p105-108
16.匂宮、侍従と語らう 侍従中宮に出仕
〈p206 心が穏やかで、いつでも態度の落ち着いた薫の君でさえ、〉
①薫から転じて匂宮の様子
宮は、まして、慰めかねたまひつつ、かの形見に、飽かぬ悲しさをものたまひ出づべき人さへなきを、
→あわれな浮舟のことを語り合う人もいない。
→いっそ薫と心を割って語り合えばいいのに(そりゃあ無理か)。
②対の御方ばかりこそは、「あはれ」などのたまへど、深くも見馴れたまはざりけるうちつけの睦びなれば、いと深くしもいかでかはあらむ、、
→その後中の君と親しく語らってるところが書かれていない。
→中の君は浮舟の姉、浮舟を偲ぶには格好の話相手であろうに(いやちょっと微妙かな)。
③かしこにありし侍従をぞ、例の迎へさせたまひける。
→「そうだ、あの侍従だ!」匂宮は目をつけた女性を忘れはしない。
④(宇治の様子)皆人どもは行き散りて、乳母とこの人二人なん、とりわきて思したりしも忘れがたくて、、
→浮舟の失踪後宇治に残ったのは乳母・右近と侍従のみ。他は散り散りになった。
→弁の尼もどこかへ行ってしまった。薫が面倒みている形跡もない。
→乳母・右近ともこれで登場しない。
⑤二条院ではなく中宮の所に仕えたいという侍従
匂宮「いとよかなり。さて人知れず思しつかはん」
→色好みの宮の本領発揮。侍従もまんざらではなかっただろう。
⑥いとやむごとなきものの姫君のみ多く参り集ひたる宮と人も言ふを、やうやう目とどめて見れど、なほ見たてまつりし人に似たるはなかりけりと思ひありく。
→中宮の所には上流貴族の姫たちがひしめき合っていた。
→そんな中、浮舟ならひけをとらない美貌であった。
(匂宮が中宮の(或いは女一の宮)の女房にと考えたのも道理)
→今上帝の後宮はどうだったのだろう。中宮と麗景殿女御以外は出てこないのが不思議。
匂宮もやはり憂愁を抱えたまま満ち足りぬ思いのようですね。
そんな時に「かしこにありし侍従をぞ、例の迎へさせたまひける」
残ったのは侍従のみ・・・
色好みの宮が放っておくわけないですよね。
侍従も憧れの匂宮からの声がかりなので内心はうれしかったでしょうね。
中宮への出仕を望んだ侍従。
なほ見たてまつりし人に似たるはなかりけりと思ひありく。
やはり我が宇治の姫君、浮舟が一番・・・
さもありなん、侍従の冷静な観察力ですね。
ありがとうございます。
浮舟に情熱を注いでいた匂宮。「何で救ってやれなかったのだろう。すまないことをした」との想いがまだ消えなかったのでしょう。薫は浮舟の遺族の面倒を見ることで罪滅ぼしとしているが匂宮は浮舟ゆかりの侍従を呼んで浮舟のことを偲んでやるぐらいしかできない。これも皇子故の不自由さ、致し方ないとこでしょう。よくやってると思います。
→侍従を呼び付けたと言ってもすぐに手を出したわけではないでしょう。まあ勿論その内に、、、でしょうが。