p122 – 128
11.源氏、夕霧の扱いに配慮 夕霧恥を忘れず
〈p37 源氏の君は、御長男の夕霧の中将を、〉
①夕霧15才 四位で中将になっている。当然ながら順調な昇進。
②普段花散里の夏の町に住んでいる。
春の町には紫の上と明石の姫君が居る。源氏は紫の上には決して近づけない(警戒している)。一方明石の姫君(8才)は妹であり将来親代わりをさせることもあろうかと親しくさせている。
→自分と藤壷の二の舞になっては困るとの心配。
→でも隠されると却って夕霧も紫の上を意識してしまう。
③中将の君を、け遠くもてなしきこえたまへれど、
→「け遠し」「け近し」の「け」は気配のこと。物理的な遠さ・近さでなく人相互の親しみの度合いが遠い・近いという意味。ここでは二人が決して親密にならないようにという意味合い。
→「け近し」一杯出てくるが一例p96 御声こそ惜しみたまふとも、すこしけ近くだにこそ
もう少し気配が感じられるほど近くへ、、、という意味合い
④夕霧の律儀・意地っ張り・まじめ・強情な性格が語られている。
→ある意味源氏の教育方針に沿った形で成長している。
⑤右中将(柏木=頭中の長男)この時20才くらいであろうか。
→源氏 vs 頭中のある種ライバル関係が 息子たち夕霧 vs 柏木に踏襲される。
12.内大臣、娘の不運を嘆く 夢占いのこと
〈p39 内大臣は、北の方はじめ多くの夫人たちに〉
①内大臣(頭中)の息子は柏木以下多数。
娘は4人。玉鬘・弘徽殿女御・雲居雁・近江の君(後出)
②G17年5月の雨夜の品定めのことが回想される。
→帚木10.頭中将の体験談-内気な女(p110)
→この時頭中22才くらい、職務は今の柏木と同じく中将であった。時代は廻る。
③内大臣 心のすさびにまかせて、さるまじきことも多かりし中に、
→中々素直な述懐である。
④内大臣、玉鬘のせいで華やかに輝く六条院の様が羨ましくてならない。
→源氏への対抗心益々盛んである。
⑤夢合せを登場させて話の進行を示唆する。
→真相を知っている読者はいつ内大臣が玉鬘のことを知るのか興味をそそられる。
夕霧15才。
その年齢での源氏を思えば真面目一方ですね。
あえてそのように教育したのでしょうが自分のようにはなって欲しくないと言う願望でしょうか?
自身の経験から君子危うきに近寄らずを地でいかせたようですね。
久しぶりに頭中の登場。
多くの御子には恵まれているようですが何やら屈託ありげな様子ですね。
場面は少しずつ息子世代に移行しつつあるようですが・・・
放ちたる淡き蛍火夕まぐれ
おぼろに浮かぶ青きまぼろし
ありがとうございます。
1.源氏の夕霧に対する扱い(妹の明石の姫君のところへの出入りは許すが義母紫の上のところへは女房も含め出入り禁止にしている)、面白いですね。笑ってしまいます。紫の上は夕霧と13才差の28才。普通ならお互い相手にしない年齢差だと思うのですがこの物語では何が起こるか分かりませんものね。
2.柏木が夕霧に玉鬘への仲立ちを頼むところも傑作ですね。おっしゃる通り物語は息子世代との二重構造になりつつあります。柏木と夕霧の物語は益々重要なものになっていき柏木が死ぬまでいや死んでからも続くことになるのですから。
3.「蛍」の歌、いいですね。やはりこの巻は巻名から言ってもあの場面が一番だと思います。