p219 -226
12.源氏、玉鬘に消息をおくる 玉鬘、歌を返す
〈p221 この話をお聞きになって後は、〉
①右近は紫の上の女房なので常々は紫の上といっしょにいる。それでは拙いので別の所へ呼び出す。
②源氏の方針
内大臣には知らせない・実子として六条院に迎える・男どもが集まって来よう
③源氏 かくて集へたる方々の中に、かのをりの心ざしばかり思ひとどむる人なかりしを
→かつて夕顔ほど情熱を燃やした人はいない。
→今朝のほど昼間の隔てもおぼつかなくなど思ひわづらはれたまへば、
夜を待てないほど、、、強烈な表現があった(夕顔 p216)
④源氏、玉鬘に歌を贈り反応をテストする。
→歌の内容、筆跡、紙・墨などで教養の程度が分かる
源氏 知らずとも尋ねてしらむ三島江に生ふる三稜のすぢは絶えじを
玉鬘 数ならぬみくりやなにのすぢなればうきにしもかく根をとどめけむ
→見事な返歌。テスト合格。源氏もほっとしたことだろう。
⑤玉鬘は源氏など知らない。実父の内大臣のところへ行くならまだしも実父のライバルで母を愛人とした源氏の下へなど行きたくなかったであろうに。
→右近始め周りの人々が懸命に説得する。
13.玉鬘の居所を定め、紫の上に昔の事を語る
〈p225 この姫君のお住みになるお部屋を、〉
①玉鬘をどこに住ませるか。結局夏の町、花散里の所で面倒を見させることにする。
→誠にGood Decision 六条院構想の時から思い描いていたのであろう。
②紫の上に打ち明ける いつもの言い方で説得する。
「わりなしや、世にある人の上とてや、問はず語りは聞こえ出でむ。かかるついでに隔てぬこそは、人にはことに思ひきこゆれ」
③紫の上はピンときて明石の君を引き合いにどの程度の女性かを量ろうとする。
→源氏も夕顔は明石の君と同列以上だと説明する。右近の評価を受けた感じ。
④紫の上が明石の君を意識していることが述べられる。
→当然であろう。そしてまた新たな女君(娘扱いとは言え)登場。紫の上には堪らない。
源氏の嗜好癖が又々現れている場面ですね。
六条院へ迎える源氏の方針が理解できません。
好色な男たちにさらせば懸想する人も多く出てくるでしょうに・・・
これも後の物語の上での伏線と思えば納得ですが。
紫の上の悩みは又一つ増え堪らない思いでしょう・・・
ここでふっととんでもない思いが頭をよぎりました。
橋田壽賀子の「渡鬼」です。
「よくもここまで次々」と事が起きるものだと思ったものですが源氏の女性関係と比べるのも変な話ですが「よくもここまで次々」は同じです。
ありがとうございます。
1.源氏物語全体における玉鬘十帖(玉鬘~真木柱)の位置づけの問題かと思います。玉鬘が出て来なければ六条院は賑わわない。六条院を造営した意味合いが薄れる。それで大きなエピソードとして夕顔の遺児を登場させ貴公子たちを色めき立たせ源氏自身にも恋する青春時代を思い出させる。しかも「養父の恋」というタブーに近いものを持ち出す。紫式部と言う人計り知れません。
2.なるほど「渡鬼」ってそういう話ですか。橋田壽賀子の発想ならそうでしょうね。私は「おしん」しか知りませんが、玉鬘が大宰府から肥前に流れ行き大夫監のことで苦労したという件でおしんの佐賀編(夫の実家佐賀で義母に徹底的に苛めぬかれる話)を思い出していました。女流作家の方が「よくもここまで次々に」考えられるものかもしれません。