p142 – 152
11.夕方文を発見、狼狽して返事をしたためる
〈p177 蜩の声に目を覚まされて、〉
①手紙が見つからないまま日が暮れて行く、、マズイ!
②御座の奥のすこし上がりたる所を、試みに引き上げたまへれば、これにさし挟みたまへるなりけりと、うれしうもをこがましうもおぼゆるに、うち笑みて見たまふ
→やっと見つかった。具体的叙述に読者もホッとする。
③ところがその内容たるや、
かう心苦しきことなむありける。胸つぶれて、一夜のことを、心ありて聞きたまうけると思すにいとほしう心苦し。
→夕霧は驚き、「しまった!」とゾッとしたことだろう。
④ここからの夕霧の状況判断に問題あり。
夕霧「坎日にもありけるを、もしたまさかに思ひゆるしたまはば、あしからむ、なほよからむことをこそ」
→これは甘い!すぐにも飛んで行って直に説明を尽さないと!
→こんな言い訳が通用すると思ったのか。秀才、頭でっかちの悪いところである。
12.悲嘆のあまり、御息所の病勢急変する
〈p180 小野の山荘では、〉
①夕霧から何の返事もない。
女二の宮=「何もなかったのだから」として母に申し開きもしない。
→これがいけない。母がどんな思いでいるのか理解していない。
御息所=病をおして女二の宮に長々と一方的に思いを伝える。
ただ人だに、すこしよろしくなりぬる女の、人二人と見る例は心憂くあはつけきわざなるを、ましてかかる御身には、さばかりおぼろけにて、人の近づききこゆべきにもあらぬを。
→娘を大事にしたい一心だろうが考え過ぎだろう。病が昂じるのも無理はない。
②物の怪なども、かかる弱目にところ得るものなりければ、にはかに消え入りて、ただ冷えに冷え入りたまふ。
→そんなに重態だったのだろうか。怒り・屈辱・絶望、、、メンタルに起因するものだろう。
13.御息所死去 落葉の宮これを嘆いて死を願う
〈p184 こうして大騒ぎをしている最中に、〉
①かく騒ぐほどに、大将殿より御文取り入れたる、ほのかに聞きたまひて、今宵もおはすまじきなめりとうち聞きたまふ。
一旦蘇った(意識回復した)御息所、夕霧が来ないと知って絶命する。
→こんな思いで死ぬ御息所はあまりにも気の毒である。
→コミュニケーション不足・誤解・思い込みが生んだ悲劇であろう。
(もし夕霧が駆けつけてくるとの一報だったら生き返っていたかも、、、)
②「今は言ふかひなし。、、、」
無神経な女房の言葉
→現実は厳しい。他人は慰めにならない。女二の宮も自身が強くなるしかあるまい。
なんでもない所で文を発見し安堵したものの夕霧の対応はいささかまずいですね。
頭でっかちの不器用男丸出しです。
ここは雲居雁に気を遣っている場合ではありません。
挙句御息所は心労で病はひどくなる一方・・・
それにしてもこの母娘少し異常過ぎるほど密着型ですね。
いい大人が干渉し過ぎですね、女二の宮が自立できていないのでしょうか?
普通はここまで干渉されたら差し出がましくうっとおしい限り、いい加減にしてよといいたくなるものですが。
娘が娘なら母も母という感じにしか思えません。
そしてあっけなく生き絶えてしまわれるとは!!
この死は何とも哀れですね
この世に希望も光もなく悲嘆と絶望感から死へと・・・
娘いちず、娘命、ただ娘だけが生きがいだったのでしょうか?
これでは成仏できないですね。
ありがとうございます。
人生で「しまった!こりゃ取り返しつかないぞ」と思ったこと何度かありますよね。狼狽して善後策も思いつかず頭の中は真っ白。手紙をやっとみつけ読んだ時の夕霧は正にそうだったと思います。でもやはりその後の夕霧の判断は甘いでしょうね。夕霧、29才まだ人生経験不足かもしれません。
御息所の死はあまりにあっけなく唐突な感じです。当時は物の怪の仕業として納得されたのかもしれませんが現代人からするとちょっと不思議です。おとぎ話ならいざ知らずリアルな源氏物語には似つかわしくないと私は批判的です。
(ストーリーの展開としてはドラマティックでいいとは思いますが)