【紫の上】
①紫の上=評価:優 好き嫌い度:大好き
→私は何と言っても紫の上が大好きです。女の鑑、もし私が女ならかくありたいと思っています。
紫の上 歌23首 代表
かこつべきゆゑを知らねばおぼつかないかなる草のゆかりなるなん(若紫)
→紫の上の歌は哀しい切ないものばかり。10才初出の歌、初々しいじゃないですか。
②「雀の子を犬君が逃がしつる、伏籠の中に籠めたりつるものを」
初登場の場面がいいですねぇ。夕顔を亡くしわらわ病にもかかり傷心の源氏にパッと光明がさした感じでした。この女の子なら源氏を幸せにしてくれる!そう思ったものでした。
③若紫の巻、紫の上登場の前に明石の君のことが語られている。実に含蓄深い伏線ではないでしょうか。源氏が自分好みの女性に育てあげた紫の上、源氏の期待とおりのよくできた女になったと思います。
④ところが正式な結婚をしてなくてなしくずし的に第一夫人になってしまった紫の上。結局これが後の不幸を生むことになる。
→葵の上が亡くなり最初に契ったあたりで桐壷帝も兵部卿宮(紫の上の父)も巻き込んで正式に結婚すればよかったのに、、、。
⑤それにしても紫の上の一生は次々に現れる源氏の女問題に悩まされ耐え続けた一生と言えましょう。
・先ず明石の君。身分的には劣るが何と言っても源氏の娘を生んだ、これは負けます。
・次いで朝顔の宮。朝顔が振ってくれたからよかったものの、もし結婚してたらみじめだった。この結婚話くらいから紫の上の悩みは深刻になった。
・そして血縁の女三の宮(従姉妹にあたる)
⑥女三の宮の登場にはゾッとしました。六条院春の町の寝殿を女三の宮に譲って東の対に移る。女楽では女三の宮を立て下位の席に座る。可哀そうで涙が出ました。
⑦結局紫の上は幸せだったのか、不幸だったのか。
→人間の幸せ不幸せ、そう単純に決められないでしょう。私は生きている役割を果たした紫の上は幸せだったと思います。
⑧明石の君との折り合いの付け方、明石の姫君を引き取り実子のように可愛がり育てた紫の上。普通なら敵対しそうな関係なのにうまく自分を納得させた生き方は賢明でした。
→臨終の場面、源氏ではなく明石の姫君(中宮)に手をとられて息を引き取った。安らかな大往生だったと思います。
紫の上(優) (大好き)
あどけなく明るい北山の少女時代から悩みを抱きつつ死に至るまでの紫の上の生涯。
人物、性格とも優れていただけにその生涯は辛くて哀しいイメージが付きまとうのを否めません。
女性としての嗜み、一流の教育を受け源氏第一の女性として愛されながらもやはり幸福感が前面に出てきません。
たえず源氏の女性関係に悩まされ最後は女三の宮の登場で自身の存在が危ぶまれる・・・
しかし紫の上は物語上も読者からも誰からもみても愛すべき女性だったと思います。
ライバル明石の君も紫の上には一目も二目も置いていましたものね。
幸福だったかどうか聞かれればやはりそれは「う~ん?」と言わざるを得ません。
望んでいた出家も許されず臨終を迎えた紫の上ですが最期、明石の姫君に手を取られ息を引き取る場面は心の安定を得、美しい紫の上らしい姿だったと納得の思いです。
ありがとうございます。おっしゃること全くその通りだと思います。
10才で源氏に連れて来られ源氏の好み通りに育てられ43才で亡くなるまで源氏に寄り添い共に生きた紫の上、、よくぞこんな女性を作り出してくれたものです。幸福だったかそうでなかったか、、色んな観点があると思いますが私は結局源氏と紫の上は正式な結婚をしていない(正妻ではなかった)ところが蔭だと思っています。翳りがあればピカピカの幸せになれないのも致し方ないのかもしれません(ある意味翳りの部分を際立たせるのが小説ですから)。
→でも決して不幸だったとは思っていません。
紫の上の評価が「優」であることには異論はありません。でも、好き嫌い度となると小生は「好き」程度で、「大好き」と言うには少し躊躇を感じます。
この躊躇は直感的なものなので、自分なりに躊躇を感じる理由を分析してみると、紫の上は全くと言ってよいほど自己主張をしない女性であるからではないかと考えています。言い換えれば、女性も少しは異論を述べたり、怒ったり、拗ねたり、妬んだりする方が人間味が感じられて可愛いのではと直感的に感じているからでしょう。
でもまあ、当時の価値観、特に男性が女性を評価する基準からすると、自己主張をする女性なんてとんでもないという見方が支配的だったのでしょうね。
含蓄深いコメントありがとうございます。
なるほど、よく分かります。人の好き嫌いって冷静に分析して決められるものでなく直感的なものですよね。まあ相性と言いましょうか。ところがその直感がやがては大きな違いに発展することもあり得る。最初、あばたもえくぼと好きになったらドンドン好きになって行くし、少し気になるところがあって躊躇しているとしまいには嫌いになってしまいかねない。難しいものだと思います。
→勿論青黄の宮さんの紫の上への好き嫌い度は他に大好きな人がいるのでその相対評価的に理由をつけて一つ落しておこうというに過ぎないと思いますが。
→私には紫の上もそれなりの自己主張はしている女性だったと思うのですが、、、これも直感でしょうね。
紫の上は当時の貴族の良識(常識)からすれば理想的な女性だったのでしょうね。こういうタイプの人に家を守ってもらえたら安心であり任せきりにできたでしょうね。
源氏が紫の上を10歳から自分好みに躾け教育してきた成果だといえるでしょうが、読者は「雀の子」事件を知っています。あの生き生きした女の子の天真爛漫さが失われてしまったのは残念でなりません。
遠慮せずもう少し源氏に対して言いたいことをはっきり言う場面があってもよいのではと何度も思いました。
紫の上は優れた素質、教養、家政能力、華やかな美しさをもっているにもかかわらず、不安感の上に生きていたように感じます。
賢くて好きな女性ですが、同時に物足りなさも感じてしまいます。
ありがとうございます。
若紫時代の紫の上、素晴らしかったですねぇ。「雀の子」事件、二条院に車で連れ去られるシーン、二条院で鼻に紅をつけた絵を描いて戯れるシーン、そしてあろうことか源氏が兄から夫に変ってしまうまで。
源氏の「妻」になってからも飛んだり跳ねたりで挙句須磨まで飛んで行った源氏の留守をよく守りました。アッパレでした。
「もう少し源氏に対して言いたいことをはっきり言う場面があってもよいのでは」
→その通りですねぇ。逆に源氏は甘えてか打算的にか紫の上に他の女性のこと(明石の君のこと朧月夜のこと)何でも言ってましたね。この辺源氏のずるさ紫の上の人の好さですかね、歯がゆく思いました。