p68-78
4.夕霧、六の君の婿に匂宮をと切望する
〈p52 こうした話を、夕霧の右大臣はちらりとお聞きになりまして、〉
①夕霧の六の君
母は藤典侍 母の父は例の惟光。即ち六の君は惟光の孫(勿論源氏の孫でもある)
②夕霧は六の君を薫にと思ってたが帝の女二の宮との縁談話から薫をあきらめ匂宮に切り替える。
→妹にあたる明石の中宮に頼み込む。匂宮も母中宮には逆らえない。
③匂宮 ただ、いと事うるはしげなるあたりにとり籠められて、心やすくならひたまへるありさまのところせからんことをなま苦しく思す
→窮屈な夕霧の婿になるのは気が進まない。
→左大臣の娘葵の上に気が進まなかった源氏と似ているのでは。
5.薫、女二の宮との縁組を承諾 大君を想う
〈p54 女二の宮も、今は母女御の服喪が明けましたので、〉
①K25年夏 既に大君は亡くなっている(K24年11月)
はしたなきやうはなどてかはあらん、そのほどに思し定めたなりと伝にも聞く
→帝が女二の宮との婚儀を進めているのでは薫は拒否のしようもない。
→でもまだ大君のことが忘れられない。どうしてそこまで固執するのであろう。
6.匂宮、六の君と婚約 中の君の不安と後悔
〈p55 夕霧の右大臣はお急ぎになりまして、〉
①この段から早蕨の巻末に繋がる。
②右大臣には急ぎたちて、八月ばかりにと聞こえたまひけり。
→匂宮・六の君の婚儀は8月にと決まった。
③中の君 かへすがへすも、宮ののたまひおきしことに違ひて草のもとを離れにける心軽さを、恥づかしくもつらくも思ひ知りたまふ
→八の宮の遺言、呪縛が甦る。大君のように結婚しなければよかったとの思いも甦る。
④中の君 何かは、かひなきものから、かかる気色をも見えたてまつらんと忍びかへして、聞きも入れぬさまにて過ぐしたまふ。
→中の君は気丈に耐えるべく心を固める。そうだ!エライぞ中の君!
→段末脚注参照 女三の宮降嫁の時の紫の上にも似ている。
⑤さるは、この五月ばかりより、例ならぬさまになやましくしたまふこともありけり。
匂宮 「もし。いかなるぞ。さる人こそ、かあうにはなやむなれ」
→中の君懐妊! 戸惑う匂宮。
→女房がはっきりと教えてやればいいのに。
⑥宮は、隔てんとにはあらねど、言ひ出でんほど心苦しくいとほしく思されて、さものたまはぬを、女君は、それさへ心憂くおぼえたまふ。
匂宮は中の君に六の君との婚儀のことを伝えない。中の君は冷たいなあと思う。
→源氏は紫の上に言い過ぎだと思うほど何でも報告していた。匂宮にはできない。
→源氏-紫の上 vs 女三の宮 或いは 明石の君
匂宮-中の君 vs 六の君
構図が似ている。
⑦匂宮 このごろは、時々御宿直とて参りなどしたまひつつ、かねてよりならはしきこえたまふをも、ただつらき方にのみぞ思ひおかれたまふべき。
→夜離れの予行練習なんて聞いたことない。でも面白い。匂宮の心づくしの一つか。
振り返ってみればこの物語の主人公も孫の世代に入っているのですね。
惟光、懐かしい名前です。
京でも宇治の出来事とは同時進行で様々に成り行きがあったことが解ります。
結局、匂宮は六の君との婚約を納得したわけですね。
薫も女二宮との縁談を受け入れながら、なお亡き大君がいまだに忘れられない、信じられない執着心ですね。
二人の貴公子の京での現実は思わぬ方向に展開していくものですね。
中の君の嘆き、後悔しながらもかろうじてプライドを保とうとする健気さに打たれます。
同時に男の身勝手さにも呆れております。
ましてや身重の中の君、今後を思えばさぞかし心細かったでしょう。
しっかりお世話し補佐する女房がいないのも頼りない運命ですね。
追伸
今夜の源氏の集い、楽しみですね。
大いに語り、飲み盛り上がってください。
また楽しい後日談、聞かせていただくのを楽しみにしています。
ありがとうございます。
ここまでの宿木の冒頭部分は、「匂宮や薫にとって宇治の姫たちとの話は謂わば裏の話で実は二人にとって大事な表の話が京で着々と進んでいたのですよ、、、」という謎解きでしょうか。
薫は臣下だが将来を一番嘱望された貴公子(一世代前の夕霧に匹敵しよう)。その貴公子には帝の寵愛する第二の姫君との縁談が進む。一方匂宮は次の次の天皇を嘱望される第三皇子。その匂宮には当代権勢第一の夕霧の六の君(姫たちの内美貌も才覚も頭抜けていたのであろう)との縁談が決定する。表の世界の何と華々しいことでしょう。
こんな世界に住む匂宮と薫が何故没落した宇治の姫たちに異常なまでの恋心を抱くのか、、、それが宇治十帖でしょう。今後も勿論裏の世界が中心に語られるのですが表があっての裏ですから。表をしっかり抑えておくことが重要だと思います。
(源氏の集い、青玉さんに来ていただけなくて残念です。飲み過ぎないよう注意して盛り上がりたいと思っています。また報告します)