p18-24
4.少将、浮舟と婚約 介、実の娘に尽す
〈p195 この母君は、大勢の求婚者たちの中で、〉
①人もあてなり、これよりまさりてことごとしき際の人、はた、かかるあたりを、さいへど、尋ね寄らじ、、
中将の君は少将ならまあよかろうと考える。
②中将の君は介に隠して早速に八月に浮舟との婚礼をと日取りを決める。
③婚礼調度品、介の財に任せて豪華絢爛。母は浮舟にいいものを持たせようと準備する。劣るものは浮舟以外の妹たちへ。
→中将の君の介を馬鹿にした態度。
④品の劣る家具調度に埋れたような妹たちの様子
人の調度といふかぎりはただとり集めて並べ据ゑつつ、目をはつかにさし出づばかりにて。
→家具類の中に埋れる娘たち。皮肉っぽい誇張である。
⑤手ひとつ弾きとれば、師を起居拝みてよろこび、禄を取らすること埋むばかりにてもて騒ぐ。
→田舎びとが憧れるのは管弦音曲・風流事。
→こればかりは財と違って一朝一夕ではものにならない。
→教養とはそんなものであろう。
5.少将、浮舟が介の実子ならぬを知り立腹
〈p197 そうこうするうちに、あの少将は、〉
①はじめより伝へそめける人
少将のことを取り次いできた仲人。
→とにかくこの仲人が傑作である。
②中将の君、仲人に浮舟が介の実子でないことを告げる。
→仲人は言われるまでもなく知っていたのではないかと思うのだが、、。
③「しかじかなん」と申しけるに、気色あしくなりぬ。
→そんな大事なことを!怒る少将。まあ気持ちは分からぬでもない。
④少将「はじめより、さらに、介の御むすめにあらずといふことをなむ聞かざりつる。、、」
→「そんなこと聞いてなかったぜ!」よく聞くセリフである。
⑤仲人をなじる少将、あれこれ弁解する仲人
→二人の会話が面白い。事の経緯がよく分かる。
→出自・身分が全てであった当時、やはり少将としては裏切られた気持ちであったのだろう。
→でもこの時点では浮舟が八の宮の落し胤ということも知らない訳でもし知っていたら少将はどう考えたのが興味のある所である。
⑥少将「かやうのあたりに行き通はむ、人のをさをさゆるさぬことなれど、、、、もてあがめて後見だつに罪隠してなむあるたぐひもあめるを、、、、守にもをさを承けられぬさまにてまじらはんなむ、いと人げなかるべき」
→介の後見を得られるなら受領階級の娘との結婚も已む無いが後見もなく結婚するのはゴメンである。
→少将の気持ち、賛成はできませんが理解はできます。
中将の君の眼鏡にかなった少将との婚約。
娘の結婚のための仕度に余念のない母心・・・
財力にものを言わせる介の武骨さ、無教養ぶりが滑稽に描かれていて笑えます。
中将の君、常陸介を敷いているようですね。
少将の心変わり、男のエゴですね。
継娘では世間体が悪い、プライドが許さない・・・
肝っ玉の小さい男ですね。こんなのこちらから願い下げです・・・
あらあら私が怒ってどうするの?
これはお互い仲人口のなせる仕業でしょうか
仲人も負けてはいませんね。
ありがとうございます。
後のコメントで青玉さんも言っておられるように常陸介と中将の君の夫婦関係は面白い、不思議ですよね。お互い連れ子同士で二人の間にも複数の子どもがいる。介は家柄は悪くないが受領階級の成り上がり者(財はあるが教養はない)、中将の君は八の宮お手付きの上臈(財はないがブランド力と教養はある)。二人はお互いにないものを補い合うそれなりにいい関係の夫婦だったのでしょう。
介は女性関係も激しくはなく中将の君を大切にし愛してきたようだし中将の君も介に満足して仕えてきたように思えます。それがここに来て娘(中将の君にとっては浮舟、介にとっては実の娘)の結婚話が出て来るにおよび思いに擦違いが出てくる。極めて現実的なよくある話だと思います。
→私は介が浮気っぽくなく中将の君一人を大切にしてきた、その一点だけで介を好ましく思っています。