p226 – 237
14.玉鬘六条院に移り、花散里 後見を受け持つ
〈p227 こういう話は、九月のことでした。〉
①玉鬘六条院へ。それにはお付きの人・調度など揃える準備がいる。
②p228脚注1 九州へ下った一行が右近の消息を知らなかったのは分かるが右近が何故乳母・玉鬘がどこへ行ったのか分からなかったのか確かにおかしい。乳母は太宰大弐の妻だったわけで源氏に言って調べさせればすぐ分かっただろうに。
→九州での16年間は考えると不審なこと多いが詰らぬ詮索は止めにしましょう。
③夏の御方、花散里に玉鬘を後見させる。これもグッドアイデア、花散里に打ってつけの役どころである。
→突然実の娘が出てくれば不審に思うのが普通だが花散里はおっとりしてて(おっとりしてるふりをして)疑問を挟まない。源氏にとってありがたい女君である。
15.源氏、玉鬘を訪れ、そのめやすさを喜ぶ
〈p229 その夜は早速、源氏の君は、〉
①源氏初めて玉鬘を見る。
→右近が甲斐甲斐しく世話をする。
②源氏と玉鬘の会話 源氏は余裕しゃくしゃく、玉鬘は緊張の極み
→当然であろう。
③源氏は歌の贈答で玉鬘の教養のほどは合格点としたが何せ田舎で16年も過ごした女性、容姿・物腰などは大丈夫かなと不安に思ってたことだろう。
→会話は古歌を引きつつ教養に富んでいる。灯りを近づけ見た容姿もきれい。声も夕顔に似て若やか。源氏はしてやったりと嬉しかっただろう。
④いつものように紫の上に報告する。
→源氏は玉鬘のことが余程嬉しかったのだろう。はしゃいだ調子で紫の上に語りかける。
→紫の上にしては面白くもない(あなたって相変わらず無邪気なものね)
⑤源氏→紫の上 「まことに君をこそ、今の心ならましかば、さやうにもてなして見つべかりけれ。いと無心にしなしてしわざぞかし」
→嬉しい気持ちは分かるが悪い冗談である。
⑥源氏 恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなるすぢを尋ね来つらむ 代表歌
→これはそのままの歌。巻名もここから。玉鬘の呼称もこの歌から。
16.夕霧、玉鬘に挨拶 豊後介、家司となる
〈p234 夕霧の中将にも、源氏の君は、〉
①夕霧(14才 中将になっている)に玉鬘のことを告げ姉として親しくするよう言いつける。
②玉鬘が源氏の実子でないこと(内大臣の子であること)を知っている人は、
玉鬘・乳母・豊後介・兵部の君 & 右近 & 源氏・紫の上
その他の人(花散里や夕霧)は皆源氏の実子だと思っている。
→よくぞこんな設定を思いつくものだと感心です。
③玉鬘が玉の腰に乗った。これまで玉鬘を必死に支えてきた人々が報われる。
豊後介は玉鬘方の家司となって六条院に出入りする。
→やった、よかったね、豊後介! よくぞこれまで玉鬘を支えてくれました。
→乳母の事が書かれてないのがちょっと不満
ここでは玉鬘関係者がすべてハッピーエンドに終え、とにもかくにもめでたし、めでたしという所でしょうか。
それにしても実子でもないのにそのように装って玉鬘を種に男達を唆し自身もそれに加わろうとする下心や遊び心が私は気に入りませんね。
源氏は大人なのか子どもなのか複雑な人物ですね。
人品骨柄卑しからずの源氏の深層に何やら得体の知れない闇のようなものを感じます。
まあ、いろんな詮索は止めにしてあくまでもお話として楽しめばいいのですけどね・・・
ありがとうございます。
玉鬘の扱い、確かにおかしな話で普通に考えればついて行けませんね。源氏の考えと行動に疑問を感じられること尤もだと思います。
でもそこは物語、おっしゃるように楽しむことにしましょうよ。
源氏の歌 恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなるすぢを尋ね来つらむ
源氏はよほど夕顔が忘れられずその遺児についても心を痛めていたのだと思います。そして念願かないやっと玉鬘を見つけ出すことができた。しかも素晴らしい女性に成長している。源氏は有頂天だったのだと思います。この素晴らしい玉鬘を今をときめく若公達たちに自慢したい。どのようにアタックしてくるのか(どんな歌を作りどんな手立てでアプローチしてくるのか)みてみたい。昔の自分の恋模様(夕顔はじめ)を思い出しつつ、そんなことを考えていたのではないでしょうか。自分も加わろうと思ったこともあったでしょうがそれは男なら誰しもある一瞬の妄想で根底は玉鬘の幸せを願う気持ち(それが夕顔への恩返し)だった、、、、、と思いたいのですが。。。