p135-138
42.宇治に到着する 浮舟不安な身の上を思う
〈p288 宇治にお着きになって、〉
①薫「あはれ亡き魂や宿りて見たまふらん、誰によりてかくすずろにまどひ歩くものにもあらなくに」
→大君の魂が宿る宇治。そこへ浮舟を連れてきたということは大君から離れられないということか。いやはや厄介なことである。
②薫「わざと思ふべき住まひにもあらぬを、用意こそあまりなれ」
浮舟を玄関から迎えようとする弁に薫はそんな礼儀は不要だとする。
→浮舟の扱い(表向き&薫の心情として)をどうするのか、考え所ですぞ!
③川のけしきも山の色も、もてはやしたるつくりざまを見出だして、日ごろのいぶせさ慰みぬる心地すれど、いかにもてないたまはんとするにかと、浮きてあやしうおぼゆ。
→母から離れ宇治に連れて来られた浮舟。薫は一体自分をどうするつもりなのか、、、計り知れない不安に襲われたことだろう。
→「浮舟」、、正にこれ以上ないネイミングです。
④殿は京に御文書きたまふ。
→母女三の宮と正室女二の宮に。相変わらず小まめなことである。
43.薫、今後の浮舟のあつかいを思案する
〈p289 薫の君の常より少し打ちくつろいだ御様子が〉
①浮舟の様子
恥づかしけれど、もて隠すべくもあらでゐたまへり。
すこし田舎びたることもうちまじりてぞ、、
髪の裾のをかしげさなどは、こまごまとあてなり。宮の御髪のいみじくめでたきにも劣るまじかりけり、と見たまふ。
→恥ずかしげな様子。取分け髪がみごとである。薫も気に入ったのであろう。
→比較されるのは大君と女二の宮。もう薫の心から中の君は消えているのか。
②浮舟をどうするのか、薫の思案
「この人をいかにもてなしてあらせむとすらん、ただ今、ものものしげにてかの宮に迎へ据ゑんも音聞き便なかるべし、さりとて、これかれある列にて、おほぞうにまじらはせんは本意なからむ、しばし、ここに隠してあらん」
→源氏のように堂々と正面突破で二条院の一隅に妻妾同居で住まわせればいいのに。
→思えば源氏も明石の君の扱いに悩んだのだろうが、結局なしくずし的に紫の上とともに六条院に住まわせている。
→まあ、一旦宇治に隠しておこうというのは仕方ないところであろうか。
③万事に恥ずかしげで頼りなげな浮舟。
ただいとつつましげにて、ひたみちに恥ぢたるを、さうざうしう思す。
→でもそこが浮舟のいいところです。
源氏物語の巻名はそれぞれすべてに意味があり、かつ優雅で素晴らしいと思いますがまさに「浮舟」こそ、よくぞという感じですね。
それにしても薫の浮舟への扱い何やら納得いきません。
いくら召人腹だとは言えその扱いには差別心が見え隠れします。
まして大君の面影を求めての形代であればなおさらのこと・・・
もっと浮舟を心底思いやり身の安住を保証し心から安心させてやらなければいけませんね。
何かにつけ大君を思い出し比較するのもよくありません。
中途半端な扱いは相手にも通じてしまうものです。
あれこれ思い悩む薫の心内、裏目に出なければいいのですが・・・
薫には浮舟のすべての不安を払拭させるぐらいの強い意思をもってほしいものです。
ありがとうございます。
昨日に続き薫を弁護する立場にたって薫の心内を忖度してみました。
とにもかくにも浮舟を宇治に連れて来れた。よく見ると大君の面影を宿しているし、控え目で頼りなさげである。いい女だ。これならものごとを教え教養を身につけさせ自分好みの女に育て上げられるのではないか(脚注13)。宇治は通うに遠いけどそれだけに人目にはつきにくいし隠れ家としては最高だ。扱いとしては当分は隠し女かな。その内成り行き次第では第二夫人にしてもいいが、、、世間の目もあるし、まあじっくりやろう。。。。
→まさか匂宮が目をつけているとは知らない薫としては真っ当な考えではないでしょうか。
→ただ、おっしゃる通り浮舟の不安を取り除いてやらねばいけません。言葉と態度で「I love you!」を言い続けるべきでしょう。特に新婚であり肉体的絆を深めることが大事だと思うんですけどねぇ。