p264 -274
40.深更、匂宮雪の中を弔問 中の君逢わず
〈p339 薫の君は、自分の浅慮から、〉
①まだ夜深きほどの雪のけはひいと寒げなるに、、、宮、狩の御衣にいたうやつれて、濡れ濡れ入りたまへるなりけり。
→雪をおして匂宮が中の君を訪れる。ジャジャーンである。
②心もとなく思しわびて、夜一夜雪にまどはされてぞおはしましける。
→どれほどの雪か不明だが、宮は夜馬で訪れる。尋常なことではない。
③中の君「いますこしものおぼゆるほどまではべらば」
→今は拒否する中の宮。「今でしょう!!」にねぇ。
④匂宮の来訪
8月26日 中の君に侵入(初夜)
それから3日間(27日&28日)通う
9月10日頃 薫といっしょに来訪 中の君と共寝
10月1日 紅葉狩りにかこつけて宇治に来るが逢えず
その後禁足で自由がきかず
11月中ごろ 大君死亡
そして今回12月である
→紅葉狩りで逢えずに帰ってしまったことがきいている。
→やはりもう少し来るべきであったろう。大君の絶望も已む無いかも。
⑤中の君 来し方を思ひいづるもはかなきを行く末かけてなにたのむらん
匂宮 行く末をみじかきものと思ひなば目のまへにだにそむかざらなん
→やっと歌の贈答。匂宮は拒否されたととったとあるが歌は中の君から詠まれている。
⑥中の君「心地もなやましくなむ」とて入りたまひにけり。
→匂宮、折角来たのに。ここはいつもの通り押し入るべきではなかったか。
⑦中納言の、主方に住み馴れて、人々やすらかに呼び使ひ、人もあまたして物まゐらせなどしたまふを、あはれにもをかしうも御覧ず。
→どうも薫と匂宮は宇治の姫たちのことについて意思を通じ合っていないようだ。お互い見栄の張り合い、遠慮のし合いだろうか。
⑧中の君 つれなきは苦しきものをと、一ふしを思し知らせまほしくて、心とけずなりぬ。
→中の君の心も頑なである。何故折角訪ねて来てくれた匂宮の胸に飛び込めなかったのだろう。
41.歳暮、薫帰京 匂宮、中の君を迎える準備
〈p345 年の暮れになりますと、〉
①歳暮 四十九日が過ぎて薫は京へ帰る。
②女房たちの嘆き
「、、、はかなきことにもまめなる方にも、思ひやり多かる御心ばへを、今は限りに見たてまつりさしつること」
→女房たちの嘆きも当然だが中の君とて同じであろう(薫の後見なくば宇治の暮らしは成り立たない)。
③匂宮「なほかう参り来ることもいと難きを、思ひわびて、近う渡いたてまつるべきことをなむ、たばかり出る」
→京へ連れてくるしかない。匂宮も心を決めた。
→中宮の許しも得て二条院の西の対に。
④薫 宮の思しよるめりし筋は、いと似げなきことに思ひ離れて、おほかたの御後見は、我ならではまた誰かはと思すとや。
→匂宮の二条院と薫の三条宮は隣合わせ。色恋抜きに匂宮夫人中の君の面倒をみよう考える薫。そんなことうまくできるのだろうか。。。
ということでK24年は暮れていきK25年早蕨へと移ります。
薫は自身の浅慮を後悔、匂宮が雪の中を馬で駆けつけたにもかかわらず中の君は拒み続ける・・・それが姉、大君への追善供養の如くに。
すべてが空回り、思うようにいかないですね。
この巻、つくづく複雑極まりなく単純明快な私にはいら立ちやなぜ?なぜ?なぜ???が多すぎました。
そしていよいよ歳の暮れに薫は京へ戻ることに・・・
匂宮が京へ中の君を迎える準備は解りますが薫の
「宮の思しよるめりし筋は、いと似げなきことに思ひ離れて、おほかたの御後見は、我ならではまた誰かはと思すとや。」
これは一体どういうことでしょう、理解に苦しみます。
次の「早蕨」で事態は少しでも好転するのでしょうか?
田舎のそぼ降る川の瀬音が宇治川と重なって涙雨に聴こえてきました・・・
総角に結びし縁しはかなくも
宇治の川音のむなしかるらむ
ありがとうございます。お疲れさまでした。
本当に「なぜ?」の連続でしたね。よくもこれだけ読むのもシンドクなる話を書いてくれたものだと逆に紫式部に感心してしまいます。苦労させられても止める気にはならないところもさすがです。
薫の気持ちは摩訶不思議ですね。人がいいのか悪いのか、先を見通してのことなのか場当たり的な気持ちなのか、よく分かりません。どっちつかず中途半端でそんなことがずっと続く訳がないことだけは分かりますが。
総角の歌、ありがとうございます。ご苦労の跡が偲ばれます。
総角結びにしっかり結んだ縁、結び損ねてこんがらがったのか、うまく行きませんね。歯がゆいばかりです。