p32-39
5.薫、姫君たちと語り内省する 匂宮の懸想
〈p156 薫の君はこちらに、〉
①八の宮が仏間に去って薫は弁と残った話をする。姫たちも奥にいて言葉を交わす。
②薫の心内 外ざまにもなりたまはむは、さすがに口惜しかるべう領じたる心地しけり。
匂宮はご執心だな。自分はどうもすぐ結婚とも思わない。他人に取られるのは嫌だけど八の宮が許してくれているのだからもう自分のものと思っていいだろうし、、。
→薫の姫たち(大君)への思いも今一つあいまいである。
③そんな薫を後目に匂宮は中の君にせっせと文を送りつづけている。
6.八の宮、訓戒を遺して山寺に参籠する
〈p158 秋が深まっていくにつれ、〉
①秋、山寺に勤行に行く前に八の宮は姫たちに訓戒(死期の近いのを自覚した遺言)をする。
「世のこととして、つひに別れをのがれぬわざなめれど、、、、まして、女はさる方に絶え籠りて、いちじるくいとほしげなるよそのもどきを負はざらむなんよかるべき」
訓戒1 父母の面目をつぶすな
訓戒2 軽薄な結婚をするな
訓戒3 宇治から離れるな
→誠に明快、それだけに残酷な言い方である。
→薫に後見(結婚)を頼んだこととも矛盾するし父として無責任極まりない。
②かく心細きさまの御あらましごとに、言ふ方なき御心まどひどもになむ。
→父の訓戒を聞いた姫たち、絶望を感じたのではなかろうか。
③更に女房たちにも訓戒する。
「うしろやすく仕うまつれ。、、、にぎははしく人数めかむと思ふとも、その心にもかなふまじき世とならば、ゆめゆめ軽々しくよからぬ方にもてなしきこゆな」
→この言い方も無責任だし心がこもっていない。誰も聞く耳を持たないであろう。
④脚注はこの段での八の宮の訓戒・遺言は零落せるも皇族の誇りと品格をからくも持ち続けてきたの宮の苦渋がこもったものだとするが、私には理解できません。
俗聖だの崇められているがとんでもない、八の宮こそ親(桐壷帝)の面目をつぶしたとんでもない男に感じます(大君も中の君もそして浮舟もこんな父の下に生まれて可哀そう)。
→どうもこの段読むと怒りがこみ上げてきて困ります。
どうも薫の心内の大きな部分を占めているのは姫君よりもわが身の出生のことのような気がします。
大君のことも気がかりだけど八の宮からも許しを得ているのだからそう急ぐこともなかろうかと・・・
逆に匂宮はこまめに便りを続けている・・・やはりこうと決めたら積極的にいかなくっちゃね~
八の宮の訓戒、納得いかないですね。
自分亡き後一番心配なのは姫君たちのこと、なぜすべてを薫に頼るように一言なかったのでしょう?
これじゃあ結婚もしないで宇治の山里に埋もれ朽ち果てよと言っているようなものじゃないですか?尼にでもなれと言うのですか。
落ちぶれたとはいえ皇族のプライドがそう言わせたのでしょうか・・・
清々爺さんもおっしゃるように言葉の矛盾を感じて怒れます。
姫君たちの幸せを願うなら薫にすべてを託してあるから安心してお任せなさいとでも言えばまた結果は違ったかもしれません。
八の宮って自己中心主義で好きになれません。
椎本らしくあって下さいよ!!
おっしゃるとおりです。八の宮は「私の死後の姫たちのことはすべて薫の君にお願いしてあり、了承していただいている。だからこれからは薫の君の指示に従って生きていきなさい。」というような趣旨の遺言をすべきですよね。宮家の誇りだけでは暮らしていけませんものね。そうすれば、父の遺言に姫たちが縛られ、ずっと思い悩まずにすむのです。
ほんとに罪作りな父親ですね。八の宮という人は・・
薫はなんだか恋に関してはのんびりしていますね。
匂宮は積極性がいいですね。恋にはこれが必要です!
青玉さん、式部さん ありがとうございます。
意見が一致しますねぇ。八の宮の無責任さ、薫の消極さ、匂宮の積極性。
八の宮の無責任さは考えるとカッカ来るので止めにします(椎本などとんでもない、瀕死の風見鶏みたいなもんじゃないでしょうか)。
薫の消極さについては昨日のコメント欄に書いてみました。そんな面もあったのかも知れません。薫が動き出すには更にきっかけが必要なんでしょう。
匂宮の積極性、好評ですねえ。青黄の宮さんもご満悦なことでしょう。