さて最後のヒロイン浮舟です。これもコメントが飛び交いましたね。好きも嫌いも大いに語っていただきましょう。
【浮舟】
①浮舟=評価:良 好き嫌い度:好き
→だって浮舟が好きにならないと宇治十帖が面白くありませんもの。
→一目見たらボオ~っとしそうなオーラを持った女性と勝手に決め込んでいます。
浮舟 歌26首(女君ではNo.1 次は紫の上23首 明石の君22首) 代表
橘の小島の色はかはらじをこのうき舟ぞゆくへ知られぬ(浮舟)
→何といってもこの歌でしょう。「浮舟」、、、つくづくいい名前ですねぇ。
②浮舟って中の品の女性と言いますが、父は八の宮だから桐壷帝の孫であり源氏の姪にあたるのです。これって凄いじゃないですか。なまじ母が中将の君という侍女に過ぎなかったばかりに。
→つくづく「母の父」が如何に重要視されたのか思い知らされます。
③八の宮に認知されなかったばかりに受領に嫁いだ母について常陸で暮らす。
中将との結婚話~中の君を介しての薫との出会い~匂宮のアタック
→東屋・浮舟は本当に面白かった。第一部・第二部の光源氏の物語にはない新鮮さを感じました。
→仲人口の話、匂宮が浮舟を捜し出すに至るミステリータッチ、嘘つき右近の活躍、、等々。
④薫と匂宮、二人の男に愛された女の悲劇。悩む浮舟、迫る薫と匂宮。
→これぞ窮極の板挟みでしょう。外野席の我々はなんやかや言いますが浮舟も薫も匂宮も三人ともそれぞれに真面目に己の信ずる所に従いベストを尽くしたのだと思います。
→人間難しいものだとつくづく思います。
→私なんぞこんな難しい局面は避けて通りたい方なのであまり縁がありませんが。。
⑤手習~夢浮橋 浮舟の悟りは見事でした。出家が効いています。あの時の僧都の決断には拍手を送りたいものです。
→「出家」とは欲望を諦めることでしょうか。浮舟は本当にスッキリ人生リセットができたのだと思います。
→最後で薫が「人の隠しすゑたるにやあらん」と呟くところがありますがそれを聞いたら浮舟は「あほくさ!」と呟き返すでしょうね。
⑥先日夕顔の人物談義で浮舟は夕顔に通じるものがあると書いてコメントもいただきました。その後何故私がそんな風に思うようになったのか考えたのですが、結局夕顔~玉鬘~浮舟は「私の好きな女」なんだ、それに尽きるなあと思うようになりました。
浮舟(良 大好き)
物語の初め頃はさほど好きではなかったのですが徐々に好きから大好きになりました。
物語中、最も悲劇のヒロイン。
そして宇治十帖になくてはならないヒロイン。
自殺未遂まで追い詰められたその心情を思うと同情ばかりではなく寄り添い悩みを共にしたい心境になりました。
二人の男の狭間で揺れ動く女心。
その心の軌跡が見事に描写された宇治十帖、圧巻でしたね。
出家と言う道を選ぶまでの葛藤、出家後も思い悩むまさに人間、浮舟。
手習いの日々に自身の生き方を見つめやがて目覚めていく新生、浮舟を心から応援する気持でいっぱいです。
その後の浮舟は読者それぞれが想像の翼を広げて「我が浮舟」を心に描くことで締めくくりたいですね。
ありがとうございます。
好きから大好きになりましたか。よかったですね。
浮舟の話は本当にダイナミックであったと思います。東屋~浮舟・手習~夢浮橋と紫式部の筆使いも微に入り細に入り鮮やかで読ませてくれました。少将との縁談が破談になり、匂宮に押さえつけられ、薫に匿われ、匂宮に見つけられ、二人の狭間に悩み入水、蘇りまた中将に懸想され、出家。。。
波乱万丈でした。これだけ書いてもらうと読者も感情移入しやすくなりますね。私も同情したり叱咤激励したりでした。最後はやっぱり「あっぱれ」をあげたいと思います。
