p23 – 32
5.夕霧、一条宮訪問、柏木遺愛の笛を受ける
〈p85 秋の夕暮の何となく物淋しい頃に、〉
①時は移り「もののあはれの秋」 秋の夕のものあはれなるに、
②夕霧 一条宮を訪問 折しも女二の宮が弾くらしい琴の音が聞こえる。
例の、御息所対面したまひて、
→何故いつも母親なんだろう。御息所は畏くも朱雀帝の更衣で軽々しい人ではなかろうに。
③わが御殿の、明け暮れ人繁くてもの騒がしく、幼き君たちなどすだきあわてたまふにならひたまひて、
→夕霧の自邸(左大臣三条邸)は子ども7人、ごった返している。
→物静かな一条宮に憧れる夕霧。如何にもありそうな話である。
④女二の宮に琴を弾いて欲しい夕霧と夕霧こそ弾くべきであるとする御息所との押し問答
→この辺が恋の手管の定番なのであろう。何ともまどろっこしいが。
⑤翼うちかはす雁がねも列を離れぬ、 比翼の鳥
琵琶を取り寄せて、いとなつかしき音に想夫恋を弾きたまふ
→あの真面目一辺倒の夕霧も成長したものである。源氏さながらの行状ではなかろうか。
⑥御息所、夕霧に柏木遺愛の横笛を差し出す。
御息所 これになむ、まことに古きことも伝はるべく聞きおきはべりしを、
(柏木)みづからもさらにこれが音の限りはえ吹き通さず。思はん人にいかで伝へてしがな
→巻名になる横笛。柏木→女二の宮→夕霧にと伝わる。笛の謂れとその後は後程。
⑦御息所 露しげきむぐらの宿にいにしへの秋にかはらぬ虫の声かな
夕霧 横笛の調べはことにかはらぬをむなしくなりし音こそつきせね 代表歌
→どこまでも御息所が登場する。母親とはこんなものだろうか?
→柏木が通っていた時も御息所はこのようにしゃしゃり出ていたのだろうか?
→御息所の贈歌は夕霧にオーケーサインを出していると考えていいのだろうか?
今のところ女二の宮より御息所の方が目立っていますね。
出家した父帝といい母御息所といい皇女というものはこんなにも気遣われるものなのでしょうか?
どちらもちょっと父母が出過ぎているように感じますが・・・
子だくさんの三条邸は夕霧にとって安らげないのでしょうか。
これも一条邸とは対照的ですね。
夕霧やはり源氏のDNAは争えないですね。
潜んでいた性質が遅ればせながら出てきたってことでしょうか?
遅がけの恋は始末に悪いといいますがはてさて?
横笛、出てきましたね。何やら曰くありげな笛のようです。
なぜ御息所が夕霧に笛を託したのでしょう?
ありがとうございます。
私もどうも母御息所の行動が理解できないので御息所の立ち位置を確認すべく整理してみました。
・夕霧、不意に(アポなしで)訪問
・琴を掻き鳴らしていた宮は奥に入る
・夕霧は南の廂に入れられる
・御息所出て来て夕霧に応対(以後ずっとここにいる)
・夕霧、琴を一二曲
・宮に琴を弾いて欲しい夕霧とそれは無理という御息所押し問答
・宮、筝の琴を少し弾く
・夕霧、琵琶を取りだし想夫恋を弾き宮に琴を合わせて欲しいと懇願
・宮、少しだけ琴で想夫恋を弾く
・御息所、笛を取りだし夕霧に渡す
・夕霧退出
①夕霧と女二の宮との和歌のやりとり、琴の応酬。これこそ王朝人の恋のかけひきではなかろうか。
②想夫恋を互いに(少しだけでも)弾き合ったのは脈ありではなかろうか。夕霧も嬉しかったのでは。
③そういう恋を語り合う場面に母がずっと付きっきりで取り次いだり代弁したりしている。
→改めて考えてみましたがやっぱり腑に落ちません。母御息所が邪魔っけに思います。まあ実際にはありそうな感じはしますが。