宇治十帖に入ります。まだ読後の印象が覚めやりませんが。
【八の宮】
①八の宮=評価:悪 好き嫌い度:嫌い
→どっちつかず、自己中心的、男になりきれなかった男、浮舟を認知しなかった男
八の宮 歌5首 代表
われ亡くて草の庵は荒れぬともこのひとことはかれじとぞ思ふ(椎本)
→薫に娘の後見を依頼しながら娘には軽薄な結婚をするなと言う。どっちなんじゃ!
②椎本の総括の所で八の宮の生き方について盛り上がりましたね。もう一度見てください。
→俗聖なんて中途半端 言動は無責任 こういうのが一番困りますねぇ。
→物語中、困った男ランキングのアンケートとれば間違いなく第一位でしょう。
③薫が慕って宇治を訪れてくれたK20年の時点で姫たちのことは薫にそっくり任せ自分は出家して山に籠るのが一番よかったのでは。
【大君】
①大君=評価:並 好き嫌い度:嫌い
→薫にはイライラしましたが大君にもイライラしました。一番嫌なタイプです。
大君 歌13首 代表
山姫の染むる心は分かねどもうつろふ方や深きなるらん(総角)
→大君は中の君の父親代わりにならざるを得なかった。これも八の宮の罪であります。
②何故大君はかくも頑迷に結婚を拒否したのか。挙句自分を追い込んで死んでしまった大君。大君を救う方法はなかったのか、、、。盛り上がりましたね。
→大君を救う方法、それこそ源氏に聞いてみたいですねぇ。
→多分源氏はこう言うでしょう「ボクならじっと目を見て「いいだろう!」ってそっと囁く、それで終わりさ。でもそりゃ、キミたちには無理だってもんだよ」
③長い長い総角の主人公大君。でも浮舟物語のインパクトの下に残念ながら大君はさっぱり印象に残ってないのですがいかがでしょう。
【中の君】
①中の君=評価:良 好き嫌い度:好き
→何と言っても匂宮夫人に納まり皇子を産んだ中の君。ひょっとすると皇子は皇位に上る可能性だって。現実を受け入れた中の君、私は好きです。
中の君 歌19首 代表
この春はたれにか見せむなき人のかたみにつめる峰の早蕨(早蕨)
→父を亡くし姉を亡くし傷心の中の君。でも匂宮でよかった。
②匂宮と結ばれ匂宮を信じ二条院に移り住み二条院の女主となった中の君。
薫が未練たらしくちょっかいをかけてくる。
→最初手引をしたとは言え今やれっきとした人妻。迫る薫が何とも理解できませんでした。
→浮舟出来後も薫が一番好きなのは中の君だったのかもしれません。
八の宮(悪 嫌い)
この人物は愛する二人の姫君を想うあまりかえって不幸を招いた男として嫌いですね。
聖などと薫から尊敬、憧れられながら男らしくないし負け男としてのイメージが大きいです。
薫にすべてを任せた、二人の姫君の後を頼むと遺言しておけばよかったものを。
娘たちに薫の存在をはっきり婿にと伝えておけば物語の筋は又変わってしまい単調にならざるを得ない・・・
やはり物語上の人物としてなくてはならない存在という意味でかろうじて椎本の名を認めてあげます。
大君(並 普通)
大君も父の呪縛に捉われなければ充分に幸せになれたはずなのに惜しい女性です。
薫の愛をもう少し素直に受け入れていればいい女だったと思います。
古風で雅、慎ましく品がある、その美点を生かすなんてこの時代所詮無理かしら?
中の君(良 好き)
愛敬があり可愛らしく素直そうで好きです。
薫に手引きされ匂う宮と結ばれたものの男児を得たことはやはり幸福な女性と言えるでしょう。
薫の未練、執着を何とか上手く交し匂宮夫人として健気に生きていくと思います。
ありがとうございます。
橋姫~椎本~総角と随分長きに亘り宇治の父娘には読者として手を焼かされました。全くすっきりしない人たちでした。あの重っ苦しさは独特でした。宇治十帖の文学性はその辺にあるのだ、、、なんて思うものの「もうちょっと何とかならないの」と言うのが正直な感想でした。光源氏の日の当たる明るい世界が本当にまぶしく思えたものです。
でも八の宮も大君もそして薫も人間として好きにはなれないもののそれぞれは悩み苦しみ懸命に生きようとした、それは言えると思います。その生き様が描かれているのが宇治十帖なんでしょう。人生、思うようには行かない、努力した結果が報われるとは限らない。。。やはり現代に通じた小説だと思います。
→それにしてもチト長すぎたなああ。。