p218-229
45.薫、中の君を訪ね、若君に対面する
〈p167 薫の君御自身も、いつものように、〉
①性懲りもなく薫は匂宮の留守を狙って中の君を訪れる。
→さながらストーカー行為である。
②薫「心にもあらぬまじらひ、いと思ひの外なるものにこそと、世を思ひたまへ乱るることなんまさりにたる」
女二の宮との縁組は気が進まなかったと訴える薫
そんなこと言われても中の君は答えようがない。
→総角では大君の心情に何故??と疑問をはさんだがここでの薫の心境も全く理解できない。
→男(公人としても私人としても)として人間失格ではなかろうか。
③若君を切にゆかしがりきこえたまへば、、、、乳母してさし出でさせたまへり。
→薫が匂宮の若君を抱く。感慨深い場面です。
(若君に薫の芳香が移ったらヤバイのでは)
④このごろ面だたしげなる御あたりに、いつしかなどは思ひよられぬこそ、あまりすべなき君の御心なめれ。
→大君の子どもは夢想するが女二の宮の子どもは心に浮かばない。
→結婚は義務や義理でするものではない。愛情なき結婚は相手への冒涜であろう。
46.藤壷の藤花の宴 薫の晴れ羨望される
〈p171 夏になれば、三条のお邸は宮中から〉
①夏になる前に(K26年4月朔日頃)女二の宮を三条宮に迎えることにする。
②明日とての日、藤壷に上渡らせたまひて、藤の花の宴せさせたまふ。
三条宮への降嫁にあたって帝主催の大歓送会(@藤壷)折しも藤の盛りである。
→夕霧右大臣、紅梅大納言始め皇子・公達総出の大宴会である。
③楽器 夕霧が和琴 匂宮が琵琶
笛は、かの夢に伝へし、いにしへの形見のを、 横笛は勿論薫
④今上帝の皇女女二の宮争奪戦の勝者薫の晴れ晴れしさ
敗者按察大納言(紅梅大納言)の腹立たしさ
→p226脚注 薫の異例の繁栄ぶりを語る。ああそれなのに薫の心は何故浮き立たぬ。
⑤薫 すべらきのかざしに折ると藤の花およばぬ枝に袖かけてけり
→心にもないことを、白々しい。
今上帝 よろづ世をかけてにほはん花なれば今日をもあかぬ色とこそみれ
→今上帝の歌は二首のみ。もう一つは国宝絵巻の薫と碁打ちの場面で詠んでいる。
→今上帝と言えば柏木が猫を借りたことがあった。まさかあの猫がきっかけで薫が生まれたとは今上帝も知る由もないでしょうに。
⑥薫は催馬楽 安名尊を歌う
安名尊 今日の晴れ晴れしさ尊さを歌ったもの
→朱雀院での放島の試みの際の楽宴で歌われている(少女p146)
どこまでも薫の心情、行動は不可解で理解が及びません。
これまでの薫に同情こそすれ共感できる事ってあったかしら?
さぞかし中の君も呆れ果てているのではないでしょうか・・・
藤壺の宴というのはいつも華やかなイメージがあります。
帝の主催とあれば他人もうらやむこの上なく晴れがましい宴でしょう。
一体何が不足の薫、いいかげん覚悟を決め女二の宮を大事になさいませ。
薫の和歌は見せかけでしょうか?それとも本心?
紅梅大納言の和歌も腹立ちを隠して表面的なお世辞が見え見えですね。
表面的にはどうあれこう言った宮中の出世に絡む羨望や争いもいろいろあったのでしょうね。
(追記)
明日、明後日留守にします。最終日、まとコメさせていただきます。
ありがとうございます。
私としたことが薫に「男として人間失格ではなかろうか」なんて手荒な言葉を投げかけていますね。多分この予定原稿書いた時、体調悪かったかヨメさんと喧嘩でもしてたのかもしれません。勿論おっしゃるように薫の心情・行動は相変わらず不可解でしっかりしろと言いたくなりますが弁護人としては少しでも言い訳の理由を考えてあげたいとも思っています。
この時代女性にとっては勿論男性にとっても気にそまぬ結婚というのが多かったのでしょうね。家のため親のため義務的なお仕着せの結婚を強いられる。仕方なく結婚した二人は結局心を通わすことができず形だけの不幸な結婚生活を送る。
源氏物語では、
源氏と葵の上
源氏と六条御息所(愛人関係だが)
源氏と女三の宮
柏木と女二の宮(落葉の宮)
蛍宮と真木柱
なんてカップルは幸せな結婚とは言えないのでしょう。
それにひきかえ髭黒と玉鬘は略奪婚ではあるもののその後心が通い合ったような感じがして微笑ましくなります。
薫と女二の宮、どういう夫婦になるのでしょうね。このままではチト危ういですね。匂宮と六の君はそれなりにうまく行きそうですが。。
良き夫婦関係、永遠のテーマだと思います。
(お忙しい中いつもすみません。どうぞ時間のある時にフォローしてください)