若菜上のまとめです。
和歌
68.小松原末のよはひに引かれてや野辺の若菜も年をつむべき
(源氏) 源氏四十の賀宴(玉鬘主催)
69.身にちかく秋や来ぬらん見るままに青葉の山もうつろひにけり
(紫の上) 紫の上の絶望的絶唱
名場面
63.正月二十三日、子の日なるに、左大将殿の北の方、若菜まゐりたまふ
(p70 源氏四十の賀宴(玉鬘主催)
64.御車寄せたる所に、院渡りたまひて、おろしたてまつりたまふなども、
(p81 女三の宮降嫁)
65.今はじめたらむよりもめずらしくあはれにて、明けゆくもいと口惜しくて、出でたまはむ空もなし
(p111 ああ、忘れられない、朧月夜)
66.若君は春宮に参りたまひて、男宮うまれたまへるよしをなん、深くよろこび申しはべる
(p158 明石入道の長文遺書)
67.唐猫のいと小さくをかしげなるを、すこし大きなる猫追ひつづきて、、
(p200 柏木物語の始まり(唐猫事件)
[若菜上を終えてのブログ作成者の感想]
若菜上を終えました。物語のトーンが長調から短調にがらりと変わったと思うのですがいかがだったでしょうか。
ポイントも沢山あり、
①朱雀院 vs 源氏 女三の宮の登場
②玉鬘による源氏四十の賀宴
③女三の宮降嫁
④朧月夜との再会
⑤明石の姫君誕生 明石物語の謎解き
⑥唐猫事件 柏木物語の始まり
でしょうか。
一部からの続きあり、一部で敷かれた伏線の具現化あり、新規物語の始まりあり。それらがブレンドされ濃厚なストーリーが展開されようとしている感じです。
それにしても女三の宮を登場させ「紫のゆかり」の物語を更に進展させていく構想はすごいと思います。母(藤壷女御)が藤壷中宮の異母妹、従って女三の宮からみれば藤壷中宮は叔母、紫の上は従姉。母藤壷女御は既に他界、父朱雀院は重病。そんな薄幸の女三の宮を源氏が放っておけるわけがない、、、そして天より六条院に降下(降嫁)する。オセロゲームで幸せだった白石がたちまち不幸な黒石に変った瞬間と言えるのかもしれません。
そして若菜下、益々面白くなりますよ。
若菜という巻名、当初「女三の宮」の事かと思っていました。
なぜかと言えば紫の上の若紫に対して女三の宮を若菜というのかと。
しかし読んでみるどうも違う、源氏四十の賀の若菜の宴からとのこと。
君がため春の野にいでて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ
若菜は邪気を払うものでそれを摘むことが初春の行事とのこと。
いずれにしても祝い事なのでしょうね。
それにしても物語全体は明から暗へ・・・
「若菜下」に期待しましょう。
さて月が変わると恒例の徳川美術館 特別公開 国宝源氏物語絵巻が始まります。
10日足らずの短い期間なので見逃さないようにしなければ・・・
それに関して先日来の西田久美子さんの「朗読できく 源氏物語絵巻」のCDを聞いてみました。
このCDは今から8年ほど前の制作で西田さんのお声は今よりずっと張りがありました。
しかしやはり生のお声に優るものはないかと・・・
今回の展示は「宿木二」 関屋 絵合の三点。
このうち関屋と絵合はすでに学習済み、昨年は何気なく鑑賞していましたが今回見方が変わるかも知れません。
楽しみにしております。
他にも和の香りを楽しむ「聞香」という体験講座もあったりして興味があちこちに飛び気が多すぎて困ります。
ありがとうございます。
1.そうですね、「若菜」の巻名、含みのあるつけ方ですね。そう言えば女三の宮には名前(呼称)がつけられていないですね。「若菜の宮」とでもつけられてもいいでしょうに。後世の源氏読み解き者もこの姫宮にはいい感情を持っていなかったのかもしれません。ちょっと可哀そうな気がします。
2.「源氏物語絵巻」特別公開、門香、いいですねぇ。どんどん裾野を広げてください。源氏物語そのものをキチンと読む込むこと&それをベースに様々な裾野分野を楽しむこと、この両輪こそ源氏読みの醍醐味なんでしょう。率先して色々教えてください。
若菜の巻は息もつかせず一気に読ませますね。筆に力が入ったでしょうね。
芝居でいえば場面が暗転したところですか。
物語はいよいよ面白くなっていき、読者は考えさせられることが益々増えてきます。
この物語の醍醐味をしっかり味わいたいものです。
徳川美術館の恒例の催し物の時期、ちょうど京都に行くので帰りに寄ろうかと考えたのですが、時間的にきついので次回に持ち越しです。青玉さん、ご覧になったらその様子をまた教えてくださいね。
