p20 -28
3.朱雀院、夕霧に意中をほのめかす
〈p14 明けても暮れても朱雀院は女三の宮のことを〉
①朱雀院の病気増々重くなりもう長くないとの自覚が語られる。
→でも結局はその後も永らえていて亡くなるわけではない。
②朱雀帝時代=母弘徽殿大后 →右大臣派が外戚として力を振るう。
冷泉帝時代(現在)=源氏と頭中が中枢で右大臣派は零落。
→朱雀院の心細さを読者に納得させる叙述
③朱雀院と夕霧との対話
→病人なのに朱雀院はよくしゃべる。
④朱雀院 源氏との過去の経緯を総括 後悔と感謝
さかしき人といへど、身の上になりぬれば、こと違ひて心動き、かならずその報い見えゆがめることなむ、いにしへだに多かりける
→名言であろう。
⑤夕霧の返答(源氏の思いを詳しく引用している)
二十にもまだわづかなるほどなれど、いとよくととのひすぐして、容貌も盛りににほひて、いみじくきよらなるを、
→まだ18才の夕霧。さすが源氏の長男、最高級の讃辞
(作者は後に源氏とは比べものにならないとの古女房の言葉も忘れない)
→ものの言い方も理路整然としており秀才のほどが覗える。
⑥朱雀院は女三の宮の婿候補に夕霧を考えるが、夕霧は雲居雁と正式に結婚している。
→この綾が絶妙。夕霧と女三の宮では面白くもなんともない。
⑦朱雀院、源氏を顧みて絶賛する。
→朱雀院は心の底から「よくできた弟」と思っていたのであろう。
→朱雀院の優しさ&弱さ(他人を貶めることができない)。
⑧源氏と夕霧の昇進の具合
→源氏も早かったが夕霧の方が更に早い。
(どこかに昇進年令を書いたのですが忘れていまいました)
この場面は朱雀院と夕霧の対話で占められており、それぞれの性格がよく現われている所です。
朱雀院、芯の弱さ、自信の無さ、頼りなげな性格からから何となくひ弱に感じられますが結構長命だったような記憶があります。
終生、弟源氏への負い目と憧れを抱き続けたようですね。
夕霧には心の内をしみじみと回想されておりますがそれに対する夕霧の受け答えも18歳とは思えね賢明さですね。
それほどの器量の夕霧でさえ源氏の若かりし頃にはなお及ばないという古女房の言葉にさもありなんと納得です。
夕霧が硬であれば源氏は軟の美を感じます。
院の「まことに、かれはいとさまことなりし人ぞかし。今はまた、その世にもねびまさりて、光るとはこれを言ふべきにやと見ゆるにほひなむ、いとど加はりたる。」~以下「何ごとにも、前の世推しはかられて、めずらかなる人のありさまなり。」まで最上級の賛辞。
朱雀院はこれほどまでに優れたる源氏に大しては嫉妬心、羨望より、もう尊敬以外にはないと言った心境になられているように見受けられます
院は下心など露ほどもない誠に純な人で、かの母弘徽殿大后の子息とはとても思えないです。
さて女三の宮を巡って今後どのように物語は進展していくのでしょう・・・
ありがとうございます。
1.源氏に関しての朱雀院と夕霧の会話、それぞれの人物・性格を比較分析いただきました。夕霧の硬に対して源氏は軟、朱雀院は源氏に尊敬の念を抱いている、、、なるほどその通りだと思います。人間離れして何ごとにも非の打ちどころのない源氏に比べ朱雀院や夕霧の方に人間味を感じます。
2.朱雀院と夕霧の対話の中で朱雀院が源氏の須磨流謫のことを匂わせた所、夕霧は事の経緯をどの程度知っていたのか興味あるところです。全てを知っていて加害者意識を持つ朱雀院を慮り言葉をぼやかしつつ源氏が何とも思っていないでしょうとのメッセージを伝えるあたり、よくできた18才だと感心します。