藤裏葉のまとめです。
和歌
65.春日さす藤の裏葉のうらとけて君し思はば我も頼まむ
(後撰集) 内大臣のつぶやき
66.あさき名をいひ流しける河口はいかがもらしし関のあらがき
(雲居雁) 筒井筒の恋の成就、河口=津市白山町
67.世のつねの紅葉とや見るいにしへのためしにひける庭の錦を
(冷泉帝) 物語第一部の大団円終唱
名場面
60.男君は、夢かとおぼえたまふにも、わが身いとどいつかしうぞ
(p244 夕霧・雲居雁、筒井筒の恋の成就)
61.たちかはりて参りたまふ夜、御対面あり
(p258 明石の姫君入内 紫の上・明石の君初めての対面)
62.神無月の二十日あまりのほどに、六条院に行幸あり
(p270 冷泉帝・朱雀院、六条院へ行幸 第一部のフィナーレ)
[「藤裏葉」を終えてのブログ作成者の感想]
第一部の終章藤裏葉を終えました。講読開始後1年、丁度折り返し点です。
ここまでフォローいただいた皆さま、ありがとうございました。お疲れさまでした。先ずはお互い第一部を無事終えられたことを喜びたいと思います。
物語的には桐壷の巻で幼い源氏の相を見て高麗人がたてた占い予想が見事的中、源氏は史上例のない准太上天皇に昇りつめたし、明石の姫君は無事入内を果たしたし、懸案だった夕霧・雲居雁も漸く結婚にこぎつけたし、最後には大邸宅六条院に冷泉帝と朱雀院が行幸、全てが成就しメデタシメデタシ、、、これ以上言うことなしという状況でしょうか。
恐らくこれで終わったとしても読み応えのある立派な物語だったと言えるでしょう。大方の読者はここまでも来るのも難しくここまでくれば達成感を抱けるのではと思います。普通源氏物語が論じられるのも大体この辺りまででしょう。光源氏が栄華を極めるサクセスストーリー、源氏にある部分反発を覚えつつ才色財全てを兼備したスーパーヒーロー源氏に感嘆の讃辞を送る。一般的な読み方だと思います。
さて、暫くは六条院での紅葉の賀宴に浸っていたいところですが明日から2年目、第二部に入ります。驚くことにトーンがガラッと変わります。これまでが「表」「明」としたら「裏」「暗」ということになるでしょうか。物語の味わい方も筋を追うのではなく人物の心の奥へ更に深く入って行くということになるかと思います。第一部をキチンと読みこんできたからこそ第二部の醍醐味を味わえるのだと思っています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
予想をはるかに超えた源氏物語の面白さに加え、清々爺始め皆さんの教養と愛情あふれるコメントに助けられ、第一部、物語の折り返し点を終えることができました。
まだまだ文字と物語の筋を追いかけるだけで精一杯で、深みには到達できていませんが、これからもご一緒しますので、よろしくお願いします。
28日(土)偶然番組表から見つけ、13時からのNHK Eテレの再放送、
秋山 虔(あきやま けん)先生の
心の時代 源氏物語と歩んだ人生 紫式部の思い
を見ました。皆さんはご覧になっているでしょうが、70年源氏と共に生きて来られた先生の紫式部大好き論なので興味深い番組でした。また、我らが教科書の共同訳者でもいらっしゃるのですね。
ただ、第二部の物語のエッセンスを番組でバラされたので、これからが楽しみの小生には若干興ざめでしたが。
この帖で、小生も気を揉んでいた夕霧と雲居雁がようやく結婚できますが、其のきっかけが大宮の御忌日のお寺参りであり、当時から親戚がみんな集まる機会はやはり法事だったのだなと思ったのと、故大宮が導いてくれたお蔭だなと大宮を再登場させた紫式部に感心しました。
また、ふたりの仲を許す内大臣の本意(翻意?)に源氏がそうだろうと答える態度を、P234にて
”御心おごり、こよなうねたげなり”
と書いた紫式部に、拍手したい気持ちになりました。
藤の裏葉が若葉とは知らず、題名がピント来なかったのですが、うまく言ったものです。
青玉さんの歌
君待ちていくとせ春の巡りきや
藤の若葉の花となるらむ
いいですね。
最後に自分の整理として、印象に残る歌は、
わが宿の藤の色こきたそかれに尋ねやはこぬ春のなごりを
