p152 – 164
14.諸方より弔問、朱雀院より御消息あり
〈p186 方々からの御弔問は、〉
①一条御息所死去と聞いて弔問
・夕霧 どんなにか驚いたことだろう。「しまった!そんなバカな!」
・源氏 単なる義理としての弔問だろうか。
・頭中 息子柏木に続いて。残された女二の宮を気遣ったことであろう。
・朱雀院 「出家していてお見舞いもできず、、、」
→そりゃそうだろうけど自分の妃(更衣)で子をなした女性ですよ!冷たいのでは。
15.御息所の葬儀、夕霧弔問し何かと手伝う
〈p186 生前から、そうしてほしいと〉
①御甥の大和守にてありけるぞ、よろづに扱ひきこえける。
→脚注4 一条御息所の出自の程度が示される。
大和は大国だけれど従五位上相当(播磨=明石入道も)。即ち国司の官位は低い。
②夕霧が駆けつける。
→汚名挽回、必死に宮に尽さねば!
③女二の宮 これには多くは御心も乱れにしぞかしと思すに、さるべきとはいひながらも、いとつらき人の御契りなれば、答へをだにしたまはず。
→女二の宮は実のところ夕霧のことをどう思っていたのだろう?
一夜無体なことをしかけたが何もせず帰った夕霧。夕霧との今後のことについて宮は諾否決めかねていたのではないか。しかし誤解が昂じ母は悲嘆にくれて絶命。これは夕霧が翌日キチンと対応しなかったため。そう思うとこの時点では夕霧の顔など見たくないと思ったことだろう。
④女二の宮 「ただ推しはかりて。我は言ふべきこともおぼえず」
→いかにも皇女らしい言い方である。
⑤即日火葬する。夕霧が色々と(簡略だが上流貴族としての格式の葬儀にすべく)取り決める。
→まめ人夕霧の面目躍如たるところ。でも宮には空しくこそ映らなかったであろう。
16.夕霧慰問を重ね、宮の態度に焦燥する
〈p192 山から吹きおろすたいそう激しい風に、〉
①その後(御息所死去は8月20日ごろ、今は9月秋もたけなわ)夕霧小野山荘に足繁く訪う。
夕霧のせいで母が死んだと思いこんでいる女二の宮は心を開かない。
→当然であろう。顔を見るのも嫌だったのでは。
②夕霧の長い心内
大宮死去の時自分がいかに心の底から嘆き悲しんだか、、、こんなに情の深い私の心持を分かってくれないのか、、、。
→これも自分こそ正当だとする秀才の論理だろうか。自分が疎まれていることに気づかない。
→これでは女二の宮の心を開かせることは無理であろう。
朱雀院、御息所は単なる更衣の内の一人また女三の宮と違い更衣腹の二の宮に対しては冷淡ですね。
葬儀に関して夕霧誠意を尽くしたようですが母を失った女二の宮に対して通じないでしょう。
むしろ夕霧さえいなかったら母は死ぬようなことはなかったのにとの恨みがましい気持だったと思います。
夕霧と女二の宮との出会いはこれまでの所、何もかもがすっきりしませんね。
行動も気持ちもすべてに誤解や行き違いがありこれは一体何だろうと考えた時やはり秀才特有の夕霧の自己中心的な考えにあるのではないでしょうか。
それに御息所と女二の宮の母娘の特殊な結びつきが加わりすべてが空転しているように思います。
ありがとうございます。
おっしゃる通り何もかもすっきりしないお話ですが、これが現実の人間模様ということなんでしょうか。
1.朱雀院の冷淡さ。関わった女性にはもう少し実を尽して欲しいと思いますね。でもこれは朱雀院の性向というよりトータルの人間力の至らなさでしょう。出家・道心を都合よく言い訳に使っている感じがして好きになれません。
2.夕霧の考えと行動。「秀才特有の自己中心的な考え」、その通りだと思います。御息所の葬儀をテキパキと差配して誠意を尽す夕霧。彼の行動は心底からのもので打算的なものではないと思います。ただ秀才で自分は正しいことをやっているのだから他人もそれを分かる筈だ、分かるべきだ、、、と考えてしまうんですね。秀才の限界です。でもこれは学習すれば克服できる筈。夕霧がどう変わっていくのか楽しみです。(私は夕霧フアンです)。