p229-238
47.薫、女二の宮を迎えても、なお大君を追慕
〈p47 その日の夜になって、女二の宮を宮中から、〉
①藤壷の宴の翌日夜に女二の宮、薫の三条宮にお輿入り
牛車の数がすごい 女二の宮の乗る廂の御車以下宮中から31台
プラス薫からの迎え車12台 合計43台 さすが帝のご威光。大行列である。
②女二の宮の様子
かくて心やすくうちとけて見たてまつりたまふに、いとをかしげにおはす。ささやかにあてにしめやかにて、ここはと見ゆるところなくおはすれば、、
→小柄で気品高くしっとりと落ち着いている。薫大納言もまんざらでもなかったろう。
③過ぎにし方の忘らればこそはあらめ、なほ、紛るるをりなく、もののみ恋しくおぼゆれば、
→それでも大君のことが忘れられない。救いようのない男である。
48.薫宇治へ行き、来合せた浮舟をかいま見る
〈p178 賀茂の祭などで、世間の騒がしい頃を〉
①K26年4月 賀茂祭を過して薫は宇治へ(寺造立の様子・尼に会いに)
②女車のことごとしきさまにはあらぬ一つ、荒ましき東男の腰に物負へるあまた具して、下人も数多く頼もしげなるけしきにて、橋より今渡り来る見ゆ。
→じゃじゃ~ん、浮舟登場。この辺りの書き振り玉鬘の椿市の場面に似ていると思うがどうか。
→京の人でもなく宇治の人でもない第三の人物(姫君)登場がよく分かる書き方
→宇治川に橋はかけられていた(先日の橋姫総括でのコメントを訂正してください)。
③「常陸前司殿の姫君の初瀬の御寺に詣でてもどりたまへるなり」
→初瀬が出てくると面白い話が展開される、、、読者の期待は高まる。
④薫は早速に覗き見。勝手知ったる宇治の山荘。どこに節穴があるかもお手の物だったのだろう。
「あやしくあらはなる心地こそすれ」
→浮舟最初の言葉。慎重な性格である。
⑤つつましげに下るるを見れば、まづ、頭つき様体細やかにあてなるほどは、いとよくもの思ひ出でられぬべし。
→薫の覗き見た浮舟。本当に大君にそっくりである!
⑥泉川の舟渡りも、まことに、今日は、いと恐ろしくこそありつれ。
→泉川は今の木津川、初瀬詣でにはこれを渡る(脚注1)
→百人一首No.27 藤原兼輔(紫式部の曽祖父 人の親の心は闇にあらねども、、、)
みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ
⑦主は音もせでひれ臥したり。腕のさし出でたるが、まろらかにをかしげなるほども、
→浮舟の様子。エロチックな感じが漂う。
⑧二人して、栗などやうのものにや、ほろほろと食ふも、聞き知らぬ心地には、かたはらいたくて退きたまへど、、
→薫には思いもつかない田舎人の様子。鄙にはまれな貴人を言わんがためか。
⑨何ばかりすぐれて見ゆることもなき人なれど、かく立ち去りがたく、あながちにゆかしきも、いとあやしき心なり。
→浮舟の姿は深く薫の心に沁み込んだ。皇女を娶った直後だというのに、、、。