桐壷(1) 余りにも有名な冒頭

講読コメント初日です。宇治の夢の浮橋まで何とかして辿りつけますように。。

「桐壷」紫のかがやく花と日の光思ひあはざることわりもなし(与謝野晶子)

第一巻 桐壷の巻 長い長い物語の始めの巻です。この巻は登場人物の説明・ストーリー背景の紹介が主。系図をみて関係をつかみましょう。誰でも知ってる有名なところです。深読みして概要を覚えてしまえばエエカッコできますよ。

このテキスト、段落毎にサマリーが書かれているので便利です。
(1)は「帝の桐壷更衣への御おぼえまばゆし」です
 〈寂聴訳巻一 p10 いつの御代のことでしたか、〉

p1 – 3
①「いづれの御時にか~~すぐれて時めきたまふありけり
 有名な冒頭です。源氏物語の講師はこの一節だけで何時間もかけて時代背景やら舞台設計やらを語るのでしょう。この辺は既にウオームアップで十分できてると思います。

②この冒頭は「伊勢集」の冒頭と酷似しているので有名です。
 「いづれの御時にかありけむ、大御息所ときこゆる御つぼねに、大和に親ある人さぶらひけり」(伊勢集)
 紫式部は先輩歌人伊勢を敬愛してたようですから、ちょっと拝借したのでしょうか。

③「御」の読み方
 普通は「おん」と読めばいい。殊更尊敬を強調するときは「おほん」、車・心などカ行で始まる言葉の前では「み」でもいい。気にしなくていいでしょう。私はルビがついてない限り「おん」と読んでます。

④とにかく尊敬語が多い。特に「たまふ」。煩わしいけど慣れれば気にならなくなります。丁寧語の「はべる」も同じです。「たまふ」と「はべる」がなければもう少しすっきりするのですが。

⑤桐壷更衣の出自。重要ポイントです。
 父は大納言(大臣までいかない)、母は旧家だがそれほどでもない、但し教養あり。
 この程度では女御になれない。更衣(女官、寝所にも侍る)にすぎなかった。

⑥その更衣を桐壷帝が後宮の秩序も構わず溺愛する。当然ブーイングが起こる。
 天皇は多くの妻妾を抱えるのはよいが自ずと遇し方があるべきでそれを遥かに超えていた。
   →当時天皇の純愛は罪であった。

⑦早速に長恨歌、楊貴妃を持ち出して読者の度肝をぬいてます。
 
この冒頭、繰り返し音読したいものです。
 

カテゴリー: 桐壷 パーマリンク

7 Responses to 桐壷(1) 余りにも有名な冒頭

  1. 清々爺 のコメント:

    朗読を右欄にアップしました。式部さんの手作りです。どうぞ参考にしてください。朗読は巻ごとにできるだけ一挙掲載したいと思います。コメントは一日づつで行こうかと思ってるんですが、もう少しまとめてアップした方がよいようなら変更します。目下試行錯誤中です。

    ヘッダの写真、源氏歌かるたを万葉マスターに加工してもらってるんですが、何せ縦長のかるた2枚を超横長にせねばならないので苦労をかけてます。改善に向けこれも試行錯誤中です。

  2. 式部 のコメント:

    待ってました!!
     いよいよ初日の幕が開きましたね。
     二年間のロングランです。
     体調に気を付け、無事に宇治十帖までいくよう願っています。
     継続は力なりですよね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

      今録画で「矢沢永吉 63歳のメッセージ」を見ました。一途にやり続けることの大切さを思いました。体力も大事です。お酒もほどほどにしなくっちゃね。。

  3. 青黄の宮 のコメント:

    いよいよ、講読開始ですね。おめでとうございます。
    原文は途切れ途切れにしか読めそうもありませんが、溜池の講読会で通読したのでお許し願って、引続き清々爺の名解説を楽しみにしています。

    それにしても、式部さんの朗読は素晴らしい。全部読み終えたら、録音版を小学館に売り込んでは如何でしょうか。これからはできるだけ、式部さんの朗読を聴く時間も確保したいと思います。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。とにかくチラチラでも覗いていただいていること心強いです。

      朗読はiPodなりスマホなりにダウンロードして車の中ででも聞いてください。ただ手ぶらで朗読だけだとさすがに分かりにくいと思うので、場面が分かるもの(段落リストでいいかも)は用意した方がいいでしょうね。

      いつでも気がついた時、思いついた時登場していただけばと思っています。

  4. 青玉 のコメント:

    購読、朗読スタートおめでとうございます。

    驚きました、式部さん。素晴らしい!!
    落ち着いたトーンで素直なお声の響き、魅せられました。
    つい聴き惚れて現代語訳を読み忘れてしまいました。
    青黄の宮さんがおっしゃるとおりです。
    どうかお声を大切に、喉の調子を保って下さいね。

    清々爺さん、ウオームアップが随分参考になっていることに今更ながら気づきました。
    原文に当たって主語が省略されてることと文章の長いことが最初の発見で今のところ慣れるのに精いっぱいってところかな?

    与謝野晶子の和歌、素晴らしいですね。
    私は各帖の最後に現代短歌で読んでみたいと思います。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。
      1.式部さんの朗読すごいですよね。源氏物語の文章に相当慣れてないとあんなにスムースには読めないと思います。長さも桐壷を通して読むのでなく段落をベースに細切れにしてもらってるので名場面とか気になった場面とかをピックアップして繰り返し聞いていただくのがいいかと思います。

      2.ウオームアップ、私なりに源氏物語講読に際して参考となるようにと相当力を入れて書いたつもりなので評価いただいて嬉しいです。

      3.各帖の短歌、よろしくお願いします。講読の励みにしていただけばと思います。

コメントを残す