紫にかごとはかけむ藤の花まつよりすぎてうれたけれども
なき人のかげだに見えずつれなくて心をやれるいさらゐの水
では、明日からまた楽しみです。
三か月の出遅れを見事に克服、源氏を楽しんでおられるようで何よりです。「予想をはるかに超えた源氏物語の面白さ」、でしょう。言った通りだったでしょう。このブログを始めたのもそんな面白さを一人で噛みしめてるのは勿体ないと思ったからです。貴コメント聞いて嬉しくなりました。
秋山先生の番組見逃してしまいました(余りTV見てないもんですから)。当代源氏学者の第一人者ですからね、いいお話が聞けたことでしょう。第二部のエッセンス(あらすじ)知ったところで大丈夫ですよ。自分で読みこんでいくと先入観など吹っ飛んで自分独自の源氏ワールドが現出しますから(逆にあらすじやダイジェスト版だけでは深みには入り込めません)。
→そそのかしです。
和歌を大事にしておられるのも素晴らしいです。最初の頃に比べると大分とっつきやすくなってきたのではないでしょうか。引き続き自薦首リストアップしていくといいと思いますよ(横に詠者を書き添えておくといいかもしれませんよ)。
では、後半戦もよろしく。気がついたこと等何でも書き込んでください。
無事に一年が過ぎ、源氏物語第一部を読み終えられ、良かったです。
清々爺はもちろんのこと、皆様の様々のコメント、各種催し物の情報、興味深く読ませていただきました。 一人で読むのとは違った面白さがありました。多面的な見方、読み方ができるのがいいですよね。
第一部では歌、書、管弦、香、絵、書物、衣装、宴、儀式など普通の現代人にはとても及ばない知識、教養を紫式部(平安貴族)はもっていたのだと深く感じ入りました。
作者は書物からの知識はもちろん、ふだんから人間観察を鋭くしていたのでしょうね。だから色々な人物像をくっきりと描き出せたのでしょうね。
表面の華やかさ優雅さの裏の心内はこれからもっと深く読み込んでいかなければならないのですが、とりあえず、源氏の君、めでたし、めでたしです。
明日からの第二部、楽しみですね。
ありがとうございます。
お蔭さまで半分来ました。私などとても及ばない古典全般の知見に基いたコメントありがたいです。これからも紫式部の知識、教養を噛み砕いての解説お願いいたします。それと第二部以降は何と言っても「人の心の内」ですから、こちらの方も切れ味鋭いえぐり出しを頼みます。
朗読はますます円熟してきましたね。最初の二三巻の時とは全然違いますよ。素晴らしいです。私は先行投稿を書く時に一回、そしてブログアップされた時に一回聞かせてもらってます。ポイント絞り込みや掘り下げの時にすごく役に立ってます。それと夜中に目が覚めた時にはお気に入りの所をピックアップして聞いています。「花宴」「紅葉賀」「初音」、、、いいですね。大体1-2本聞くとまた眠くなるのもいいのです。子守唄みたいですね。引き続きよろしくね。
第一部最終章、華やかに幕を閉じましたね。
振り返れば一年前期待と不安に満ちたスタートでした。
清々爺さんの巧みなリードのおかげで皆様と一緒にここまでこれましたことに感謝です。
これからの一年間も道しるべの先頭をよろしくお願いいたします。
夕霧と雲居雁の結婚、姫君の入内と明石の方の後見役 源氏 夕霧の昇進 、六条院への行幸と万事が落着。
すべての問題が解決してめでたし、めでたしと第一部の終章にふさわしい内容でした。
読者も晴々とした気持ちです。
ここ一年近く「源氏物語」に没頭気味でしたが久しぶりに今月の連休は他の本も読んで見ました。
例の渡辺淳一の「天上紅蓮」他数冊、新鮮でした。
待賢門院璋子、白河院、鳥羽上皇の三角関係、世にも奇妙な関係に思いました。
つい昨年の大河ドラマの俳優をイメージしてしまいました。
いくら小説とは言え渡辺淳一は膨大な資料の下に創作されてますのでまったく架空ではないでしょう。
その生々しさにリアリティーを感じました。
璋子、不思議な人物ですね。
七世紀古代の恋、天智、天武、額田女王を連想してしまいました。
共にオープンでおおらかとも言える現代からみれば異常とも思える恋・・・
進乃君さんは「天上紅蓮」いかがでしたか?
