p184 -194
36.御賀また延期 院、女三の宮に消息する
〈p290 紫の上の大病などで、〉
①当初2月に予定されていた朱雀院の五十の賀、紫の上発病で延期になり、その後女三の宮の妊娠もあり十月になってもまだ実施することができない。
②柏木に嫁いだ女二の宮が(太政大臣・柏木ともども)朱雀院に行って賀宴を行う。
→源氏の面目丸つぶれであろう。
③紫の上は病気、女三の宮は懐妊で気分がすぐれない。
→源氏は散々である。女三の宮には憎しみと言うより憐みを感じるのであろうか。
④女三の宮の様子を見聞きしての朱雀院の心情
「その後なほりがたくものしたまふらむは、そのころほひ便なきことや出で来たりけむ、、、、内裏わたりなどのみやびをかはすべき仲らひなどにも、けしからずうきこと言ひ出づるたぐひも聞こゆかし」
→さすが朱雀院、女三の宮の身に何か起ったとピンと来たようである。
→紫の上が重病で源氏が看病に忙殺されている最中女三の宮が懐妊、、それはオカシイ!
⑤朱雀院、女三の宮に文を送り我慢せよと自重を促す。
世の中さびしく、思はずなることありとも、忍び過ぐしたまへ。
→それにしても出家した父親が嫁いだ娘の心配をする。何のための出家なんだろう。
⑥朱雀院の手紙を見て源氏は「自分こそ被害者なんだ」と不愉快にならざるを得ない。
→真実は明かせない。朱雀院・源氏・女三の宮、皆が不幸になる構図である。
37.源氏女三の宮を訓戒 柏木源氏を避ける
〈p294 「いかにも子供っぽい頼りないあなたのご気性を〉
①朱雀院の手紙を見て返事を書かせるに際し源氏は女三の宮に長々と訓戒を垂れる。
→実に長い。密通事件については直接ふれず暗に匂わした言い方。
→言ってる源氏も不快だろうが聞かされる女三の宮も堪ったものではあるまい。
→ねちねちとしたイジメである。
→スカッと「今までのことは仕方がないけど二度と心得違いをするな!」と言えないものか(言えないでしょうね)。
②こよなくさだすぎにたるありさま
さだすぎ人 うたての翁
→源氏が自らの老醜を自嘲する言葉が連発される。
③柏木はその後六条院に出入りしようとしない。源氏も呼ばない。
→これも致し方あるまい。やってしまったことは取り返しがつかない。
→柏木は一切を捨てて出家するしかなかったのでは(西行のように)。
④大将の君ぞ、あるやうあることなるべし、すき者はさだめて、わが気色とりしことには忍ばぬにやありけむ、と思ひよれど、
→夕霧はオカシイなと思う。でもまさか女三の宮のお腹の子どもが柏木のものだとまでは思い至らなかったのではなかろうか。
御賀が次々延期になり源氏のいら立ちも頂点に達しているようです。
朱雀院から女三宮への文も又更に源氏を苛立たせる。
そのとばっちりで長々と愚痴と自嘲と怒りのまじった説教はくどすぎますね。
それほど源氏の心内は苦衷に満ちていたと言うことでしょうか。
出家した院がなおも娘の後事を心配する・・・まさに親の心の闇そのものですね。
源氏 女三の宮 朱雀院 柏木 夕霧 それぞれに今日の場面、なんだかやるせないですね。
ありがとうございます。
1.朱雀院の病気のことから始まった若菜(上下)。お蔭で女三の宮が降りて来て六条院はしっちゃかめっちゃかになっているのに朱雀院は西山に健在であれこれ言ってくる。読者としては「なんだまだくたばってないのか、しぶといなあ!」と思います。物語的には終始源氏に見え隠れしストーリーの展開に関わっていく重要な存在なんでしょうが私には好きなタイプではありません。
2.源氏がくどくどとお説教を垂れれば垂れるほど読者は女三の宮を可哀そうに想う。これもバランスの妙というべきでしょうか。