梅枝 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

梅枝のまとめです。

和歌

63.花の香は散りにし枝にとまらねどうつらむ袖にあさくしまめや
     (朝顔の君)  朝顔の君よりの薫物合せへの礼賛

64.鶯の声にやいとどあくがれん心しめつる花のあたりに
     (蛍兵部卿宮) 薫物合せでの唱和。蛍宮の一首

名場面
59.かくて、西の殿に戌の刻に渡りたまふ
     (p201  明石の姫君裳着、秋好中宮腰結)

[「梅枝」を終えてのブログ作成者の感想]

梅枝を終えました。玉鬘はいなくなり明石物語と夕霧物語が並走します。

明石の姫君の入内準備と位置付けて薫物合せを行い薫物論を展開し、名筆の草子集めに絡めて書道論・仮名論を繰り広げる。紫式部の多芸多才、教養の深さには目を見張るばかりです。

薫物のことなど何も知りませんでしたが何となく分かったような気がしました。書道・仮名についてもこれまで殆ど関心がありませんでしたが本段を読み、先日観た「和様の書」展などとも併せ奥の深いものであることに思い至り俄然興味が湧いてきました(私はやりませんが)。

薫物と草子のことを通じ愛する姫子の輿入れには家を挙げてできる限りの支度をすること、そして嫁入り道具は物品だけでなく知的財産(教養・奥義・ノウハウ)を含んだものでなければならず、その知的教養の最たるものが源氏物語(写本・絵巻)ではなかったろうかと考えました。

そして夕霧と雲居雁、先が見えそうでまだ見えない、、、、全く気を持たせるものです。

薫物・書道と抽象論に終始してしまいましたが、要はあんまりよく分かっておらず噛み砕けないのです。これが実力です。ご容赦ください。

そして第一部の終幕「藤裏葉」の開幕です。

カテゴリー: 梅枝 パーマリンク

7 Responses to 梅枝 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

  1. 青玉 のコメント:

    姫君の入内準備を背景にこの時代の知的教養の極たるものの一端を知ることができました。
    香道あり、書道、草紙一般。
    あたかも紫式部の芸術論をかいま見るようです。
    清々爺さんもおっしゃるようにその才たけた女性像が眩しいですね。

    昨晩たまたま旅番組のテレビを見ていました。
    奥湯河原の山翠楼のお部屋が「御法」という部屋でした。
    部屋名の隣には源氏香の香図が示してありました。
    「御法」を例の52香の縦棒で現わすと①④が同じ②⑤が同じ③のみが別
    ちなみに「梅枝」の香図は①③④⑤が同じ②が別ということになります。
    数十年前この旅館に泊まったのですがその当時まったく気付かなかったのです。

    源氏を学んでいる時だけは遥か千年前に遊ばせてもらっているような気分です。
    では第一部最終章を楽しみに!!

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.この巻は物語的には大したことないので香道・書道・草子一般について紫式部さまの薀蓄をお聞きすることでいいのだと思います。

      2.山翠楼、HP見てみました。源氏別館なんてあるのですね。豪華すぎてゆっくり寝られるのか心配なほどです。「御法」ですか、ちょっと暗いですね。私は「花宴」か「若紫」の部屋に寝てみたいです。

  2. ハッチー のコメント:

    小生には、香道、書道とも、どちらかと言えば苦手分野であり、香りはどちらかと言えばいまでも嗅ぎたくない、書は小学校で5段階で2をもらった記憶があり見るのは嫌いではありませんが馴染みが薄く、本帖はなかなかキチントは読み切れませんでした。それにしても、青玉さんの教養の広さ・深さには、脱帽です。
    器の話は、源氏物語にあまり出てこないようですが、当時は、陶磁器は未だあまり無く(室町辺りから盛ん)、どちらかと言えば、漆器などがもてはやされたのでしょうか、お解りなら教えて下さい。

