少将と介を取り持つ仲人の言葉巧みさ。父と婿との心の探り合い、人情の程が正直に描かれる大傑作場面だと思います。
p24-30
6.少将、介との縁組を欲して実の娘を所望す
〈p200 この仲人は追従者の上、性格の悪い男なので、〉
①この人追従あり、うたてある人の心にて、これをいと口惜しうこなたかなたに思ひければ、
→この仲人、成功報酬をもらえることになってたのだろう。すぐには諦めない。
②仲人、少将の気持ちを知って即座に浮舟から実の娘への乗り換えを提案する。
→第一提案が蹴られたらすぐ代案をプロポーズする。
→素晴らしい! これぞ商社マンの鑑であります。
③少将 「わが本意は、かの守の主の人柄もものものしくおとなしき人なれば、後見にもせまほしう、、、
もはら顔容貌のすぐれたらん女の願ひもなし。品あてに艶ならん女を願はば、やすく得つべし。、、、」
本心は介の財力(後見)であって女性ではない。
美女は望んでないし、上流の貴女も望めばすぐ手に入る。
→何とも正直な男である。
→こういう正直で単純な男の要望を叶えてやるのは有能な仲人なら容易いことである。
④少将 「すこし人に謗らるとも、なだらかにて世の中を過ぐさむことを願ふなり。守に、かくなんと語らひて、さもとゆるす気色あらば、何かはさも」
→分かりやすいですねぇ。この時代の中間貴族は皆こんな気持ちだったのであろう。
7.常陸介、少将の意向を知って満足する
〈p201 この仲人は、妹が西の対の継娘の姫君に〉
①仲人、少将の意向を介に直接伝えにいく。
→この状況判断が素晴らしい。行きにくいところだが直接会って訴えるのが最上策。
②仲人から介への大口上。これがすごい、見事である。
「、、、ある人の申しけるやう、まことに北の方の御腹にものしたまへど、守の殿の御むすめにはおはせず、、、、、、」
→少将の心変りを説明するに「ある人」を持ち出し、世間のせいにする。これで少将は悪者にならなくて済む。
→私が介なら「ある人って誰なんだ!」と突っ込みたい所ですけどねぇ。
③仲人の口上を聞いての介
「、、なにがしを取りどころに思しける御心は知りはべらざりけり。さるは、いとうれしく思ひたまへらるる御事にこそはべるなれ」
→単純な介、イチコロである。
④介「少将殿におきたてまつりては、故大将殿にも、若くより参り仕うまつりき。、、」
→身分はあるが金のない貴族と金はあるが身分は低い受領階級。
→ギブ・アンド・テイクが功を奏する典型事例であろう。
(、、、この仲人、誰に配役しようか考えながら書いています。。。)
この場面のやり取り面白いですね。
お互いの利害が巧妙にからんだ見事な書きっぷりです。
少将、まことに現実的で正直過ぎる男ですね。
こんな男に本気で怒った自分が恥ずかしい!!
現代にも通じる割り切りの良さです。
今では考えられない事ですが昔、仲人が存在した頃はこう言ったことはよくあった話だと思います。
仲人の口上手には驚いてしまいます。
あの手この手で上手く介を丸めこんでしまう芸当は大したものです。
単純な常陸介を言いくるめるのなど朝飯前?
さてこの人物の適役は?
う~ん、すぐには浮かびませんね~
ありがとうございます。本当に面白い場面で楽しくなりますね。
考えてみるとこの時代の結婚(婿入り)なんて当人同士の人格もあったものではなくいい加減なものですねぇ。少将も相手の(浮舟も実の娘も)顔も人柄も全く知らないし左程興味もない。関心は仲人の伝えてくる条件のみ。
今でこそ恋愛結婚が当たり前ですがつい先だってまで仲人口による見合い結婚がむしろ当たり前。互いに条件・釣書を出し合い釣り合いが取れている、お似合いだ、なんてことで結婚してたのだと思います。この辺も戦後、我ら団塊の世代あたりからでしょう。ラッキーな世代だったと思っています。
正直な少将、まあこんなものとは思いますがやはり浮舟主役の物語においてはちょっと嫌味な悪役なんでしょうね。