蜻蛉(10) 薫、小宰相の君の所へ

浮舟の四十九日が過ぎ物語は浮舟から離れて行きます。「えっ、なんで、、」という感じです。

p80-82
10.薫、小宰相の君と思いをかわす
 〈p186 明石の中宮は、叔父宮の式部卿の宮の御服喪の間は、〉

 ①式部卿の宮(源氏の異母弟)死去で服喪期間(3カ月)中宮は六条院春の町に里下がりしていた。

 ②二の宮なむ式部卿になりたまひにける。
  →匂宮(三の宮)は既に兵部卿であったが、兄は今まで無官であったのだろうか。

 ③この宮は、さうざうしくものあはれなるままに、一品の宮の御方を慰め所にしたまふ
  →宮中に女一の宮の御所があったのであろう。

 ④大将殿の、からうじていと忍びて語らひたまふ小宰相の君といふ人の、容貌などもきよげなり、心ばせある方の人と思されたり、、、
  →薫が小宰相の君の所へ通っているのはいいが、何故こっそりなんだろう。堂々と行けばいいのに。

 ⑤小宰相の君 、、、同じ琴を掻き鳴らす爪音、撥音も人にはまさり、文を書き、ものうち言ひたるも、よしあるふしをなむ添へたりける。
  →何ごとも秀逸な小宰相の君。いい女は浮舟だけではない!

 ⑥この宮も、年ごろ、いといたきものにしたまひて、例の。言ひやぶりたまへど、、
  →匂宮が片っぱしから言い寄るのは普通。それに靡かない小宰相の君が異常。

 ⑦小宰相の君 あはれ知る心は人におくれねど数ならぬ身にきえつつぞふる
  薫 つねなしとここら世を見るうき身だに人の知るまで嘆きやはする
  →気持ちを伝えあう典型的な歌の贈答なのだろう。女からの贈歌はやや異例か。

 ⑧薫 「、、、このよろこび、あはれなりしをりからも、いとどなむ」など言ひに立ち寄りたまへり。
  →何だ、秘密かと思ったのに、堂々と訪ねて行くとは!

 ⑨薫「見し人よりも、これは心にくき気添ひてもあるかな、などてかく出で立ちけん、さるものにて、我も置いたらましものを
  →去る者は日々に疎し、、、浮舟があわれである。

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2 Responses to 蜻蛉(10) 薫、小宰相の君の所へ

  1. 青玉 のコメント:

    浮舟が死んだ(と思っている)四十九日その後の匂宮と薫。

    喪失感を埋める為とは言えこの二人には納得がいかないですね。
    あれほど浮舟の死を悲嘆していたのが信じられません。
    所詮、男とはこんなものでしょうか?
    月々日々に疎しとはいうものの余りにもひどいではありませんか。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      この段の薫と小宰相の君のことを読み「えっ、そうだったの!そんなの聞いてないぜ!」とショックでした。(薫と紫式部に裏切られた気分でした)。

      公然の仲ではないものの以前から忍び逢っていたわけですよね。然もこれが美貌よし性格よし教養よしの素晴らしい女性。薫にとって浮舟って何だったの?と改めて思いました。

      小宰相の君、出自は書かれていませんが父が宰相だったのでしょうか。まあ東宮妃、匂宮妃になれるほど高い身分ではなかったのでしょう。でもすごい女性じゃないですか。薫なら側室として堂々と迎えられたのじゃないですかね。
       →でも所詮は女房風情、八の宮の落し胤浮舟との隠れた恋の方がよかったのでしょうか。

      よく分かりません。。 

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