p66-74
20.中の君、憂愁の薫に浮舟を勧める
〈p230 いつものようにたいそう親しみ深く、〉
①中の君、浮舟のことをほのめかす。
かの人形のたまひ出でて、「いと忍びてこのわたりになん」とほのめかしきこえたまふを、
薫「いでや、その本尊、願ひ満てたまふべくはこそ尊からめ、時々心やましくは、なかなか山水も濁りぬべく」
→すぐには飛びつかない薫。匂宮ならすぐ女の元へ駆けつけるだろうに。
②薫 見し人の形代ならば身にそへて恋しき瀬々のなでものにせむ
中の君 みそぎ河瀬々にいださんなでものを身に添ふかげとたれか頼まん
→「なでものにする」おもちゃと言おうかペットと言おうか、人を愛するという感じはしない。この時点での浮舟に対する薫の感情はこの程度のものだったのだろう。
21.中将の君浮舟を薫へと願う 人々薫を賞賛す
〈p234 「ではそのお客人に、長年わたしが思いつづけてきたこの思いを、〉
①薫「、、いとうひうひしうならひにてはべる身は、何ごともをこがましきまでなん」
→もうこのセリフ聞き飽きた感じ。男女関係に疎いというのでなく優柔不断そのものである。
②中将の君「天の川を渡りても、かかる彦星の光をこそ待ちつけさせめ、、」
→16段で匂宮を見た時も「七夕ばかりにても、かやうに見たてまつり通はむは、いといみじかるべきわざかな」とあった。七夕伝説がお好きな母君である。
③薫の素晴らしさを自らの目で見、女房たちの礼讃の言葉を聞いて中将の君の心は固まったことだろう。
→少将などに嫁がせなくてよかった。薫にこそ浮舟を娶ってもらいたい。
22.中将の君、浮舟を中の君に託して去る
〈p236 中の君は、薫の君がこっそりお頼みになったことを、〉
①中の君「、、、かの世を背きてもなど思ひよりたまふらんも、同じことに思ひなして、試みたまへかし」
→Let’s try! 飛びこまないと物事は進展しない。
②中将の君「、、高きも短きも、女といふものはかかる筋にてこそ、この世、後の世まで苦しき身になりはべるなれと思ひたまへはべればなむ、」
→女性は自分では道を切り開けない。親まかせ、男の気持ちまかせ、、哀れな時代であった。
③常陸介は中将の君の不在に立腹して迎えの車をよこす。浮舟を中の君の元に残して中将の君は帰る。
→細かい描写が続くので物語の繋がりがよく分かる。
④浮舟 この御方も、いと心細くならはぬ心地に立ち離れんと思へど、いまめかしくをかしく見ゆるあたりに、しばしも見馴れたてまつらむと思へば、さすがにうれしくもおぼえけり。
→まだ浮舟の心内は詳しく語られていないが少なくとも上昇志向はあったのであろう。
薫、相変わらず積極的に行動せず煮え切らない態度ですね。
中の君や弁を通じての間接的な言葉のみです。
これでは恋も成就するわけありません。
前に中の君から浮舟のことをにおわせられてからかなり経っているのでは?
中将の君、まるで自分が恋をしているような舞いあがりようですね。
薫と中の君の会話は当然耳にしているはずですよね。
何か感じてもおかしくないはずなのに・・・
中の君「試みたまへかし」
きっぱりと言い切りましたね。
自分への執着を断ち、義妹への好意と責任感の複雑な胸中でしょうね。
一抹の不安を抱きながらも中の君の勧めに中将は願ってもない心境だったのではないでしょうか?
こうして中の君に託された浮舟の運命や如何に?
ありがとうございます。浮舟物語が動き出す面白い所にさしかかっています。
時系列を整理しますと、
K25年8月 薫、中の君から浮舟のことを聞く(宿木29)
9月 薫、宇治で弁から浮舟の出自を詳しく聞き仲介を依頼
(宿木33)
K26年4月 薫、宇治で浮舟を垣間見る(宿木48)
8月 薫、二条院で中の君から浮舟が居ると知らされる
(東屋20)
となってます。結構時間も経っているし自分に世話して欲しいとの望み通りに進んでいるのに薫は相変わらず優柔不断ですよね。
大君から中の君を勧められても大君に心が残り中の君へと心を切り換えることができなかった薫。ここでは中の君から浮舟を勧められてもまだ中の君に心が残り浮舟へと心を切り換えることができない。正しく自ら同じ轍を踏んでいる感がします。人間変わらないものなんでしょうね。
中将の君から浮舟のことを託された中の君、うまく薫への仲介ができるのでしょうか。聊か心配であります。