「朝顔」みづからはあるかなきかのあさがほと言ひなす人の忘られぬかな(与謝野晶子)
これまではチラリとしか出て来なかった朝顔の姫君の登場です。明石の君に対しては娘を養女として引き取ることで何とか心の整理をつけた紫の上も身分的に源氏の正妻に相応しいこの姫の登場でまた心は騒ぎます。嫉妬心・不安感は段々と昂じていくのです。
p12 – 22
1.源氏、故式部卿宮邸に女五の宮を訪ねる
〈寂聴訳巻四 p60 斎院の朝顔の姫宮は、〉
①朝顔の姫君 = 式部卿宮(桐壷帝の弟)の娘、即ち源氏とはいとこ(同年くらいだろうか)
②帚木の巻が初出、葵・賢木でも源氏が折に触れ歌を贈答し合ってる姫君として出ている。
③葵の上が死去し正妻候補であったがG24年賀茂の斎院に召し出される。以後G32年の今まで実に8年間も斎院として神に仕えていた(女盛りを神に捧げたと言えようか)。
④父式部卿宮が死去して斎院から降りて桃園宮邸に里帰り(内裏の北東に隣接)
⑤叔母女五の宮といっしょに住んでいる。
女五の宮 未婚の老皇女 姉女三の宮が羨ましい
女三の宮(大宮) 左大臣の妻 葵の上の母(源氏は婿) 頭中の母
女五の宮は何とかして朝顔を源氏に娶せたい。
⑥女五の宮→源氏 故式部卿宮も源氏を婿にしたいと思ってたことなどほのめかす。
2.源氏朝顔の姫君を訪ね、女房を介して話す
〈p64 あちらの朝顔の姫宮のいらっしゃるお庭のほうを〉
①源氏、朝顔の姫君と対座。8年間のブランク。その間源氏は須磨流謫の目にも合っている。
②昔のことを引き合いに訴えようするがお互い既に中年の域、若年の時のような恋は語れない。
③朝顔の心情を伝える宣旨の言葉 「禊を神はいかがはべりけん」
恋せじと御手洗川にせしみそぎ神はうけずもなりにけるかな
(伊勢物語六十五段 業平・高子の話とも言われている)
→高貴な女性に言い寄っても神は聞き届けてくれなかったということ
桐壺帝の弟を父に持ち大宮の妹を叔母に持つ、すなわち桐壺帝は父方の叔父様ということですね。
父、叔母共に桐壺帝の兄弟、源氏とは従兄妹同士、ああ、ややこしい!
時々忘れたころに登場する朝顔の姫君、今いち詳しい性格とかは解りませんが今まで唯一源氏を袖にしてきた女性でしたよね。
さて、源氏の高貴な女性に対する恋の行方や如何に?・・・
ありがとうございます。
1.源氏が葵の上を亡くしたのがG22年、六条御息所が伊勢に下ったのがG23年、朝顔が斎院に召し出されたのがG24年です。朝顔の父式部兵部卿宮が朝顔を源氏に娶せる意向があったのならG23・24年あたりにチャンスはあった筈です。それこそ大宮に加勢を頼んでアタックしたらよかったのかも(大宮は愛娘を亡くしそれどころではなかったのかも知れませんが)。
何れにせよ言われる通り血縁関係が入り組んでいるというか近すぎますね。
2.朝顔の君との馴れ初め・いきさつが全く述べられていないのでこの姫君のことがよく分からず感情移入のしようがありませんね。おっしゃる通りもう少し様子を見ることにしましょうか。