ありがとうございます。
若菜は極めて長編で上下に亘っているというのはどうしてなんでしょうね。物語の構成からすれば巻を分けてそれぞれに巻名をつけた方が座りがいいと思うのですが。。。紫式部はこの部分を一気に書き上げここは切り離し不可能だと考えたのかもしれません(全くの想像ですが)。何れにせよ読みごたえのある源氏物語の頂点に差し掛かっていると思います。楽しみつつ読み進めて行きましょう。
源氏物語も全体の半分が過ぎ、読みなれて来たかと思いきや、さにあらず、心内の物語になって行くと聞いたいたとおり、読解が難しくなり、苦労をしています。特には、原文を読んでもさっぱりで、読む気も失せましたが、このブログのおかげで皆さんに附いてくることができました、一人だと、先に進めなかったかもしれません。
物語がこれから暗に入るとのこと、小生にはその流れがここまで読んでもまだ解りまませんが、玉鬘物語・明石物語も終わったようで、主人公も源氏からつぎの世代に移るとのこと、また女三宮と柏木に何か起こることは、脚注などでも臭わせているので、下巻がどう展開するのか楽しみであります。
さて、歌では
さしながら昔を今につたふれば玉の小櫛ぞ神さびにける (秋好中宮)
目に近く移ればかはる世の中を行く末とほくたのみけるかな (紫の上)
源氏から心が離れて行く
そして爺も挙げている
身にちかく秋や来ぬらん見るままに青葉の山もうつろひにけり (紫の上)
爺がいう絶望的歌
が印象に残りました。
ありがとうございます。
ちょっと苦労されているようですね。若菜に入るととにかく一文が長い(明石の入道の長文の遺書が好例)、登場人物の心内部分も非常に長くそれも複雑な心境をああでもないこうでもないとダラダラ書き続けてあるので確かに難しいと思います。
一語一句意味をとっていく必要はないでしょう。どこからどこまでが誰の言葉か誰の心内か「カッコ」をつけてキイワード・キーフレイズをつかめば後は自分で解釈してしまうというのでいいと思います(現代語訳・脚注に基いて)。難解な長文も慣れてくると馴染みの言い回しが増えて来て段々と分かるようになってくるものですよ。
それと読者として感情移入いていくのがいいと思います。物語に評論家として参加していく感じでしょうか。「源氏、ケシカラン!」とか「紫の上、負けるな!」とか「それはないだろう、柏木!」とか、、、、。
→「ガンバレ! ハッチー!」
優しい励ましと暖かい読み方のガイド ありがとうございます。
全てが難解と言うことでもないのですが、若菜 上 の心内読みがやはり難しく感じられ、特に 源氏紫の上を称賛、明石の君わが身を想う の段?は文章の理解に苦労しました。
下に入り、最初の唐猫の話しは取っつき易いので、スーと読めました。今後感情移入もできるところはしつつ、頑張って着いていきますので、引き続きよろしく。
朱雀帝の煩悶に始まり、三ノ宮の降嫁、源氏の四十の賀、
明石一族、柏木の恋慕 etcetc てんこ盛りの帖でした。
でも、この長ぁ~い長ぁ~い若菜(上)の帖は
青玉さんの一言で すべてを表していますね。
namely
『朱雀院は女三の宮の婿候補に夕霧を考えるが、
夕霧は雲居雁と正式に結婚している。
→この綾が絶妙。
夕霧と女三の宮では面白くもなんともない。』
個人的には、源氏への四十の賀の描写が よかったです。
ホロッとしました。
歌では、柏木から女三宮への贈歌が 好いですねぇ。
→ 「 よそに見て折らぬ嘆きはしげれども
なごり恋しき花の夕かげ」
もうグラウンド三周ぐらい 遅れた感じが
しますが、年の瀬に入り、さらに 遅れそうです・・。
でも 楽しく読んでいますので 引き続き
完走をめざして 着いていきますので よろしく!!
ありがとうございます。キチンとフォローいただいておりすごいと思います。
物語の展開も人の心模様も複雑で如何ようにも読めるのではないでしょうか。進乃君さんのように思い入れをもって読むのが一番だと思います。
本稿でも述べましたが第一部では全く触れられていなかった女三の宮が突如登場し、この女性の登場で物語の流れががらりと変る。本当に恐ろしく感じます。
いくら遅れてもかまいません。時間がある時「よ~し、今日は源氏物語を楽しむぞ!」なんてノリで取り組んでいただけばと思います。ここまで来たら完走しないと勿体ない。がんばってください。