p22 – 28
3.源氏、帰邸後、姫君と朝顔の歌を贈答する
〈p68 お気持ちのおさまらないままお帰りになった源氏の君は、〉
①空しく帰った朝、朝顔をテーマに歌の贈答をする
この朝顔は今の朝顔と同じと考えましょう(槿との説もあるが)
②源氏→朝顔
見しをりのつゆわすられぬ朝顔の花のさかりは過ぎやしぬらん
→これは親しみ故のおふざけだろうがチト強烈
→脚注で「見し・朝顔」でありもしなかった情交をあったかのごとくにいう、とあるが過去に一度は情交があったのではなかろうか。なかったという証拠はないと思うのだが。
→あったとすれば16年ほど前、互いに17才の頃でさぞ初々しい朝顔だったことだろう
③朝顔→源氏
秋はてて霧のまがきにむすぼほれあるかなきかにうつる朝顔 代表歌
④③の強烈な歌に対する語り手の弁解が面白い。
4.源氏、朝顔の姫君に執心 紫の上悩む
〈p71 源氏の君は東の対にひとり人目を避けていらっしゃって、〉
①二条院に朝顔の女房宣旨を呼びつけて朝顔をどうアタックするか相談する。
→どんな相談をしたのだろう。宣旨は「無理ですよ」と受け流したのだろうか。源氏も32才、昔王命婦に迫り藤壷への手引きを強要したような元気はもはやなくなったということか。
②源氏が熱心に朝顔に言い寄っているとの噂が紫の上の耳に入る。
紫の上の心内 「同じ筋にはものしたまへど、おぼえことに、昔よりやむごとなく聞こえたまふを、御心など移りなばはしたなくもあべいかな。年ごろの御もてなしなどは立ち並ぶ方なくさすがにならひて、人に押し消たれむ」
→紫の上の悩みは深刻である。明石の君なら身分的にも自分が上位で子どもも養女にして面子もたっているが朝顔の姫君では逆転して正妻になられてしまう。これはつらい。
→源氏物語は第二部若菜上から人の苦悩を描き出す近代小説になる(第一部は古代の物語)と言われているが、紫の上が真剣に悩み始める朝顔のこの辺りからそれが始まるとの説もあり私も賛成です。
朝顔の姫君は賀茂の斎院になったのだから、普通に考えると情交なしでしょう。
源氏と朝顔とはいとこの間柄だから、ごくごく子供の時に見知っていた可能性はありますよね。ここは文字通りの単なる「見し」と受け取りたいですね。
ありがとうございます。
おっしゃる通り素直に考えるのが順当なんでしょう。朝顔の君は源氏に屈せず独身を通した誇り高き皇女であった、、、それでいいと思います。
六条の御息所も馴れ初めは書かれていませんがその後のやり取りは結構描かれており人物評価も可能なんですが、この朝顔の君は何も書かれていない。紫式部も最初の構想では朝顔の君とのことでもう少し物語の展開を考えていたんじゃないでしょうか。
これでは「紫の上の嫉妬心を増大させるためだけに登場した姫君」で終わりですね。
しばらく留守をしておりました、数日遅れです。
この場面での二人の和歌の贈答がおもしろいです。
源氏 我が意のままにならない朝顔に対しての和歌
皮肉を込めて自身のプライドを守ろうとしているかに映ります。
朝顔 自らをあるかなきかの朝顔に例えて返歌する・・・
これも皮肉っぽいですね。
あるかなきか・・・これは情交があったかなかったかも含んでいる?
紫の上 ああ又亭主の悪い癖が始まった困ったわね・・・
どうせ最後は私の元に戻ってくるんでしょう、しょうがない人ね・・・
このようには思えないでしょうか?
やはり当事者としては心穏やかにとはいかないでしょうね。
自身の立場の危うさを危惧する・・・
三人の思いが複雑に絡んでいるように思います。
お忙しい中、小まめにコメントをいただき誠にありがとうございます。
1.おっしゃる通り二人の歌の贈答、この巻の重要ポイントだと思います。両者とも皮肉たっぷり。脚注5のように作者が弁解せねばならないほど度を越した異例の歌の贈答で、よほど二人の間に心を許し合った何かがあるのでしょうね(情交があったかどうかは別にして)。普通のケースなら大喧嘩になるところでしょうに。
あるかなきか、、、情交のことも含んでいる? なるほど。。。あったようななかったような、際どいところまでいったんだけど、、、ってことかも知れませんね。
2.紫の上の気持ち、おっしゃる通りで収まればいいのでしょうが朝顔の君が相手では深刻にならざるを得ないのではないでしょうか。