p115-130
11.少将、薫の文を見、中将のおもとに訴える
〈p41 それでもまだ甲斐のない愚痴でも聞いてもらおうと思い、〉
①蔵人少将、大君をあきらめきれず再度玉鬘邸を訪れ、薫が大君に宛てた文(歌)を見て益々焦る。
薫 つれなくて過ぐる月日をかぞへつつもの恨めしき暮の春かな
→薫は何が何でも大君をとは思っていない。余裕である。
②なすすべのない蔵人少将は 例語らふ中将のおもとの曹司の方に行く
→かねてから手なずけている(肉体関係のある)女房の所へ。いやはや。
③中将うち笑ひて、 わりなしやつよきによらむ勝負を心ひとつにいかがまかする
→女房にも軽くいなされている。情けないぞ、少将!
12.四月一日少将惜春の歌を贈る 女房の返し
〈p46 その翌日は、四月になりました。〉
①K15年4月 蔵人少将、懲りずに歌を贈り続ける。
②玉鬘「ただ人にはかけてあるまじきものに故殿の思しおきてたりしものを、、」
→大君は髭黒(右大臣)と玉鬘の娘。王統でもなんでもない。臣下の者には嫁がせないとは傲慢ではなかろうか。
→蔵人少将が何故大君に左程に思い入れるのかも不審である。現右大臣で世をときめく夕霧の子息である自分の方が格から言って上だと思うのだが、、、。
13.大君参院 蔵人少将と歌を贈答する
〈p48 四月九日に、大君は冷泉院にお興入れになりました。〉
①4月9日 大君、冷泉院にお輿入れ。夕霧、雲居雁嘆きつつも盛大な祝いをする。
②蔵人少将「、、あはれと思ふ、とばかりだに一言のたまはせば、、」
柏木が女三の宮に訴えるのに酷似
→柏木の狂気とはレベルが違うでしょうに。この語り口も不審です。
③@冷泉院 后、女御などみな年ごろ経てねびたまへるに、、
冷泉院44才 秋好中宮53才 弘徽殿女御45才 & 大君18-9才
→これはない、冷泉院ってこんな男だったのだろうか、不審です。
14.薫の未練と蔵人少将の落胆のさま
〈p54 源侍従薫の君を、冷泉院は明け暮れ御前に〉
①冷泉院は薫を可愛がっており薫は冷泉院に常時出入りしている。
薫 手にかくるものにしあらば藤の花松よりまさる色を見ましや
→大君に未練はあったものの真剣ではなかった筈。まあ冷静である。
②蔵人少将 かの少将の君はしも、まめやかに、いかにせましと、過ちもしつべくしづめがたくなんおぼえける。
→冷泉院におしかけて奪い取る?馬鹿なことを言いなさんな!
あきらめの悪い蔵人少将、女二の宮にしつこく想いを寄せた昔の夕霧を思い出させますね。
よほど大君の美貌に惚れたのでしょうか?
髭黒の遺言とは言え「臣下には嫁がせない」とは思い上がりも甚だしいし少将が大君にこだわるのも双方の思惑はちぐはぐですね。
年齢や身分を考慮すればこんないびつな結婚は考えられないのが普通に思いますが・・・
大君自身の気持ちにはほとんど触れられていないのも不満です。
薫と蔵人少将もまた対照的です。
ありがとうございます。
そう言えば蔵人少将の行状は女二の宮に対する父夕霧に似てますかね。でも夕霧は中年男の狂った恋、息子の方はまだピチピチの若公達。もちょっと颯爽として欲しいと思うのですが。
式部さんのコメントにもありますが、大君・中の君の参内、参内と騒ぎたてるのは不思議に思います。娘を入内させるのが貴族の最大の望みだったのでしょうが経済的にやっていけるのかも心配です。
夫をなくし、息子たちも歳若で官位も低い、しっかりした後見もないのに帝や東宮や冷泉院へ大君をと思う玉鬘、これはちょっと考えられないですね。
夫や源氏からの遺産はあったとしても、今までの例からすると、だんだん窮乏していくようですからね。能力的にも人間的にも優れた家司がいたのか、玉鬘自身が経済や経営の能力を発揮したのか、どうなんでしょう。そのあたりも詳しく書いてほしかったですね。そうすれば「竹河」の巻はもっと異なる面白さになったことと思います。
ありがとうございます。
「玉鬘十帖」での玉鬘はきれい、如才ない、機転がきく、身の程を弁えてる、逆境も経験してきている、、、といった印象で人間的に好ましく優れた女性だと思ってたのですが、あれから(髭黒と結婚後)24年、玉鬘はどんな女性になったのか読者としては興味津津だったと思います。髭黒との生活の様子、髭黒に死なれた際のエピソードなんか書いて欲しかったですね。冷泉院とのことをチラリと蒸し返されるだけではさっぱり分かりませんよね。