    昨晩は、仲秋の名月かつ満月、ここのところ秋でもお月さまは見ていなかったのですが、源氏効果もこれあり、昨日は快晴?の夜空の月を観賞しました。
    書道であれ、月であれ、人間興味の範囲は広い方が、人生も広く生きれるように思える今日この頃です。

    歌では、爺も挙げてくれている

    花の香は散りにし枝にとまらねどうつらむ袖にあさくしまめや

    かぎりとて忘れがたきを忘るるもこや世になびく心なるらむ

    が良かったです。

    いよいよ、次で,第一部の終わりとのこと、藤裏葉楽しみです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

       私も香道・書道、この巻は殆どチンプンカンプンでしたが、これをきっかけに興味だけは湧きました。これも源氏効果だと思います。

       そうか、ハッチーさんは陶磁器が趣味なんですね。源氏物語に器も色々出てくるんでしょうがこれも余り興味がないので分析していません。資料などで食器の部分を見ると木製・土器・金属製と色々あったようですが土器は素焼きで陶器はまだ少なく木製(漆器)が多かったのではと推測しています。酒宴では土器(かわらけ)が随所に出てきますがこれは「素焼きでできた器」とのことです。「器から読む源氏物語」なんてのも面白いかも知れませんよ。

       源氏効果で興味関心をドンドン広げてください。

  3. 青玉 のコメント:

    ハッチーさん、器に興味をお持ちですのね。
    私も器、大好きです。当地方には器の名産地が目白押し。
    瀬戸といい常滑といい歴史は相当古いと思います。
    特に常滑の土もの(土管、甕類等)は相当古く、もしかしたら平安時代に遡るかもしれません。
    お隣の美濃も焼き物の産地で窯巡りや陶磁資料館など焼き物の歴史を知るには事欠きません。
    通り一遍、流し見ているのでちっとも記憶にとどめられません。
    ただ焼き物を観るのは大好きです。
    そして好みのものは買いたくなります。ただし値段と相談してね・・・
    昨年の大河、清盛で酒を酌み交わす場面では未だ素焼きのもので釉薬は使われていなかったですね。

    寛弘の女性たちの教養にはひれ伏す思いです。
    私はただ興味の赴くまま好奇心だけで生きているようなものです。
    ゆめゆめ教養には程遠いものです。
    聞きかじり、見かじり、読みかじりの代物程度です。

  4. 進乃君 のコメント:

    本筋に戻った訳ですが、登場人物の事を“忘れてしまって”、
    「あれっ、この人誰だっけ?」と思う場面がしばしば。
    そこで助かったのが 清々爺のコメント。(前斎院が、朝顔の姫君だとは!!)
    でも、清々爺は よくまぁ、かくも登場人物をしっかり把握していますねぇ。

    源氏が、夕霧に夫婦/結婚/女性について教訓するシーンが、ありますが 
    源氏って女性関係についてはもっと奔放的であって、こんなに 打算的、
    処世的だったかなぁ? → でも、清々爺は源氏の薀蓄に対し、
    “豊かな経験に基く正論である”とのコメント、真面目ですね。

    それと、夕霧と雲居の雁の仲。
    これも 源氏のこれまでの自由奔放(?)と言うか、厚かましいというか、
    そういう恋愛観とは 真逆のじれったいというか・・・・。
    でも、清々爺のコメントによると、これから この二人の展開があるようで、
    期待しています。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.登場人物の呼び名が変わる、これが源氏物語を読みにくくしている大きな原因だと思います(主語がない、文章が切れない、引用句が分からない等と並び)。その辺を補うことを意識して「道しるべ」としていますので評価いただくと嬉しいです。

      2.源氏の訓戒、確かに「自分のことは棚に上げてよく言うよ!」ってところはありますが、まあそれだけ源氏が成長したのだと言うことでしょう。でも実際には源氏は反省などしていなくて「オレはどうあっても女性をチャンと処遇できる自信があるがオマエには無理だろうから真面目にやるしかないんだぞ!」って言ってる感じがします。
        →その自信もやがて、、、、。

      3.さて物語は「光の頂点」へとさしかかります。お楽しみあれ。

コメントを残す