p119 – 136
5.大君妹を薫にと決意 中の君移り香を疑う
〈p224 姫君は、女房たちが昨夜のことを、〉
①薫との実事なき夜を過ごした大君の心境
「、、、この人の御けはひありさまの疎ましくはあるまじく、故宮も、さやうなる心ばへあらばと、をりをりのたまひ思すめりしかど、みづからはなほかくて過ぐしてむ、我よりはさま容貌も盛りにあたらしげなる中の宮を、人並々に見なしたらむこそうれしからめ、」
大君 ・父宮も薫の君ならよかろうと言われていた。
・中の君を結婚させてやりたい。
・私は独身を通そう。
→さあ、薫は大君にどう対処していくのであろうか。
②薫の移り香が大君についたと知った中の君
まことなるべしといとほしくて、寝ぬるやうにてものものたまはず。
→中の君は大君のことをそんなに不憫だと思ったのだろうか。よかったなという気持ちはなかったのだろうか。
③薫と大君が既に契ったと思いこんでいる女房たちは姫たちのしゃきっとしない態度を非難する。
→弁はどうしたのだろう。薫から聞いて事情を知る弁こそ大君の味方になって相談に乗ってやるべきであろうに。
6.喪明け、薫宇治を訪問 女房手引の用意
〈p227 御一周忌も済み、喪服をお脱ぎ捨てなさるにつけても、〉
①大君から見た中の君
、、めでたければ、人知れず、近劣りしては思はずやあらむと頼もしくうれしくて
→女盛りで薫に引き合わせても見劣りしない。中の君と薫を結婚させよう、、、。
②宇治山荘の女房たちは薫が姫(大君)の所へ来てくれることを切望しており、そのためには何でもする、、、そんな雰囲気になっており。大君もそれを感じている。
③大君は中の君を薫に取り持つのが一番と考え中の君に話して聞かせる。
「、、、君だに世の常にもてなしたまひて、かかる身のありさまも面だたしく、慰むばかり見たてまつりなさばや」
→自分よりも妹のことを、、、この大君の考え分かる気がしますが如何。
→中の君はそんなこと言われても困ってしまうのみ。
④薫は大君との対面を果たそうと居座って帰ろうとしない。
困った大君、弁を引きこんで対話する。
大君→弁: 薫には中の君をもらって欲しい。私は独身を通す。
弁→大君: 薫はそれでは承知しない。二人とも結婚すればいい。八の宮もそう考えていた。
→互いに十分言い尽くしている感じ。どっちもどっち、大君は決断できるか。
⑤薫「さらば、物越しなどにも、今はあるまじきことに思しなるにこそはあなれ。今宵ばかり、大殿籠るらむあたりにも、忍びてたばかれ」
→おお、頼もしや薫の中将!それでこそ男。さて首尾のほどや如何。
実事はなかったもののこの一夜で大君の心は薫に開かれ、その良さも認めたようですがそれが中の君に向かうとは・・・
これも姉としての責任感、事故犠牲でしょうか?
お互いを思いやる気持ちは愛おしいくもいじらしくもあります。
大君が中の君との結婚を望んでいるとしても薫は金輪際自らの意思を貫くのみです。
こちらがだめならあちらに・・・なんてそんな失礼千万な事、男として出来るわけないじゃないですか。
女房たちの自己保身にも心悩ませる大君ですがここは弁の出番ですぞ。
こうなったら最後は薫よ!勇気ある男の決断をするべきです、頑張れ!!
ありがとうございます。
延々と続く大君の心内描写、よくまとめていただきました。読んでて疲れますねぇ。結局は自問自答の繰り返しで堂々めぐりの感じがします。
考えれば考えるほど理性が勝ってしまう、そうなると自分のことを優先して考えられなくなってしまう。即ち先ず妹の幸せが第一、それには薫と結婚させるのが一番、、私は独身を通す(ちょっと悔しい気もするけど妹のためなら、、)という感じでしょうか。
この心の袋小路に風穴を開けるのは薫の行動力、、宇治の山荘全体に薫への期待が高まっています。