p204 – 214
38.柏木、女三の宮への恋慕の情に思い悩む
〈p149 柏木の衛門の督は、すっかり沈みこんで、〉
①垣間見てしまった柏木、垣間見たのを見てしまった夕霧。
夕霧は女三の宮の幼さ無防備さに何たる様と軽侮する(思ひおとさる)。
柏木は垣間見れたのも自分の願いが通じたものと都合よく解釈する。
②源氏が上機嫌で柏木の蹴鞠上手をほめたたえる。
→蹴鞠では源氏も頭中に適わなかった(蹴鞠はマイナーなもので別に構わない)。
→この日何が起こったのか気づかなかった源氏。正にピエロである。
39.柏木、夕霧と同車して、宮への同情を語る
〈p152 夕霧の大将は、柏木の衛門の督と一つ車に同乗して、〉
①夕霧と柏木、帰路同乗して源氏と女三の宮の関係につき討論する。
→夕霧・柏木の会話は源氏・頭中の女性談義を思わせる。
②柏木 「院には、なほこの対にのみものせたまふなめりな。かの御おぼえのことなるなめりかし。この宮いかに思すらん」
「いで、あなかま、たまへ。みな聞きてはべり。いといとほしげなるをりをりあなるをや」
→女三の宮を大事にしてない源氏を許せない。
→出過ぎた言い方であるが我を忘れている柏木は自制がきかない。
③柏木 いかなれば花に木づたふ鶯の桜をわきてねぐらとはせぬ
夕霧 みやま木にねぐらさだむるはこ鳥もいかでか花の色にあくべき
→こういう緊張した場面(口論の場面)でも歌でやりとりをする。すごいなぁ。
④異事に言ひ紛らはして、おのおの別れぬ
→夕霧「これはマズイことになったぞ」
柏木「女三の宮さまを大事にしないヤツは源氏と言えど許さない!」
40.柏木、慕情つのって小侍従に文をおくる
〈p154 柏木の衛門の督は、今でもまだ太政大臣の〉
①督の君は、なほ大殿の東の対に、独り住みにてぞものしたまひける。思ふ心ありて、年ごろかかる住まひをするに、
→皇女であらずんば結婚しない!今で言えば偏執狂だが当時なら理解できたのだろうか。
②いかならむをりに、またさばかりにてもほのかなる御ありさまをだに見む
→柏木25-6才。女三の宮15-6才。年を言っても仕方がないか。
③柏木は小侍従を介して女三の宮に恋文を届ける。
よそに見て折らぬなげきはしげれどもなごり恋しき花の夕かげ
→すごい行動力。危なっかしくて見てはおれない。見境がなくなっている。
④女三の宮は柏木の文を見て垣間見られたことを知る。咄嗟に思ったのは源氏に叱られるということ。見られた結果柏木がどんな思いに駆られているのかまで思いが至らない。
→女三の宮の幼さだがこれが皇女というものではなかろうか。
⑤小侍従 いまさらに色にな出でそ山桜およばぬ枝に心かけきと
→この小侍従が今後大きな役割を果たしていく。
→柏木と小侍従はデキている。「およばぬ枝(女三の宮)はあきらめておよぶ枝(私)にしておきなさいよ!」すごいキャラクターですね。
さあ事件が起こった。さてどうなりますやら。若菜下へと続きます。
(本日より一週間ほど姫路に行ってきます。投稿は予約してあります。パソコン持って行きますが机に座る時間あまりないかと思います。返信遅れはご容赦ください)
柏木と夕霧 対照的ですね。
我を忘れた柏木に対しあくまでも冷静な夕霧。
恋に身を焦がす柏木はもう何も見えていないのでしょう。
もう少し冷静になれば事の次第は変わったかも知れませんががここは劇的でなくっちゃ!!
悲劇の予兆を暗示して物語は「若菜下」へ・・・来月を楽しみにしています。
「若菜上」は 女の三宮の降嫁に始まり紫の上の苦悩 玉蔓の若菜進上 明石一族 そして柏木の恋慕と内容が豊富でした。
個人的には明石物語に魅かれましたがここは紫の上の心情に思いを馳せて・・・
忍ぶれどわがゆくすゑのとほかりき
袖ふる涙あはれなるかな
ありがとうございます。
1.柏木と夕霧、対照的ですね。夕霧は秀才タイプで正妻(雲居雁)を大事にし愛人の藤典侍とも真っ当な家庭を築いている。義母紫の上を眩しく思っているが無論一線は越えられない。一方柏木は皇女でなくば見向きもせず未だに妻を娶っていない。女三の宮を所望したが源氏に持っていかれ悶々としていたところ偶然釣り逃がした女三の宮を垣間見し頭に血がカアーッと上っている(冷静さを失っている)。二人の女性観、女性遍歴は大分違うようです。
二人の父、源氏と頭中は結構似通った女性観かもしれません(勿論源氏が内親王藤壷に憧れたのに対し頭中は皇女など考えも及ばなかったでしょうが)。夕顔を巡る三角関係、末摘花への恋の鞘当て、結構張り合う場面もありますもんね。
2.若菜上の和歌、なるほど、「紫の上の心情」にしましたか。納得です。何と言ってもこれが一番重いテーマだと思います。
忍ぶれど、、、、報われず事態が悪くなりゆく紫の上
対照的に
忍ぶれば、、、 報われて幸せの絶頂をつかんだ明石の君
この二人も対照的と言えるかもしれません。