若菜上(6・7) 朱雀院悩みの果てに源氏をと決意

[お知らせ] 右欄の源氏百首・名場面集・青玉和歌集、藤裏葉まで更新しました。
      (万葉さん、ありがとうございました)

p38 – 47
6.朱雀院、女三の宮の婿選びに苦慮する
 〈p26 朱雀院は、「わたしもそのようにあれこれ考え迷っている。〉

 ①乳母たちを相手に朱雀院の長い長い口説
  →朱雀院らしい心配性、優柔不断さがよく表れている。
  →一般論を踏まえて女性の生き方、男との関わり方が言及される。

 ②候補者たちに対する朱雀院の心の内
  源氏がやはり一番であろう。
  蛍兵部卿宮は風流人だが頼りない。
  大納言の朝臣(系図外の人物)では身分が低すぎる。
  右衛門督(柏木)は将来性あるがまだ若すぎる(23-4才)。
   (思ひあがれる=気位が高い)

  →段々と源氏へ源氏へと心が傾いていく。

7.求婚者多し 東宮、源氏への降嫁に賛成する
 〈p29 太政大臣も、「うちの柏木の衛門の督は、〉

 女三の宮の婿候補者たちの婚活状況
 ①柏木 皇女を妻にしたいと未だ独身。
  父太政大臣→母北の方(右大臣の四の君)→朧月夜(右大臣の六の君)→朱雀院と願いを伝える。

 ②兵部卿宮 玉鬘争奪戦に敗れ悔しい思いをした。今度こそはとの思いであろう。

 ③藤大納言 朱雀院の家別当であり内輪の意識から売り込んでいる。

 ④夕霧 朱雀院の内意もあるが雲居雁と結ばれていて今さら不義はできないとの思い。
  →物事をよく弁えた真面目男夕霧の面目躍如たるところであろうか。 

 ⑤春宮 13才 朱雀院に意見を述べる。
  人柄よろしとても、ただ人は限りあるを、なほ、しか思し立つことならば、かの六条院にこそ、親ざまに譲りきこえさせたまはめ
  →断定的な明瞭な言葉ではなかろうか。それにしても13才(女三の宮とほぼ同年令)、ご立派である。
  →これにて優柔不断な朱雀院も心を決する。

  同じ13才でも女三の宮の幼さと春宮の聡明さとは段違いである。

  脚注p48に「東宮がこの時わずか13才であることを、作者は意識していたのかどうか」とあるが、当然分かって書いていたでしょうに。紫式部が東宮の年を忘れてたなどあり得ないじゃないですか!

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4 Responses to 若菜上(6・7) 朱雀院悩みの果てに源氏をと決意

  1. 青玉 のコメント:

    迷いに迷い悩みに悩んだ挙句、春宮の言葉は決定的。

    それにしても東宮と女三の宮、異母兄妹、男女の差とはいえ余りにも対照的です。
    東宮、13歳にしてはしっかりし過ぎていますね。父親よりも頼もしい?
    すでに明石の姫君が入内なさっているのでしたね。
    遺伝子が異なるとこうも違いがあるものでしょうか?
    まあそればかりではなく育ち方とか諸々あるでしょうけど。

    それなのに柏木の評価を若いとするのは違和感有りです。
    年齢的にも10歳年上なので婿としては丁度良いお相手でしょうに・・・
    ここで柏木に決めれば物語の複雑な進展は成り立たなく面白くもなんともない。
    源氏への降嫁に意味があるということなのでしょうね。
    紫の上にはお気の毒ですがここは物語、割り切りましょう

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      女三の宮の結婚相手、朱雀院もそうですが読者も悩むところですね。
      1.東宮13才、既に明石の女御(11才)が入内している。異腹の女三の宮も13・4才で東宮とは同年令。東宮は源氏の娘である明石の女御と結婚し、女三の宮は明石の女御の父源氏と結婚しようとする、、、、。
        →やはり世代がねじれてますよね。脚注が疑問を呈するのも無理ないかもしれません。

      2.私も柏木は年令的にも丁度いい結婚相手だと思います。柏木が皇女願望でどうしても結婚したかったのならここは父からのルートだけでなく源氏を絡ませるべきでしょうに。太政大臣(頭中)からそして朧月夜から源氏に頼み込み源氏を動かして朱雀院を説得する。オールマイテイの源氏を使う、、、商社マン的発想ですが。。。

  2. 式部 のコメント:

      歳の差のある結婚はこの当時珍しくないと思います。
     作者の紫式部自身、親子ほど歳の離れた相手と結婚していますしね。
     それに内親王は本文にもあるように独身をとおすのが普通だと考えられていたわけで、しっかりしていない三の宮には結婚というかたちの保護者が必要だということになったのでしょう。
     付録P225にもあるように、桂の御子(孚子内親王)~多情な歌人内親王~のようになっても困るし、人に後ろ指をさされないような環境に三の宮を置きたかったのでしょう。
     その選択が将来どういう展開になっていくのか、それはそれで・・・

    • 清々爺 のコメント:

      ご指摘ありがとうございます。

      皇女は独身を通すのが普通で臣下に下るのは止むに止まれぬ場合(どうしても後見を必要とする場合)ということですね。なるほど付録の例を見ても年の差婚も激しいし何やら異常な世界ですね。その点源氏に後見を頼めばうまくやってくれるだろうと考えるのは正しいかも。後で柏木が女二の宮を娶るというのも出てきますがこれも結局はうまく行かないですもんね。

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