p201 – 208
3.夕霧、三条宮に泊り、紫の上を思い続ける
〈p94 三条の宮邸に向かう道すがらも、〉
①夕霧は六条院と大宮のいる三条宮を日ごろからこまめに行き来している。
②道すがらいりもみする風なれど、、、
風のさきにあくがれ歩きたまふ、、、
→風に因んだ面白い表現
③野分を心配して夕霧が大宮を訪れる。大宮、70才くらい。夕霧を頼りにしている。
→息子内大臣(頭中)が冷たい。まだ雲居雁のことを根に持っている。
④嵐の中夕霧は色々に思い悩む。
→雲居雁のこと、さっき垣間見た紫の上の素晴らしさ、母代りになっている花散里のこと。
⑤さやうならむ人こそ、同じくは見て明かし暮らさめ、限りあらむ命のほども、いますこしはかならず延びなむかし
→よく似た発想の文章あったなと探してみたら「桐壷」の巻末にあった
かかる所に、思ふやふならむ人を据ゑて住まばやとのみ、嘆かしう思しわたる(桐壷 p62)
「思ふやうならむ人」とは藤壷のことであろう。この父にしてこの子ありか、いやちょっと違うかな。
4.夕霧、源氏と紫の上の寝所近くにまいる
〈p97 明け方に風は少し衰えて、〉
①甲斐甲斐しく立ち振る舞う夕霧の行動と心内がリズミカルに描かれている。
→風雨の中三条宮から六条院に向かう間にも昨日見た紫の上の姿が頭から離れない。
②源氏と紫の上の睦言、夕霧には紫の上の声は聞こえない。妄想がかきたてられる。
紫の上 「もっとゆっくり寝ていたいわ」
源氏 「あなたとはいつもゆっくりじゃないですか。普通男はゆっくりなどしておれないのですよ」
③源氏→夕霧 大宮に孝行せよと説きつける。
源氏は義理の息子であるが大宮に対する心遣いは立派である。夕霧の祖母に対する思いやりもすばらしい。
物語の季節は現実とは少し先を行ってるようです。
野分とかいま見る紫の上の姿、対照的で絵になりますね。
瞬間覗き見た姿というのは結構強烈な印象で心に焼きつけられるでしょう。
若い夕霧にとっては寝ても覚めてもという所でしょうか・・・
いろいろ心かき乱されるようですね。
ありがとうございます。
野分垣間見の場面は必ず源氏絵の場面になっているところですね。おっしゃる通り夕霧にとっては刺激が強すぎたのではないでしょうか。雲居雁との仲を割かれ藤典侍ともまだこれから。そんな女性に関して経験途上の夕霧は悶々としたことでしょう。この辺り源氏から夕霧に恋の主役が変わりつつある感じがします。
本日、東京国立博物館 平成館に、”和様の書”を見に行きました。
絵画や陶器は見るのが大好きなのですが、書は今まで興味がなく、展示されていても素通りが多かったのですが、今回は、藤原道長の“御堂関白記”が世界文化遺産に登録され初めてお目見えするということで、源氏物語絡みもあり、見て来ました。史実を書いている点でも注目されているらしいです。小生には文章は読めませんし、書は解らないので、何となくすごいのだろうという印象で終わりましたが、それでも、他に平安を中心に江戸までの名作がずらりですので、それなりに感じるところはありました。
このほか、三跡と呼ばれる、小野道風、藤原佐理、藤原行成の漢字や仮名遣いの文や歌を始めとし、高野切の仮名文の古今和歌集、各種写経、手鑑本など、国宝がザクザク展示されており、こんなに国宝が出ている展示会は国立とは言え、小生には初めてで、点数も多く、見甲斐がありました。
小生はできませんが、もし和歌を平安朝の文字(漢字・仮名)で読めると、すごく面白いのだと思いました。9月8日までやっていますので、興味と時間と機会があれば、ぜひどうぞ。
ご案内&ご紹介ありがとうございます。いいもの見られましたね。
先般NHK番組にこの展覧会に取材したものがあり面白かったです(藤原行成に焦点をあてていた)。世界記憶遺産の御堂関白記もいいですが平安時代→平仮名→女流文学→源氏物語という観点から見てみたいと思っています。
(明日カラオケ行く前に立ち寄ってきます)
書を始めて7~8年になるでしょうか。
書は誠に奥が深く生涯かけても極めるのは至難の業のように感じます。
師は60年以上も続けておられますがまだまだと言われています。
私など読めないし下手なのか上手なのかの判断もつきません。
「何となくすごいのだろう」というハッチーさんの感想は正直です。
単なる趣味として楽しむ程度が素人には向いています。
今年から仮名文字を始めましたがこれは先ず変体仮名を学ぶことから始まります。
字母を元にした字体がいくつかあり覚えるのも大変です。
書では俳句や短歌に変体仮名が多く使われています。
流れるような筆致は読めなくてもとても美しいです。
読めるようになればもっと素晴らしいと思います。
やはり東京は催し物が違いますね。羨ましいです・・・
漢字が崩れて仮名になっていく。その過程の様々、結果としての今の平仮名。面白いでしょうね。片仮名もありますしね。先に引用させてもらった書の愛好家によると片仮名は漢字の一部からとったのだがその元の漢字が何かはけっこう難しいとのことでした。色々の試行錯誤があったのでしょう。
和様の書関連番組でNHKに出て来た書道の先生は上達のコツは「真似ることです」と言ってました。なるほどと思いました。
是非書道も続けてください。
昨日見てきました。書道をやってる人が大半だったのでしょうが古典・平安時代に興味のある私にも面白かったです。以下備忘録的感想です。
1.解説文やガイドを聞いて中国から来た漢字が如何に和風(和様)になり平仮名へ転じていったのかを知ることができました。書そのものは読めないしハッチーさんおっしゃる通り「何となくすごいのだろう」なと思っただけですが、読めないながらすごくきれいでいいもんだなと思いました。
2.出品目録によると国宝が46点、重要文化財が35点、正にザクザクありました。それも東京博物館だけでなく五島美術館、徳川美術館はじめ全国の博物館・美術館・寺社・個人所蔵のものまで凡そ日本にある重要な書は全部集めたのではないかと思うほどでした。
3.そんな中期待した平安女性(寛弘の女房達)のものは一点たりともありませんでした。源氏物語ではこれから読む「梅枝」で書道論があり源氏が各女君の筆跡を論評する場面が出てきます。女性の筆になるものがあっても不思議はないのですが紫式部も清少納言も一点もありませんでした。ここに展示されてないということは残っていないということでしょう。源氏物語にしても枕草子にしても元本はなく後に男が書き写したもの(写本)しかないのだと思い知りました。
4.印象に残ったベストスリー
1)御堂関白記(藤原道長) 何と言っても世界記憶遺産
2)初音蒔絵調度のうち眉作箱 (例の徳川美術館所蔵の一つ)
3)平家納経 厳島神社蔵 清盛の威光を見る思いでした
そして出口の所に芭蕉と一茶の直筆の一句が展示されてました。まあこれはオマケでしょう。書としての価値はあまりないのかも。芭蕉のなどは小さくてくしゃくしゃしててよく分かりませんでした。。