小生の浮舟評は「良」&「大好き」です。浮舟は容貌・スタイルとも抜群で、性格は素直で可愛いという極めて魅力的な女性だったと想像しています。なぜなら、匂宮のように女性を知り尽くしている男性ですら、浮舟と会って愛し合うために、あれほど情熱を傾け、無理も重ねるのですから。そして、匂宮にとっては、浮舟が愛の交歓を通じて着実に成熟していくタイプの女性であったので、一層浮舟をいとおしく魅力的に感じたのではないでしょうか。
あんなに魅力的でいい女なのに、浮舟は運命に翻弄されて、薫と匂宮との板挟みとなり、追い詰められ、宇治川に身を投げる。本当に可哀想です。でも、一命を取り留めた後、きっぱりと出家の道を選び、弟の小君が来ても、一切取り合わない。この思い切りの良さも素晴らしく、小生にとって浮舟が「大好き」なもう一つの理由です。
ちなみに、この思い切りの良さは「山口百恵」の引退と同じと感じます。彼女は三浦友和と結婚した後は、一切、マスコミに登場しない。だから、小生のような百恵ファンはいつまでも、あの感動的で素晴らしい引退コンサートを忘れません。今後、浮舟には権力欲や色欲、さらには見得や嫉妬が渦巻く平安の貴族社会とは一切縁を切り、仏の道に専念して心穏やかな余生を送ってもらいたいですね。それではちょっと勿体無いという気もしますが、もともと田舎育ちでナイーブな上、あれほどスキャンダラスな事件を招いた浮舟にとって、止むを得ない選択ではないでしょうか。
ありがとうございます。
1.青黄の宮さんのコメントを読んでて思いました。浮舟の最大の魅力は性的魅力だったのかもしれません。物語中では夕顔・玉鬘・浮舟の系譜でしょうか。この内源氏は夕顔とはごく束の間の愛の交歓しかやってないし、玉鬘とはコトに及べず、勿論浮舟とは会っていない(性的魅力と言えばもう一人朧月夜で、源氏は多分彼女が一番お気に入りだったのだと思います)。浮舟が匂宮に抱かれて性的に開花していく様子は正に官能小説と呼ぶにふさわしいものだったと思います。
2.なるほど百恵ちゃんですか。フアンにとってはあの面影がいつまでも残りますからねぇ。日本はどんな分野でも有名人にならなければダメだが一度有名人になってしまうと身を隠すのも難しい社会。そんな中で百恵ちゃんの生き方は立派だと思います。
→「あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ~」なんてありましたね。
境遇の変化のままに流されて生きてきた浮舟に、最初はあまり心動かされることはありませんでしたが、薫と匂宮、両者から愛されて深い悩みにひとり苦しむあたりから物語に引き込まれ、浮舟がだんだん好きになり、出家するところで最高潮に達しました。
人間としての成長がしっかりと感じられ、ほんとうによくやったと心に響くものがありました。
紫式部は当時の仏教界のすべてを信じてはいなかったでしょうし、僧に対しての手厳しさが物語中のあちこちから感じられますが、最後にこのヒロイン浮舟のありかたをもってきたことは、当時の女性にとって救いであったように思います。
ありがとうございます。
そうですか、青玉さん同様式部さんも浮舟がだんだん好きになり大好きになりましたか。なるほどねぇ。宇治十帖は煎じ詰めれば「浮舟と言う一人の女性の波乱万丈なる成長物語」と言うことになるのでしょうか。
→おそらくこのような評価は年を重ねたベテラン女性でなくてはできないでしょうね。
紫式部は長編源氏物語の最後で浮舟を通じ平安王朝社会で女性が抱える問題をさらけ出し「こんなのでいいの!」と訴えたかったのかもしれません。
→第一部では「いろごのみ」を礼讃し、第二部では「いろごのみ」に疑問をはさみ、宇治十帖では問題として提起した、、、という見方はいかがでしょう。