p208 – 215
5.夕霧、秋好中宮を見舞い源氏に復命する
〈p100 「それはそうと、昨夜のあのひどく恐ろしかった嵐に、〉
①中宮が里帰りしている。こちらも心配。源氏は夕霧に伝言を渡し見舞いに行かせる。
②中宮の秋の町の台風一過の様子。
→女房、女童が華やかな装いで虫篭に露を移したり、撫子を摘んだり。秋の町の風情が語られる。
③「曙」の後が「朝ぼらけ」、その後が「朝」になる。
④中宮は母御息所が亡くなって源氏が養女として面倒を見ていたので入内までは夕霧も簾中に入っていっしょに遊んでいた間柄であった。
→入内時中宮は22才、夕霧は10才(現在は中宮27才、夕霧15才)
⑤夕霧が源氏に中宮の返事を報告すると源氏はやはり自ら見舞うべきであったと反省しすぐに秋の町に赴く。
→この辺が源氏の腰の軽い、形式に拘らないいいところじゃないでしょうか。
⑥源氏の中宮評
→気品の高い女性として一目おいている。もう色っぽい感情はなくなったのだろう。
⑦源氏→紫の上
「見られてしまったぞ、戸も開いていたし」
「そんなことないですよ」
⑧中宮と源氏の会話は省略されている。
6.源氏、明石の君を訪れ、早々に帰る
〈p105 源氏の君は中宮の御殿からそのまま北に通り抜けて、〉
①秋の町から冬の町明石の君の所へ。
何事にも行き届いた冬の町の様子。
②筝の琴をかきならし源氏が来る気配を察するとさっと小袿を羽織ってけじめを見せる。
→賢明な明石の君のことだから源氏の訪れは予想の範囲内だったのだろう。
③ところが来て「大丈夫かい」との一言で帰ってしまう。
→これは予想外だったのではないか。
③明石の君 おほかたに荻の葉すぐる風の音もうき身ひとつにしむ心地して
→何故源氏は明石の君に冷たいのだろう。折角六条院に迎え入れたのに。
→紫の上もつらいが明石の君もつらい。
今日は立秋、そしてお盆を過ぎるころには野分が立つ季節です。
台風というより野分の方が風情がありますね。
御息所の忘れ形見、中宮 あれほど執着していた源氏が今は意外とあっさりで形式的に感じました。
今や源氏の心は玉鬘で占められている、当然明石の君への見舞いもそっけない・・・
明石の君のお歌 おほかたに荻の葉すぐる風の音もうき身ひとつにしむ心地して
悲しき響きます・・・
ありがとうございます。
1.折角の秋好中宮の登場なのに源氏との会話もないし、中宮の現在の心の内の叙述もない。ちょっと拍子抜けです。おっしゃる通り形式的なお見舞いで心がこもってないように思います。
→結局秋好中宮にはさしたるエピソードもなく無色みたいな感じで終わってしまいます。
2.明石の君とのからみは物語としては明石の姫君が絡んで来ないと展開させにくいのでしょうね。さて六条院での日々源氏の女君への夜のローテーションはどんな具合だったのでしょうね。考えてみるとこの時源氏の妻と言えるのは紫の上・明石の君・花散里の3人だけですね(二条東院の空蝉は出家しており末摘花は敬遠でしょうから)。花散里とは共寝はないようなのでとどのつまり紫の上と明石の君だけですね。そう考えると源氏が玉鬘に対し妄想を拭い去れないのも尤もな気がします。ハーレムのようですが実は案外寂しかったのかも知れません。