胡蝶(6・7) 源氏、玉鬘に添い臥し

p74 – 84
6.源氏、玉鬘に慕情を告白 玉鬘、苦悩する
 〈p295 玉鬘の姫君のことがお心にかかるままに、〉

  ①初夏4月、新緑瑞々しい庭先の描写 - 若楓 柏木
  白氏文集が引かれている - 和して且清し

 ②姫君の御さまのにほひやかげさを思し出でられて、
  →何ともにおいたつような魅力あふれる様子ということか

 ③源氏→玉鬘 母夕顔を引き合いに出して昔を懐かしむところから話を切り出す
  源氏 橘のかをりし袖によそふればかはれる身ともおぼほえぬかな 代表歌
  →季節の橘を詠み込む。橘は昔の人を思い出すよすが

  御手をとらへたまへれば、女かやうにもならひたまはざりつるを、いとうたておぼゆれど、おほどかなるさましてものしたまふ 
  →脚注10 秋好中宮の時は手も握れなかったが今度はもっと本気ということか。

 ④手つきのつぶつぶと肥えたまへる、身なり肌つきのこまやかにうつくしげなるに、
  →つぶつぶと肥えて 空蝉の巻 碁打ち覗き見の場面、軒端荻のグラマラスな描写
  →裸を見たのかと一瞬ドキッとしたが夏の薄絹が透けて見えたということらしい(注16)

 ⑤源氏→玉鬘 親であったり親でなかったり。理屈を尽して訴える。
  →いとさかしらなる御親心なりかし  全くその通りでしょう。

 ⑥なつかしいほどなる御衣どものけはひは、いとよう紛らはしすべしたまひて、近やかに臥したまへば、
  →ついに行動に出ようとする源氏。要約してしまうとトンデモナイ話になってしまうがじっくり原文を読んでいると「なるほどこういう気持ちになってしまうものかなあ」と思えても来ます。原文の深さでしょうか。

 ⑦この時玉鬘22才。処女であり女房たちからもその方面の知識は入っていない。
  →聡明な玉鬘のこと故男女のこと想像はついてただろうがどんな風に進むのか分からない。この辺の叙述は成程なあと思います。
  →もう一人処女でコトが分かってない姫君がいました。末摘花。でも描き方は違いましたね。

 ⑧「ゆめ景色なくてを」とて出でたまひぬ。
  →他言は無用ですよ、、、この辺は抜かりない。

 ⑨玉鬘の乳母や女房たち(右近・兵部)は源氏のことをどう思ってたのだろうか。実父ではないこと、夕顔を愛していたことを知っているこの人たちはむしろ「源氏が手をつけてくれたらいいのに」と思っていたのではないでしょうか。→考え過ぎか。
  
7.玉鬘、源氏の愛に困惑 他の求婚者たち
 〈p302 いったんお心のうちを打ち明けておしまいになってからは、〉

 ①色に出でたまひて後は
  →百人一首No.40 平兼盛(例の天暦の歌合せで勝った歌)
   忍ぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで
  
 ②玉鬘獲得競争
  兵部卿宮、髭黒大将、柏木(岩漏る中将) そして養父源氏、、、いやはや。  

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2 Responses to 胡蝶(6・7) 源氏、玉鬘に添い臥し

  1. 青玉 のコメント:

    源氏いよいよ告白、行動に出ましたね。

    姫君の御さまのにほひやかげさを思し出でられて
    玉鬘、処女とは言え成熟した女性のにおいたつ美しさが表れている所です。

    手つきのつぶつぶと肥えたまへる、どこかで聞き覚えある「つぶつぶ」は軒端荻でしたね。
    懐かしい、大分以前になりましたがこういった特徴的な表現は忘れないものですね。

    雨はやみて、風の竹に生るど、はなやかにさし出でたる月影をかしき夜のさまもしめやかなるに
    詩情豊かな美しい夜の風情に誘われてついに源氏は抑えがたい気持ちになる・・・
    源氏がくらくらとするのも解らないでもありません。
    もう夢遊病者のように見境なく衝動的に身体が動いてしまうのでしょうね。

    玉鬘の苦悩はかりしれないですね。
    あちこちからの求婚に加え養父の恋、困惑は増すばかり・・・

         こてふ舞ひ花散り交うもうるはしき
              春の花ぞの錦なりけり

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。返事が遅くなりました。

      1.おっしゃる通りここでは源氏はさながら夢遊病者のようです。源氏がこのような気持ちになったのは第一には藤壷に対してで昼夜の見境なく藤壷を求め彷徨っているところがありました(若紫13 p59-60)。そして第二は夕顔に対してで夜が待てないほど耽溺している様子が強烈でした(夕顔9 p216)。

       藤壷、夕顔の時は17、18才の血気盛んな時で分からないこともないのですが今回は36才の分別盛り、やはりちょっとどうかなと思ってしまいます。相手が夕顔の娘というのが効いているのでしょうか。

      2.胡蝶の歌、ありがとうございます。この巻は「春の花園」そのものですからね。

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