p188 – 194
34.夕霧、女三の宮と紫の上とを比較する
〈p139 夕霧の大将は、女三の宮との結婚を〉
①女三の宮の物語へと戻り先ず夕霧の目を通して女三の宮の様子が語られる。
夕霧は朱雀院からモーションをかけられたことあり、今や源氏の妻であるが好奇心は絶えない。
いと若くおほどきたまへる一筋にて、
をさをさけざやかにもの深くは見えず
→幼くおっとりしているのみ。奥床しくは見えない。
→今後の事件への伏線である。
②女房なども、おとなおとなしきは少なく、若やかなる容貌人のひたぶるにうちはなやぎさればめるはいと多く
→バックアップすべき女房集団の質が悪い。
③かかる方をもまかせて、さこそはあらまほしからめと御覧じゆるしつつ、いましめととのへさせたまはず。
→源氏もややさじを投げたかやるがままにさせている。教育者源氏はどうした!
④夕霧の女方評
・紫の上 静かで心美しく、、、垣間見た面影が忘れられない。
・雲居雁 可愛いけど人に優れたところもない(馴れてしまったということだろう)。
・女三の宮 源氏に可愛がられていないし単に皇女というだけか。ちょっと見てみたいけど。
→この夕霧評に添って物語が進行していく。
35.柏木女三の宮をあきらめず源氏出家を待つ
〈p141 柏木の衛門の督も、朱雀院にいつも参上して、〉
①さて柏木の登場。
柏木 太政大臣(頭中)の長男、藤原摂関家の長になるべき人
玉鬘に執心だった(後異母姉と分かるが)
女三の宮にご執心。朱雀院に母の妹(朧月夜)を介して求婚した経緯あり。
現在25才 皇女願望で未だ独身
→プロフィールをしっかり頭に入れておきましょう。
②女三の宮の乳母の娘に小侍従というのがいて女三の宮の女房になっている。
柏木はこの小侍従と「いい仲」で女三の宮の情報を得ている。
③世人の女三の宮に関するうわさ
「対の上の御けはひには、なほ圧されたまひてなむ」
→紫の上は盤石の地位を占めている。結婚までの経緯や源氏・女三の宮の年令差を考えると世間がそう思うのも無理はなかろう。
→女三の宮命の柏木にとってはトンデモナイ!それは許せない!ってことになる。
何か起りそうな感じです、、、、、。
物語は女三の宮へと本筋に入るのですね。
今のところはただただ幼く可愛らしいというだけでこの女性の主体性が見えてきません。
女房も数ばかり多いようで質が悪くまともな教育係はいないようですね。
朱雀院はこの点どう考えておられたのでしょう。
溺愛するばかりだったのでしょうか?
源氏もお歳を召して女三の宮をしつけようなどという情熱はなくされたのかしら?
夕霧、柏木青春真っただ中にある青年からすれば女三の宮は興味と好奇心の対象だったでしょうね。
ましてや柏木は求婚までして強くご執心・・・
さてこの長い若菜 上下の筋は今後どのように展開していくのでしょう・・・
(先日は突然失礼しました。おいしいウイスキーでいい気分になっておりました。お許しください)
コメントありがとうございます。。
柏木の登場の前に女三の宮のことを復習しいかに無邪気・無防備な皇女であるかを強調する、、、これもうまい手法だと思います。
源氏の女三の宮への関わり方の所で、
ひとつさまに世の中を思しのたまはぬ御本性なれば、、
とあり、脚注も「これまで源氏の美徳としてのみ語られてきた寛容が、ここでは自由放任の結果を生み」と解説しています。人をどう教育するか、源氏の寛容さは極めて民主的・進歩的でびっくりします。でもやはり相手をみての自由放任でなければならないということでしょう。現代の教育論にも通じると思います。
とんでもございません。
ただ突然の事で結びつかなかったのです。
こちらこそ失礼いたしました。
不思議なものでこうやってブログ上でのやり取りをしているといつの間にやら友人感覚(友情と言えばいいかな)が芽生えてくるのです。
宮村さんには一度お会いしていますがキヨノリさん他皆さんにもすでにお会いしているような錯覚が起きてしまうのが正直な気持ちです。
今後ともよろしくお願いします。
皆様信州の紅葉をバックに素晴らしい旅をなさったようで何よりでした。
今月は紅葉を愛でた良い句が目白押しでしょうね。