ありがとうございます。
本当にお世話になっています。何とか折り返し点まで来れたのも青玉さんに毎日毎日熱いコメントをつけていただいてるお蔭です。適確なポイント整理とオーソドックスな受け止め方(解釈の仕方)にはいつも感心しています。それにしてもよく勉強されてるし手が早い(書き込むのが素早い)ですね。ノロな私には羨ましい限りです。
青玉和歌集も三十三首になりました。いつも言ってますが何れも核心をついて然も分かりやすい歌で感心するばかりです。単に歌を詠むというだけでなく「源氏物語を自分で読み解いてそのエッセンスを歌にする」というところがすごいのです(玉鬘十帖などは短い帖が多く一ヶ月に四首、さぞ大変だったでしょう)。是非是非「夢浮橋」まで完詠していただきますようお願いいたします。
「天上紅蓮」、コメントありがとうございます。何とか賞をもらってた筈でよく調べられたいい本だと思いました(サッと読んで人に渡してしまったので詳しく思い出せませんが)。確かに異常な三角関係ですね。朧月夜・朱雀帝・源氏の三角関係も奇妙ですが正に「事実は小説より奇なり」ということですかね。
どうぞ第二部も引き続きよろしくお願いいたします。
追伸
Eテレ、佑之氏の古事記終わりましたね。
短い時間で古事記の概略を知るためには解りやすくていい番組でした。
さすが日頃学生を教えておられるだけあってそつなくこなされましたね。
講演もあの調子でした。
ミーハーの私、佑之氏の口語訳古事記(上下巻)の文庫本を買ってサインしていただきました。
源氏物語もこの番組が皮切りだったこと、思い出しました。
来月は長谷川櫂氏の「おくのほそ道」です。
復習のためテキストを買ってきました。
ありがとうございます。
古事記、まだ撮りだめが残っています。宣長じゃないけど源氏物語を読むには古事記もやらなきゃいけないですからね。こちらはせめてダイジェスト版で三浦教授に教えていただきたいと思っています。
長谷川櫂の「おくのほそ道」ですか。これも楽しみですね。ちょっと季節が気に入りませんが。。
(10月末から今週初めまで 雲南を旅していました。全然キャッチアップが出来ず、フーフー言いながらfollowしています。)
“第一部”完了、大団円の由。
この帖、物語としては何んともはや 平凡な幕切れで正直な所、呆気無かったですね。
それにこの帖の主人公・夕霧の中途半端な存在感。
内大臣がオヤジ(源氏)と息子(夕霧)を比較するシーンがあります;
「かれ(源氏)は、ただいと切になまめかしう愛敬づきて、見るに笑ましく、世の中忘るる心地ぞしたまふ。 公ざまは、すこしたはれて、あざれたる方なりし、ことわりぞかし。」
→ 作者も源氏の圧倒的な存在感を 内大臣の口を借りてズバリ吐露していますね。
anyway 実質的には清々爺言われるように、「源氏物語」は この帖でザ・エンドだったのですね。
でも、二部は怪しく(?)展開するそうなので、楽しみです。
ありがとうございます。仕事を離れてもまた中国ですか。まあ中毒と言おうか依存症と言おうか、、、。立派ですよ。
1.藤裏葉の終幕、これ以上ないというハッピーエンド(めでたし、めでたし)で古代の物語ならこれで終わっていたところでしょう。近代文学を読みなれた現代人からすると平凡で呆気ないと感じるのも無理ないでしょう(私は単純なのでTVドラマなんかでも途中のハッピーなところで終わればめでたしでいいのにと思ってしまいますが)。源氏物語の文学的評価は第二部以降にあると言われてますので期待して読み進めて下さい。
2.夕霧を源氏と比較するのは可哀そうというものです。何せ源氏は好悪何れにも他を圧倒するダントツのスーパーヒーローなので他は(頭中も夕霧も)所詮源氏の引立て役にしかなりえないのです。これも紫式部の仕掛けだと思います。
お忙しい中源氏読みもキチンと真正面から取り組んでおられるようで素晴らしい、どうか背中の見える位置でついてきて下さい。