p110 – 118
25.柏木、女三の宮をあきらめず小侍従と語る
〈p231 さて、そういえば、あの柏木の衛門の督は〉
紫の上が二条院に去って女三の宮が残された六条院春の町。柏木物語の始まりです。
①柏木、参議兼衛門督から中納言に昇進し、帝の覚えめでたい時の人。
②柏木は皇女でなくば結婚しないというブランド志向で女三の宮を所望したが身分が低く拒否され、女三の宮は源氏に嫁いだ。その後昇進もあり女三の宮の異腹の姉女二の宮を妻に迎えている。この女二の宮は母(一条御息所)の身分が低く父朱雀院の後援もない(脚注9)
→そりゃあないでしょうに。源氏ならそんなことはしない。人間的に朱雀院は劣っている。
③柏木は女二の宮が気に入らない。
→女三の宮に目がくらんでいるのであろう。不遜なり、衛門督!
④小侍従(女三の宮の侍女)の登場
小侍従=女三の宮の乳母の娘 その乳母の姉が柏木の乳母
→うまい設定。小侍従を通じ女三の宮の様子を幼少から知っていた。
⑤柏木は小侍従を呼びつけて女三の宮への手引を懇請する。
源氏が朱雀院の期待に反し女三の宮を粗末にしていること、自分は女二の宮を戴いたが満足できず女三の宮への思慕の情が変わらないこと綿々と訴える。
⑥柏木と小侍従の問答が面白い。
必死に訴える柏木。小侍従も最初は一蹴していたが柏木の熱意に負けて手引きを引き受ける。
→柏木の恋情は何だろう。これほど一途になれるものか。
→6ページにわたる柏木の小侍従説得劇、よく書けたものである。
→ここは小侍従の若さ軽率さを責めるより柏木の熱意を評価すべきだろうか。
誠に複雑な人間関係を上手く設定したものだと感心しております。
女二の宮 小侍従 それらを解りやすく解説していただいているので助かります。
さて柏木の再登場、 大した執念の持ち主ですね。
後先顧みない猪突猛進タイプ?
源氏六条院不在の隙を狙い今がチャンスとばかりに行動開始。
中納言に昇進し強気になったのでしょうか。
それにしても柏木 小侍従共に無分別、思慮が足りないと言うか浅はかさを感じます。
一途に思いつめていると言うことでしょうか。
小侍従、柏木に押し切られてしまったようですね。
誠に恋は厄介なものです・・・
ありがとうございます。
1.G42-45年、空白の4年間の最大の出来事は「柏木が女二の宮と結婚した」ことだと思います。結婚に至った経緯も柏木・女二の宮それぞれの想いも省筆されているので推し量るしかないのですが如何様にも考えられると思います。
・柏木はずっと女三の宮を想い続けており女二の宮は単なる形代だったのか。
・一度は女三の宮を諦め女二の宮を愛そうとしたが女二の宮に失望してまた女三の宮への想いがぶり返したのか。
恐らく両方ミックスみたいなものじゃないでしょうか。
2.柏木「すこし聞こえさせつべくたばかりたまへ」
小侍従 「さりぬべき隙あらばたばかりはべらむ」
「たばかる」 源氏が小君に空蝉を何とかしろと強要する場面を思い出しました。
源氏「さりぬべきをりみて対面すべくたばかれ」(空蝉p166)
この「たばかる」は「工夫して女のもとに男を導く」という意味だと思いますが、広辞苑には出ていませんね。
源氏物語を読み進んでいくと、紫式部は人間の様々な不幸の形を描きたかったのかと思ってしまいます。
物語の登場人物のなかで誰ひとりとして真に幸福だという感じの人はありません。
現実の世界もせんじ詰めればそうなのでしょうが・・・
表面のきらびやかさや優雅さだけを見ていてはわかりませんからね。
それが物語全体に奥行や深みをもたせ、読者に人生をいろいろ考えさせ一千年のも間読み継がれてきたのでしょうね。
読者の心にずしんとくる不幸のいろいろ・・なんだか重苦しいのですが、筆の力にはまり込んで読んでしまいます。
含蓄に富んだコメントありがとうございます。
幸福と不幸、心の持ちよう一つってところありますもんね。いくらお金があってもまだ足りないと不満を持つ人、貧しくても満ち足りている人。
男女関係も全く同じで満足し幸せに感じる人と不満で不幸せに感じる人。
女二の宮を巡る柏木と夕霧の三角関係は正にその典型なのでしょう。
「何でこの人、不満なんだろう?」、、、源氏物語を読む観点の一つだと思います。