。
源氏物語には数々の死の場面・死を悼む場面が出てきますが、双璧は桐壷帝が桐壷更衣を悼む本段と源氏が紫の上を偲ぶ幻の巻でしょうか。共に最愛の女性に想いを馳せる場面で幻術士を登場させるなど対をなした叙述となっています。
何れも長恨歌が下敷きになってます。その長恨歌の朗読(訓み下し文)、サイトでみつけました。(ちょっと強烈な読み方ですが、、、)
朗読平家物語 → 平家物語関連 → 白楽天「長恨歌」
で検索してみてください。ご参考まで。
長恨歌のご紹介、有難うございました。
男性の力強い詠みっぷりで韻律のリズムが独特ですね。
女性が読めば又イメージが変わるかもしれません。
桐壺の更衣を思うあまりに朝政まで怠りがちな帝、玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋物語さながらです。
作者、紫式部の教養の深さがうかがえる所でもありますね。
漢詩の読み方って知らないのですが、長恨歌ってあんな風に読むんですかね。ちょっと疑問ではありますが。。
でも改めて朗読聞きながら付録の長恨歌を読んでみてなるほどと思いました。紫式部はこれを全部咀嚼して物語の下敷きにしたんですね、、、偉いもんです。