常夏(5・6) 雲居雁の昼寝 & 近江の君現る

p157 – 163
5.内大臣、雲居雁を訪れて、昼寝を戒める
 〈p62 そんなふうで内大臣はあれこれ思案なさるうちに、〉

 ①前段に引き続き内大臣(頭中)の二条邸、ここに雲居雁を引き取っている。

 ②暑い夏の昼下がり、雲居雁は薄着姿で昼寝をしている。そこに内大臣はずかずか入ってきて雲居雁をたしなめる。

  雲居雁は美しく成長していて内大臣は嬉しく思う。思うものの型にはまった性格は変えられず雲居雁に昼寝の戒めから女のあり方、教育方針まで滔々と述べる

  (女子に対する教育方針)
  源氏は調和と中庸(あまり厳しくはしない)、内大臣は個性尊重、何事も厳しく
  →それぞれに特徴があっていいじゃないでしょうか。
  →両者とも身分(皇族出身・藤原)・立場からして尤もな考えだと思います。

 ③一般論の後に夕霧に靡いてはならないと釘をさす。
  →言わずもがなでしょうに。でも言わずにはおられないのが内大臣

6.内大臣、近江の君を弘徽殿女御に託す
 〈p65 内大臣は、北の対にお引き取りになったあの新参の〉

 ①さて、近江の君。内大臣(頭中)の落し胤、母は劣り腹としか書かれていない(内大臣は知ってたろうに何も語られていない)。源氏の玉鬘に対抗して落し胤を探させたところ近江の国で中将(柏木)が探し出してきた。

 ②その近江の君に対する内大臣の態度・処遇
  「いかにせむ、さかしらに迎へゐて来て、人かく謗るとて返し送らむもいと軽々しく、、、(中略)、、、女御の御方などにまじらはせて、さるをこの者にしないてむ」
  
  →全くひどい父親。私は頭中が嫌いではなく雲居雁の処遇は疑問はあるものの一つの考えだろうとは思ったが、この近江の君への考えはケシカランと思います。

 ③近江の君を預けたいとする内大臣に対する弘徽殿女御の言葉
  →まともな正論でありさすが冷泉帝に仕えている女御である。

 ④中将が探してきた経緯など一切書かれていないが、いきなり笑われ者にしてしまえなんて親として、いや人間として許せない感じ。
  →事を荒立てず何とでも処遇のやりかたはあったろうに。
  →でもそこは物語。憤りをおさえて次に進みましょう。

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2 Responses to 常夏(5・6) 雲居雁の昼寝 & 近江の君現る

  1. 式部 のコメント:

     雲居雁の昼寝姿、可愛いですね。 肌が透いて見える羅の単衣で、紅の袴、京都の夏は暑いから、この衣装でも大変ですよね。
     扇の風もぬるいだろうし、せいぜい氷水に手をひたすくらいしか涼をとれなかったでしょうね、お姫様たちは。
     庶民は賀茂川で水浴びしたんでしょうかねえ?  源氏物語では触れられることのない世界ですけれども、こう暑い毎日が続くと気になりますね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.折しも今うだるような暑さでこの段の様子がよく分かります。日本の夏(取分け京都は)の蒸し暑さは特別、いくら建築構造に暑さ対策・湿気対策を施してもさぞ堪らなかったことでしょう。

       巻名の「常夏」は撫子の古名から来ているのでしょうが雲居雁が暑さで昼寝をしているこの段も常夏にピッタリだと思います。

      2.暑さに薄着の描写は先の軒端荻が空蝉と碁を打ってる場面とそっくりですね(空蝉2.p168)。

       雲居雁 羅の単衣を着たまひて臥したまへるさま、暑かはしく見えず
       軒端荻 白き羅の単襲、二藍の小袿だつものないがしろに着なして

      3.丁度一年後にやる予定の宇治十帖(蜻蛉)にも姫君が白い薄物の着物を着て氷で涼をとっている有名場面が出て来ますね。

       源氏物語での酷暑(六月)のキーワードは、「釣殿での涼、白き薄物単襲、氷、蝙蝠扇」でしょうか。

      (今日は「常夏」です。クーラーつけてコメント書いてます)

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