総角 心をば火の思ひもて焼かましと願ひき身をば煙にぞする(与謝野晶子)
→晶子のこの歌、今ひとつよく分かりません。
さて総角です。薫と大君、どうなって行くのでしょう。ガンバレ、薫!
(総角=「あげまき」源氏物語か催馬楽に興味ない人には読めないでしょう)
p94 – 106
1.八の宮の一周忌近し 薫、大君に訴える
〈寂聴訳巻八 p204 長い年月、すっかり耳馴れていた宇治川の川風の声も、〉
①K24年8月 八の宮の一周忌である。
薫と阿闍梨が何かれと取り仕切る。
→誰かの厄介になっていかねば姫たちは生きていけない。絶対絶命である。
②仏に奉る五色の糸を縒って作った飾り=総角(p97イラスト参照)
伊勢の御と紀貫之の古歌が引かれる。
催馬楽 総角
→離れて寝ていたが互いに転び合って共寝してしまったよ
→大らかでいい歌じゃないですか。
薫 あげまきに長き契りをむすびこめおなじ所によりもあはなむ 代表歌
大君 ぬきもあへずもろき涙の玉の緒に長き契りをいかがむすばん
→父の一周忌に際してではあるが大君の歌にはまだ希望が見られない。
薫にしては空しいやりとりである。
③薫は匂宮の想いについても大君に訴える。
→この辺、誰が誰を欲しいのか甚だ曖昧である。
「花いちもんめ」じゃないが「あの子が欲しい」って言わなくっちゃ。
④大君の言葉
こののたまふめる筋は、いにしへも、さらにかけて、とあらばかからばなど、行く末のあらましごとにとりまぜて、のたまひおくこともなかりしかば、
→父の言葉が呪縛となっているのもあるが、薫や匂宮の言いなりにはなりませんよという言い訳でもあろう。
すこし世籠りたるほどにて、深山隠れには心苦しく見えたまふ人の御上を、いとかく朽木にはなしはてずもがなと、、
→中の君のことが一番の心配。大君には父の遺言に続く第二の呪縛である。
2.薫、弁を呼び、姫君たちのことを話し合う
〈p209 こんな場合、若い姫君がしゃきしゃきと大人ぶって、〉
①薫、弁に訴える。
自分は八の宮に姫たちの後見を頼まれた。それなのに自分は拒否されるし匂宮のことも承知してくれない。何故だろう?
→薫の訴えも道理である。
②弁は薫に女房たちの言葉も交えながら大君の考えを解説する。
(弁の言う大君の考え)薫には中の君と結婚して欲しい。匂宮は本気ではないだろう。
→この弁の言葉は実情であろう(p102 脚注2)
③薫は弁の言葉をどう聞いたのであろう。
→「ともかくも中の君を結婚させてもいいと思ってるのはありがたい。結婚しない。宇治を出ないという一角が崩れることになるから。一つ崩れれば後は持って行き方次第、、、」と薫は考えたのではなかろうか。
読者にも宇治川の流れが清流であったり激流であったりたえず背景に川の流れが聴こえあたかもBGMのような効果を果たしている宇治十帖のように感じます。
春の穏やかなサラサラとした心地よい流れになって欲しいものです。
あげまき(総角)の意味、何となく想像はつきましたが実際見たこともないし催馬楽にあるのですね。
薫の誠実な訴えにもかかわらず相変わらず大君、すげない応答ですね。
大君はやはり八の宮の遺言を忠実に自らが父親、母親両方の立場で中の君を守ろうとの思いが強いのでしょうか?
うら若き大君には余りにも重すぎる宿命です。
薫と大君、互いに孤独な憂愁を抱く者として理解しあえそうな良いカップルだと私には思えるのですがじれったいですね。
弁への訴えも困り果てた揚句の薫の行動でしょうか?
ここでも匂宮を持ち出すのは筋違い、ひたすら大君と自分のことに絞るべきだと思うのですがね~
ありがとうございます。
そうか宇治川の瀬音がBGMとして宇治十帖全編に流れているのですね。なるほど、素晴らしい着想ですね。
1.「総角」って巻名、源氏物語の中で(意味的にも読み方的にも)一番難しいのじゃないでしょうか。これ知ってればなんとなく源氏物語通だと自己満足できるような気がします。
2.薫と大君&薫と弁(弁は大君の心を咀嚼して伝えている)の長い長い対話、それぞれの思惑があり分かりにくいところですね。でも薫は弁の話でこのままではダメだと思ったのでしょう。そうです、もっとストレートで押さなくては。。