p96 – 110
23.源氏、過往の女性関係を回想して論評する
〈p222 「それほどたくさんの女とつきあったわけではないけれど、〉
紫の上相手に昔の女性を回想(聞かされる紫の上は辛かろうに)
①大将の母君(葵の上)
常に仲よからず、隔てある心地してやみにし
うるはしく重りかにて、そのことの飽かぬかなとおぼゆることもなかりき
いとあまり乱れたるところなく、すくすくしく、すこしさかしやとやいふべかりけむ
→いつも聞かされてきた通り。葵の上への気持ちは変わっていない。
②中宮の御息所(六条御息所)
心ゆるびなく恥づかしくて、我も人もうちたゆみ、朝夕の睦びをかはさむには、いとつつましきところのありしかば、うちとけては見おとさるうことや
→これも変わっていない。御息所は浮かばれまい。それにしても葵の上とよく似ている。
→葵の上・六条御息所と源氏の苦手な女性を考えると源氏の性格が分かってくるかも。
③内裏の御方の御後見(明石の君)
紫の上も見知っているから話が合う。二人して明石の君の控えめながら思慮深い人柄を評価する。
→こんな「明石の君」を創出したこと改めてすごいと思います。
④女君の昔の思い出を語り、「じゃあ、琴が上手になったし、女三の宮の所へ行っておつむ撫で撫でしてあげなくっちゃ、、、」と出て行く源氏。
→灰でもひっかけてやればいいのに、、、。
⑤、、、、とて、御琴ども押しやりて大殿籠りぬ。
→。。。合体。。。
24.紫の上発病する 三月、二条院に移す
〈p225 紫の上は、いつものように源氏の院がお留守の夜は、〉
①源氏が女三の宮の所へ出かけた夜(源氏と女三の宮が愛を睦び交している最中であろう)紫の上は胸の病を発病する。
→溜まりに溜まったストレスが爆発したのであろう。
→前段までの女楽の所が源氏得意の絶頂。ここから物語は暗転する。
②源氏の元へ明石の女御から使いが行く。
→源氏は一瞬で事態の重さを悟りドキッと自分の心臓も止まる思いだったのではないか。
③厄年なのにキチンと厄払いの加持祈祷をしてなかった(藤壷の時もそうだった)。
→激しく後悔し狼狽えたことであろう。
④2月になり容態は一進一退、源氏は紫の上を二条院に移す。
朱雀院の五十の賀も女楽も無期延期。
→二条院は紫の上の「わが御私の殿と思す」ところ。女三の宮と同居の六条院では心が安らぐことはない。
⑤みなある限り二条院に集ひ参りて、この院には、火を消ちたるやうにて、ただ、女どちおはして、人ひとりの御けはひなりけりと見ゆ
→女あるじ紫の上の去った六条院。六条院が紫の上でもっていたことが分かる。
→静寂とした六条院、次なる展開への伏線でもある。
⑥明石の女御が若君を連れて紫の上を見舞う。
紫の上「ただにもおはしまさで、物の怪などいと恐ろしきを、早く参りたまはね」
→源氏を交えての3人の対話が切ない。
⑦源氏はずっと付きっきりで看病する。
→当然のことながら源氏のいい所である。
いつも思うのは源氏はどうして過去の女性を紫の上にくどくどと打ち明けるのでしょう。
聞く方はたまったものではありません。白けますよね。
源氏よ、もういい加減にしてください。読者も聞き飽きました。
物語の性格上致し方ないとはいえ・・・
このブログの始まりに明石の君の素晴らしさに憧れましたが未だ一貫して変わりません。
今後も明石の君を越える素晴らしい女性に巡り合えるのかどうか楽しみです。
挙句のうえに紫の上、発病。まさに心痛極まれり・・・
源氏の狼狽ぶりが目に見えるようです。
病気になって初めて紫の上が如何に六条院を盛り立てていたかを思い知る。
よくあることですね。
たまには仮病にでもなって知らしめなきゃね。
それにしても紫の上の心細さが痛々しくもせつないです。
源氏、罪滅ぼしとはいえ献身的な看病をなされるのは当然でしょうね。
ありがとうございます。
おっしゃることに全く同感です。独りで自分の女性遍歴を顧みるのは勝手でしょうがそれをこともあろうに最愛の女性に話し聞かす。それも何度も何度も。いい加減にしてくれと言いたくなりますよね。でもお蔭で読者としては過去の女君のことを思い出すこともできる。これも紫式部の仕掛けの一つでしょうか。
紫の上発症の場面はよく書けていると思います。前段に意識的過誤で重厄の37才であることを述べ、女楽が大成功し皆喜び合った後、源氏は過去の女性遍歴をあれこれ聞かせ、結局は女三の宮の寝所に出かけて行く。。。。。これで紫の上が何ともならないならその方が不思議な感じがします。なるべくしてなった病気と言えるのではないでしょうか。紫の上が可哀そうです。